昨今のゲーム配信シーンを語る上で欠かせないのが、動画サイトで脈々と受け継がれてきた国内の「ゲーム実況」文化だ。

その火付け役となったプラットフォーム・ニコニコ動画で2009年4月に活動を開始し、現在まで約16年にわたり活動を続けている古参ゲーム実況者・わいわい

2022年8月からはe-Sportsチーム・Crazy Raccoonに所属し、動画投稿だけでなくゲーム配信を行うストリーマーとして、コミュニティから根強い支持を獲得している。

そんな彼はなぜゲーム実況をはじめようと思ったのか。隆盛するゲーム配信シーンとどのように向き合ったのか。

CPUなどを中心にPCパーツを手広く手掛ける「インテル® Core™ プロセッサー」タイアップ企画のもと、活動を続けていく上での信念やPCの重要性をわいわいさん自身の口から語ってもらった。

取材・文:龍田優貴 編集:小林優介 写真:稲垣謙一

目次

大学を留年するまでハマった、わいわいの原点となるゲーム

──改めて、2009年からゲーム実況を始めた経緯についてお聞かせください。

わいわい 元々あんまりゲームで遊ばない人間だったんで、どちらかと言えば外に出て何かをしていることが多かったんですよ。

ゲーム実況者・ストリーマーとして活躍するわいわいさん

わいわい でも、『カウンターストライク』っていうゲームにハマった兄から「すごい面白いから一緒にやろう」って言われまして。1年半ぐらい、少なくとも大学を留年するぐらいにはハマってました(笑)

その時のチームメンバーにニコニコ動画を教えてもらって、自分でもやってみようと思ったのがゲーム実況をはじめたきっかけですね。

──2009年頃は、ゲーム実況のノウハウが今ほどネット上に蓄積されていなかったと思われます。当時はどのようにして編集技術などを身につけましたか?

わいわい たしかに講座動画みたいなのは全然なかったですね。あの頃も人気のゲーム実況者はいましたけど、その人たちがどんな風に動画を編集していたのかは分からなかったし。

僕も色々調べましたけど、あんまり情報が出てこなくて。最初はPCに元々入ってた「Windows ムービーメーカー」を独学で使ってました。その後「Aviutl」っていうフリーソフトを経て、今は有料の編集ツールですね。

動画エンコードに12時間! 3万円の中古PCからはじまったわいわいの活動

──16年前はどのような機材を使ってゲーム実況を収録していたのでしょうか?

わいわい 最初は3万円ぐらいで買った中古のPCを使ってました。もちろんゲーム用じゃない、使い道と言ったら年の瀬に年賀状を印刷するぐらいのPCで(笑)。

動作も重かったし、特に動画のエンコード処理は時間がかかった! 書き出してる最中にフリーズするのは珍しくなかったし、下手すると12時間ぐらいかかることもあって。

だから寝る前にモニターの電源だけ消して「朝起きてエンコード終わってたらいいな」ぐらいの気持ちでやってました。

──それだけ編集に時間がかかると、一本の動画を仕上げるのにも相当な手間がかかるのではないでしょうか。

わいわい 手間はかかりますけど、昔から動画編集は好きな方なんで。時間がかかっても納得いくまでやってました。

例えば「難しくて何度もゲームオーバーになる作品」を実況してると、やっぱり「チャレンジを繰り返してやっとクリアできた……」みたいな見せ場が欲しいじゃないですか。

わいわいさんの代表作でもある高難易度ゲーム「アイワナ」シリーズ

わいわい そうすると死ぬ場面のカットを何個も入れていくことになるんですが、カットが増えると読み込むファイルも増えるんで、動作が重くなっていくんですよ。

とはいえ、カットが少ないと僕の苦労を上手く伝えることができなくなる

当時はサイトにアップロードできる動画の容量にも厳しい制限があったんで。一回上げてみて、容量を超えてたら編集し直したり、逆に容量が空いてれば最大限画質が上がるようにギリギリを狙って調整したり。色々試行錯誤しながら編集してましたね。

ゲームを相手に漫才? わいわいがインディーゲームを愛する理由

──ゲーム実況の題材となる作品選びについて、ご自身の中で明確な基準があるのでしょうか?

わいわい 僕の場合、ゲームに対する向き合い方がちょっと人と違うと思うんですよね。別に僕は「ゲーム好き」じゃないんで、ゲームを楽しむより、面白い動画をつくりたい。

だから「自分がゲームと漫才をした時に面白そうなもの」を探してるんです。僕の中で、ゲームは漫才の相方に近いかもしれません。

わいわいさんは、関西弁でゲームにツッコミながら実況するスタイルで知られている

──では、ツッコミどころが多いゲームの方が良いのでしょうか?

わいわい そうですね。極端かもしれないですけど、めちゃくちゃ出来の良い作品は突っ込むところが無いし、こっちもボケる隙が無くなるんですよ。そういうゲームだったら、僕じゃなくて他の人の実況を見る方が良い。

やっぱり僕のゲーム実況って、何らかの掛け合いが必要で。こっちがふざけたことをやったら、ゲーム側でさらに変なことが起きてボケ返してくれる……みたいな。

良い意味で“粗があるゲーム”の方が自分に合ってるかもしれない。

──『Minecraft』や『プラネットコースター』のような自分で何かをつくっていく作品もよくプレイされています。創作意欲を刺激する作品にも心惹かれるものがあるんでしょうか?

わいわい 僕の話で言えばそうです。ただね、あの手のゲームはすごく頭を使うんですよ。

今目の前に何かを生み出せるツールがあったとしても、最初につくることができるものって大体限られてくるんです。皆が一度は同じものをつくろうとするんで、それ以上の作品を生み出さないとダメなんですよ

実際にやってみると、たかが5分とか10分のシーンを撮るために6時間ぐらいかかるんで。もちろん凄く面倒な作業になるけれど、皆と違う面白いものができた時、得られる達成感はものスゴい。

そういった点で『Minecraft』とか『プラネットコースター』みたいなゲームは僕に向いてるかもしれないですね。

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