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連載 | #49 ポップなまとめ記事をつくってみた

【2021年】日本のヒップホップ名曲まとめ 新たな才能、クラシックになるべき57選

【2021年】日本のヒップホップ名曲まとめ 新たな才能、クラシックになるべき57選

画像はZORN「Lost」MVから

POPなポイントを3行で

  • 2021年ヒップホップ名曲まとめ
  • 厳選58曲を紹介、プレイリストも
  • バラバラになったからこその多様性
本当に"激動"という言葉がこれほどまでに似合う1年はなかった、2021年。

コロナ禍の最中でオリンピック開催が開催される一方で、音楽業界では2020年に引き続き大規模な野外フェスやライブの開催が激減。

そんな中で「NAMIMONOGATARI」に端を発する世間からの信頼の失墜も起こり──それでもヒップホップシーンは、自身の信念を貫くラッパーやインターネットでバイラルする若手や個人、新たなコレクティブやクルーの登場なども目立ちました。

既存の枠組みやシーンに囚われない、新たな才能たちの登場は、人々がバラバラに分断された今だからこそ発生しているのかもしれません

今回、2021年にリリース/MVが公開された楽曲を、KAI-YOU編集部の独断と偏見で57曲をセレクト。いずれも、今後のヒップホップ史に残り得る名曲となっています。

Spotifyでプレイリストも用意したので、そちらもチェックしてみてください。

2018年〜2022年のヒップホップの名曲はこちら

※番号には、順位やランキングなどの意図はありません。

目次

ZORN「Lost」

金持ちになりたい、有名になりたい、モテたい……前提として、ヒップホップは成り上がりの音楽だ。

新小岩のヤンキーだったZORNさんは、一般的にはそこまで知られていないが、今の日本のヒップホップにおいて最もプロップスを集め、最も成功しているラッパーの一人だろう。サブスクはしない、代わりにCDは売れててYouTubeはよく回ってる。

ワンマンライブで武道館に立った日本のラッパーとしては一握りの人物でもある。その半年後、ZORNさんがリリースしたこの曲には、家族と生活をリリックにしてきた男が目にした頂きからの景色が歌われている。そこには、充足もなければ幸福もない。頂きに立った人物だけが、それをリリックにできる。何のために、ラッパーはマイクを握るのか。これはヒップホップ版『ルックバック』だ

ZORN「家庭の事情」

2020年に昭和レコードから独立し、自身のレーベルを立ち上げたZORNさんによる1曲。

ギターで奏でられるイントロから始まるもの悲しげなビートに乗せて歌われる幼少期の経験は、ZORNさんの代名詞である固い韻によって、そのシリアスな内容と裏腹に耳に入り込んでくる。

そのシリアスなバースがあるからこそ、Hookの「花の一つも渡せない息子だった、でも今ならそう、いや今さらそう、曲を贈ろう ろくでもないクズの賛歌」が胸に響く。

LEX「なんでも言っちゃって (feat. JP THE WAVY)」

間違いなく2021年のヒップホップシーンの中で最も勢いのあった2人、LEXさんとJP THE WAVYさんによる一曲。

軽快なトラックを乗りこなす2人のフロウが小気味よく、特にフックの「なんでも言っちゃって~」がとにかくキャッチーで、社内でも色んな人が口ずさんでいた。シーンを駆け上がる若手の2人が、シンプルに自分の名声をフレックスするのではなく、あの手この手で女の子の引こうとする中で見せつけていくという構成も、肩の力が抜けていて最高。

MVでは、リリックだけでなく一つ一つの体の動きからビートへの乗り方の違いを魅せるJP THE WAVYさんもぜひ見て欲しい。

Jinmenusagi「Kanja Ninja」

あまりに多才すぎるがゆえに「楽曲・時代ごとに全く違うファン層を形成している」と自身の評価を困惑気味に某インタビューで語っていたJinmenusagiさん。

時代の要請を読むことに長け、都度、それに最適化された答えともいえる楽曲をハイペースでリリースしてきていたが、2021年のJinmenusagiさんはそういう空気を本当に読まなくなった。

ただただスキルフルに他を圧倒するようなラップをする。初期の世界観を彷彿させるダークな歌詞も痛快。MVのクレジットには、彼の原点ともいえる「あはんれいでぃお」の名も。そのような背景を知ると、MVのラスト「Free ハシシ」の意味もまた違って聞こえてくる。

ゆるふわギャング「MADRAS NIGHT PART 2 feat. 鎮座DOPENESS」

ゆるふわギャング、SALU、NORIKIYO、estra、KOYANMUSICによって結成されたユニット・SHINKAN1000のアルバム『THA GREAT ESCAPE』に収録された楽曲に鎮座DOPENESSを加えてリテイクされた曲。

土着的なビートが特徴的なアッパーチューン。開幕早々、Ryugo Ishidaの熱のこもったフロウがライブでの否応なしのブチ上がりを想起させる。MVでは元AV監督の西くんがフィーチャーされているが、どろっどろの性を感じさせるリリックも楽しい。コロナ以前の感覚を思い出させてくれる魑魅魍魎の百鬼夜行みたいな曲。

yanagamiyuki「Cyber Kawaii Kunai Girl」

2021年、ボカロP・やながみゆきさんが本格的に楽曲の配信リリースを行いはじめたのは日本のヒップホップシーンにとってマジで重要なことだと思う。

これまでもAutomaticさんやkamuiさんといったアーティストがヒップホップにボーカロイドを取り入れた楽曲を発表していたが、やながみゆきさんはボカロP側からのヒップホップへのアプローチをとる数少ない才能。

初音ミクと自己の生存/希死観念をない交ぜにした血の通ったリリックを、無機質な初音ミクが強くラップする。この楽曲そのものがSFであり、リアル。完全にこれまでになかった新しい音楽

Awich「口に出して (Prod. ZOT on the WAVE) 」

女帝・Awichによる衝撃的な楽曲「口に出して」。世の不満をぶつけるのではなく、わかち合うために「口に出して」語りあい、飲み込み、受け止めるという覚悟を歌う。際どいダブルミーニングは、名が売れても自分らしく攻めていくという意志を感じさせる。

オーデイション番組「ラップスタア誕生」では新審査員に就任。参加ラッパーへのコメントの数々から、セルフプロデュースに余念がなく、新たなスタイルを模索し続けていることも信条にしているようにも思える。

MV内では、蠱惑的な女性たちとワークアウトして格好良さと美しさをパワフルに披露。かつてここまで「姉さん」と呼びたくなるアーティストがいたでしょうか

Saweetie feat.DojaCat,Jamie&CHANMINA「Besr Friend」

練馬のビヨンセことちゃんみなさんが、韓国R&Bの女王とも呼ばれるJamieさんと共に、世界的アーティストのSaweetieさん・Doja Catさんのにフィーチャリングされた1曲。

この楽曲はHookの「That's my best friend」(あれが私の親友)の通り、Saweetieさん・Doja Catさんが様々なアーティストをフックアップする楽曲になっています。

様々な女性アーティストがフィーチャリングされ、ちゃんみなさんとJamieさんはそのうちの1バージョンに参加しています。

ちゃんみなさんのバースでは、ダウンタウン感のあるビートを乗りこなし、自然に日英韓の3か国語を織り交ぜながらリリックを展開。ワールドワイドな楽曲において、日本のギャル文化をここまでプレゼンスできるのかと驚きました。

Jin Dogg feat REAL-T「街風」

大阪生野区出身のJin DoggさんとREAL-Tさんが「身内は身内でよそはよそ」と自分たちのスタイルを表現していく1曲。

イントロでは警報のような音とともにJin Doggさんの「こちら大阪生野区朝鮮人部落」と宣言。最初からアップテンポなのではなく、ゼロから一気にトップギアにかかっていく感覚があり、引き込まれる。

Hookの「福は内で鬼は外でも世間は鬼」が象徴するように、リスナーに対してすらも一線を引いたそのリリックは非常に緊張感が高く、だからこそ、「自分はどうなのか?」と検証するように楽曲にのめり込める。

KAI-YOU PremiumではREAL-TさんとJin Doggさんの対談も公開されているので、そのリアルの原点に是非触れてみてほしい。

https://premium.kai-you.net/article/417

REAL-T「INSPIRATION " feat. 漢 a.k.a GAMI (pro.FEZ BEATZ)」

新宿の漢 a.k.a GAMIさんと大阪のREAL-Tさんという、東西のリアルなラッパー2人が共演した楽曲。

RYKEY DADDY DIRTYさんや阿修羅MICさんへも楽曲提供を行うFEZ BEATZさんが手がける緊張感あふれるビートや、2人のリアルなリリックによって、ノっていたはずがいつのまにやらじっと聞き入っているような一曲に仕上がっている。

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