すとぷりやいれいすを筆頭に、歌い手グループが百花繚乱の様相を呈する今、新たな風が吹いた。それがPiece Palette(略称・ピスパレ)だ。
ピスパレは、2024年5月設立の歌い手グループ事務所/レーベル・シンカロンから、第1弾アーティストとして6月1日にデビューした6人組歌い手グループ。
今回は、歌い手グループの歴史と現状を踏まえつつ、ピスパレの魅力と可能性を、彼らの生の声も交えながら探る。
目次
現代は歌い手グループ戦国時代である──その歴史
まずは、歌い手グループの歴史と現状を大まかに整理しよう。
ニコニコ動画の「歌ってみた」文化を起源とする歌い手。2010年代も、歌い手がユニットやグループを結成する動きはあったものの、シーン全体で見ると“個人”が圧倒的な存在感を放っていた。
(After the Rainを例に挙げると、メンバーのそらるさん、まふまふさんは2016年の結成時点ですでに人気の歌い手だった)
そういった中、2011年に結成されたROOT FIVE(※2023年に活動休止)や2013年に結成された浦島坂田船などは、個人中心のシーンでも対等に輝き、現在の歌い手グループ隆盛の礎を築いた。
2016年結成のすとぷりは、成熟期を迎えた歌い手シーンで大成功を収め、2023年の「第74回NHK紅白歌合戦」に初出場。投稿ジャンルは「歌ってみた」やオリジナル曲の発表のみならずゲーム実況、生配信など幅広く、そのエンタメ性はYouTuber〜VTuberに近い。
また、リーダー・ななもり。さんが代表をつとめる株式会社STPRには、Knight A - 騎士A -やAMPTAKxCOLORSといった歌い手グループも所属。2024年8月には、新たにめておら(Meteorites)がデビューした。
2024年2月、日本武道館公演を当時歌い手グループ史上最速で達成したいれいすも、すとぷりと同様にリーダー・ないこさんが、株式会社VOISINGを設立している。
同事務所にはいれいすのほか、すたぽらやクロノヴァ(Chrono▷◀Reverse)が所属。2024年7月に独立するまでは、シクフォニもVOISING傘下だった。
かつて"個人”発──インディーカルチャーとして始まった歌い手は、先駆者たちの活躍を経て、2024年現在“企業”がプロデュースすることも当たり前になりつつある。その上で、“企業”発の歌い手グループも珍しくなくなった。
現在の代表的な歌い手グループたちは、それぞれチームワークを活かし、早い段階で成功を収めている。例えば、AMPTAKxCOLORSは、2024年8月にいれいすの記録を塗り替え、歌い手グループ史上最速となる結成1年10カ月で日本武道館公演を達成した。
“企業”発の歌い手グループは、動画コンテンツの質と量を両立し、さらにオリジナル楽曲の発表にも意欲的など、従来とは異なるスタイルをとっている。
個人の歌い手主流の時代を経て、グループが次々と台頭した転換期。そして、次のフェーズに進もうとしている今、現れた注目の歌い手グループが“空前絶後のわちゃわちゃ系”歌い手グループ・ピスパレである。
“空前絶後のわちゃわちゃ系”歌い手グループ「ピスパレ」とは?
ピスパレは、オーディションを勝ち抜いた、あれんさん、なぅたさん、ゆそるさん、ひのまさん、メロアさん、すいとさんの6人によって結成。オリジナル楽曲「奇想天外xxxxxxアイランド」でデビューした。
「6つのピース=個性でキミの世界をカラフルに!」をミッションに掲げ、“わちゃわちゃ系”歌い手グループとして活動を開始。YouTubeでは、グループのチャンネル/メンバーそれぞれのチャンネルで、バラエティ系の企画動画や配信にも挑戦している。
各メンバーにはイメージカラーが割り当てられ、ビジュアルもアクセサリーや動物など可愛いらしい要素が散りばめられている。そういった従来の歌い手グループの特徴を踏襲しつつも、ピスパレが他のグループと一線を画すのは、リスナーを積極的にグループ活動に巻き込む姿勢にある。
例えば、プレデビュー期間となる5月には、デビューをゴールとしたリスナー参加型のミッション企画を実施。リスナーの行動に応じて「歌ってみた」やボイス、グループ名などが段階を追って発表し、デビューの喜びをリスナーと共有した。
また、グループ名の発表時には、ロゴデザインをアンケートで選んでもらうなど、クリエイティブにまでリスナーの意見を積極的に取り入れている。
夏の大型イベント「最高×サマー!!!!!!DAYS」では、リスナーから募集した写真やイラスト、動画を使用したMVを発表していた。
ピスパレのもうひとつの美点は、バラエティ企画で見せるエンターテイナーとしての才能である。
ウィットに富んだ会話と軽快なテンポで展開される動画は、賑やかな雰囲気ながらグループとしてのまとまりがあり、質が高い。配信内では、企画を通してメンバー同士がお互いの個性や本質に触れている様子が印象的で、真の絆が感じられる。
透明感のある歌声に加え、「リスナーとの距離の近さ」や「バラエティとしての面白さ」「メンバー同士の仲の良さ」といった従来の人気歌い手グループの強みを踏襲するピスパレは、王道を往く存在とも言える。
さて、ピスパレのグループ全体としての魅力を紹介したところで、ここからはメンバーそれぞれにフォーカスを当てていく。
併せて、メンバーへのミニインタビューも掲載。6人にピスパレのグループとしての強みや今後の目標などを聞いた。
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