劇場版『攻殻機動隊』は林原めぐみがすごい! 田中敦子×大塚明夫×山寺宏一が脱帽

素子は恋愛体質? 振り回されるバトーは……

──作品を通じてそうしたリアルな世界の問題も意識できるのは、「攻殻機動隊」が常に未来を描いてきたからだとも考えます。だからこそ、世界の情勢がめまぐるしく変わる現代において、最新作が公開されることには大きな意義があると思いますが、改めて長い歴史を持つシリーズの魅力についてうかがえますか? 山寺宏一 最初にこの作品と出会った時は「ネットは広大だわ」って言われても全くピンとこないような時代でした。でも、今や小学校に入る前から、当たり前にインターネットに触れるようになりましたよね。

こんな風に世界中が繋がっている時代になるなんて全く想像もできなかったし、最初は遠い未来のことを描いているんだろうなって思ったけど、実はそうじゃなかったんです。 山寺宏一 今回も、今ではとても実現できないような未来の世界を描いているようですけど、きっと未来をモチーフにしながらも、今の時代にみんなで考えて欲しいことを描いているんだと思うんですよ。

そうした難しいテーマを扱いつつも、その中にはしっかりとドラマがある。その裏に隠された意図を探ったり、現実に起きているあの問題に関連させているのかなって考えたりしながら観ることができる。そうやって難解に思える中に、確かに散りばめられたいろんなものを紐解いていくのは、「攻殻機動隊」ならではの魅力だと思いますね。

大塚明夫 今回の敵は特に、今までと違ってはっきりとした敵ではない以上、戦士としてはどうしても士気が低いまま臨む戦いになります。でも、人類がちょっとずつでも変わろうとしている今の世の中にあって、そうした問いを投げかけるのは大事なことだと思うんです。

このシリーズが今までもやってきたのは、そうした小さな働きかけのひとつひとつに過ぎないかもしれませんが、確実に何かが変わるきっかけに繋がっているんだろうなって感じます。 田中敦子 押井さんが「『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は、人形使いとバトーと素子の三角関係の恋愛の映画だよ」っておっしゃってたんですが、『S.A.C. 2nd GIG』でもクゼを選ぶのかバトーを選ぶのかって三角関係的な要素がありましたよね。

そして今回も、最終的にシマムラタカシの思想を受け入れるのかどうかっていう選択を迫られているので、実は素子って恋愛体質なんじゃないかって思うんですよ。常に難しい話が展開している中で、実はそうしたロマンチックな要素もあるのがシリーズ全体の独特な魅力に繋がっているのかなと思います。

大塚明夫 常に振り回されてるバトーはたまったもんじゃないけどね(笑)! ©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊 2045 製作委員会
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作品情報

攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間

公開日
2023年11月23日(木・祝)[3週間限定]
配給
バンダイナムコフィルムワークス

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