3月18日、会場のひとつであるシネ・ウインドでは、レトロスペクティブ(回顧展)の大友克洋作品特集の皮切りで『幻魔大戦』『AKIRA』『蟲師』の3作品を上映。
上映後のトークセッションにはアニメ・特撮研究家の氷川竜介さんが登場。『AKIRA』の特異性を語りつつ、大友克洋監督について「宮崎駿監督がやっていることとほとんど同じ」と紹介した。
『AKIRA』という名の日本アニメ史における転換点
『童夢』や『AKIRA』などの漫画で知られる大友克洋さんを長らく取材してきた氷川さんは、2002年に講談社から刊行された公式資料集『アキラ・アーカイヴ』の企画にも携わった人物。3月10日に刊行されたばかりの著書『日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析』では、日本アニメの歴史の転換点のひとつとなった作品として『AKIRA』を紹介している。
詳細は省くが、1988年公開の『AKIRA』を昭和最後の大作と位置付ける理由について、それまでのアニメとは異なる科学的根拠に基づく表現・レイアウトの緻密さや正確さ、リアリティの追求にあると説明。
加えて、『AKIRA』に参加した当時20代の若手アニメーターたちが、大友監督の大友克洋的リアリズムに触れることで、その価値観を共有し、継承。
井上俊之さん、沖浦啓之さん、北久保弘之さんら“AKIRA組”とも呼べるクリエイターは、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)などその後多くの傑作を生む一翼を担っている。
アニメの概念は脳内に、初めてでも“最初から描ける”大友克洋
共に映画祭で上映される『幻魔大戦』(1983年)でアニメ制作に初参加、オムニバス映画『迷宮物語』(1986年)の中の「工事中止命令」で、短編アニメーション初監督デビューを果たした大友監督。「アニメーションは自然観察ですし、アニメーションはこういう概念だということが脳の中に入る、アニメが好きだったら最初から描ける」
氷川さんは、初めてアニメ制作に挑戦した大友監督が放ったといわれる言葉を紹介。今聞いてもなかなか理解し難い内容だが、当時アニメーターの中でも話題になった天才・大友克洋の逸話に、会場からは驚きの声が漏れた。
大友監督について氷川さんは、「もともと映画監督志望だから、何ミリのレンズで遠近感がどれくらい圧縮されるかなどがわかるんじゃないかな」と分析。
複雑な格好でヘリコプターに乗るカットに対しても、「そんなもの頭の中で回せば良いんだよ」と、最初から頭の中でシーンが立体として存在するかのごとく語っていたという。
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連載
アジア最大の長編アニメーション映画祭として開催される「第1回新潟国際アニメーション映画祭」。 2023年3月17日〜22日までの期間中、これまで多かったアート寄りの短編アニメを扱う映画祭とは異なり、長編商業アニメーション部門にフォーカス。 審査委員長を押井守監督がつとめ、世界15ヶ国から10本の作品がエントリーしたコンペティションのほか、大友克洋監督の作品を特集するレトロスペクティブ、りんたろう監督、永野護監督、片渕須直監督、磯光雄監督らが登壇するイベントを実施。 現地取材を交えながら、世界を見据えるアニメ映画祭の模様をレポート。
1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:6675)
悪意のある見出し。記事を読めば肯定的ではあるが、見出しだけでは人真似と取れる。意図的なんでしょうがなんとも品位のない記事ですね。