ヒップホップとは、1970年代のアメリカ合衆国ニューヨークのブロンクス区で生まれた文化。アフロ・アメリカンやカリビアン・アメリカン、ヒスパニック系の住民のコミュニティで行われていたブロック・パーティから誕生した。
80年代には、ラップ、ブレイクダンス、グラフィティがヒップホップの三大要素だと言われた。現在ではDJプレイを加えた四大要素とも言われている。
発祥には諸説が有るが、一般的に1970年代初期に、クール・ハーク(ブレイクビーツの発明者)、グランドマスター・フラッシュ(スクラッチ技術を普及)、アフリカ・バンバータ(ヒップホップという言葉の生みの親)の3大DJたちの活躍によって、それまでのコミュニティ・パーティを超えた音楽として広がりはじめたとされる。
曲調やダンス、ファッションなどのスタイルを、それぞれオールド・スクール(Old School、1970年代 - 1980年代)、ニュー・スクール(New School, 1990年代以降)と呼ぶ。
1980年代後期 - 1990年代前期は音楽面で革新的な技法・作品が多く生み出されたことから、特にゴールデンエイジ・ヒップホップとも呼ばれる場合もある。当時隆盛を極めていたニュージャックスウィングの影響を受けた楽曲もこれに含まれる。
日本ではこの時期をミドル・スクール(Middle School)と表現することがある。ミドル・スクールのラッパーには、LLクールJ、ランDMC、UTFO、フーディニらがいた。
オールドスクールのヒップホップミュージックは、DJとMCの融合が完全にされていない時代であったため、歌詞よりリズムを主体とする。ファッションはRun-D.M.C.に象徴される、ゴールド・アクセサリーにジャージ、スニーカーなどである。
ニュー・スクールは、90年代初頭までを指す場合が多い。ニュー・スクールのラッパーには、デ・ラ・ソウル、ア・トライブ・コールド・クエスト、リーダーズ・オブ・ザ・ニュースクールらがいた。
ファッションは、シルバー(銀製品に限らず、ホワイトゴールドやプラチナなど、シルバーカラーの)アクセサリー、特に近年は成功者の象徴としてダイヤモンドをあしらった装飾具が好まれる傾向にある。サイズの大きな衣服や、バギースタイルのパンツ(大きいサイズのダブついたズボン)を選び、腰履きで着こなすアーティストが多い。
大きい服を着るようになったのは、刑務所の囚人服は、走ることや格闘が困難になるように、必要以上に大きめのサイズが用意されている。そのため腰がずり落ちてバギーパンツになった。出所後も「ムショ帰り」を誇示するために着用された、とする説がある。しかし、貧困のために頻繁に服を買ってやれない親が、成長してからも着られる大きいサイズの服を買い与えたところからとする説が有力である。
別なカテゴライズとして、アーティストの出身地などから、ヒップホップ発祥の地であるニューヨークなどのアメリカ東海岸におけるイースト・コースト・サウンド、ロサンゼルスなどのアメリカ西海岸におけるウエスト・コースト・サウンド(ウエスト・サイド)といった、地域による分け方がある。
初期のイースト・コースト・サウンドは、ジャズトラックを使用した楽曲が多く、対して初期のウエスト・コースト・サウンドは、Gファンクと呼ばれる、Pファンクなどをサンプリングし、シンセサイザーなどの電子音を取り入れたトラックに、ギャングスタ・ラップと呼ばれる、ギャング出身者が、そのライフスタイルを歌詞にしたラップを乗せることが多かった。
近年はサウス(南部)やミッドウエスト(中西部)と呼ばれるローカルサウンドも登場している。サウスのトラックは、バウンスビートが特徴である。ヒップホップのポピュラー化により、東海岸でギャングスタ・ラップをするものが現れたりするなど、地域による分類が、MCの出身地訛り以外では、それほど意味をなさなくなっている。
現代では地域性よりも、ファレル・ウイリアムス、カニエ・ウェストといった著名プロデューサーたちの音楽性が、楽曲の特徴にとっているのが現状である。
一方で、地方性の名称に固執する日本のリスナーも多くいる。彼らが「ウエスト」と言った場合、90年代の西海岸アーティストの作品、「サウス」と言った場合は2005年以降に輩出された南部出身アーティストの作品を指すこと多い。
例えばアウトキャストは南部出身だが、いわゆる「サウス」と呼ばれる楽曲には含まれないという、近年は矛盾があるカテゴライズである。
近しいジャンルとされるR&Bやレゲエとの境界は、それらジャンルのアーティストとのフィーチャリングなどにより徐々に薄れつつあるが、それぞれに独自の文化が形成される。
中華人民共和国では、ヒップホップ文化が薬物使用や体制批判に結び付きやすいことに警戒。2018年1月、監督官庁の国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局は、テレビ、ラジオ番組でヒップホップなどを取り上げない方針を打ち出している。
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