ナガノ
ながの
ナガノとは、女性のイラストレーター/漫画家。1988年生まれ。代表作は漫画シリーズ『なんか小さくてかわいいやつ』(ちいかわ)。LINEスタンプやSNSでの作品投稿、唯一無二ともいえるかわいさとシュール、そして残酷さが同居するキャラクター造形で人気を博す。
概要
ナガノとは、女性のイラストレーター/漫画家。イラストを描くときのこだわりとして、PCではなく手描きしたものをスキャンして使うというアナログ派。
可愛い絵柄と裏腹に、キャラクターの時にゆるく、時に生々しい日常を多彩な表情で描いたユニークな作品「もぐらコロッケ」シリーズや『なんか小さくてかわいいやつ』が人気を誇っている。
スタンプを自作して登録すればLINEスタンプとして販売できる「LINEクリエイターズスタンプ」では月刊MVPを獲り、ポケモン公式スタンプやLINEスタンプ プレミアムの在宅生活応援公式スタンプも制作している。
基本プロフィール
- 名前:ナガノ
- 職業:イラストレーター/漫画家
- 主な作品:『ちいかわ』『ナガノのくま』『もぐらコロッケ』『MOGUMOGU食べ歩きくま』『くまのむちゃうま日記』
- 主な発表媒体:X、Instagram、LINEスタンプ、講談社「モーニング」関連媒体
- 主な展覧会:「ナガノ展」
- 受賞:第6回野間出版文化賞
- 代表キャラクター:ちいかわ、ハチワレ、うさぎ、ナガノのくま、もぐらコロッケ
作品と作風
ナガノは幼少期から絵を描くことが好きで、ノートに自作の漫画を描いていた。
2018年のLINEスタンプ公式インタビューでは、子どもの頃から「次はどういう話を描こうか」と考えたり、新しいキャラクターを登場させたりして家族に見せていたと振り返っている。
当時描いていた作品には、モグラが宇宙人と出会う漫画もあったという。その頃から絵の雰囲気は現在と大きく変わっていなかったとも語っている。
PCを使うようになってからは、インターネット上の「お絵かき掲示板」でも絵を描いていた。後にSNSを主要な作品発表の場とするナガノの創作活動は、幼少期の漫画制作と、2000年代以降のインターネット上のイラスト文化の双方につながっている。
かわいさと不条理が同居する作風
ナガノ作品の特徴は、単純でかわいらしい絵柄と、キャラクターに降りかかる出来事の過酷さにある。
線はやわらかく、キャラクターの身体も丸く単純化されている。一方、泣き顔や怒り、混乱、恐怖の表情は細かく描き分けられ、かわいらしい顔が突然大きく崩れることもある。講談社の公式プロフィールでは、この作風を「アナログらしいやわらかな線画」と表現している。
物語では、努力しても試験に合格できない、仕事で危険な目に遭う、住居や収入に格差があるといった現実的な問題が登場する。さらに、存在が入れ替わる、怪異に捕食される、元の姿に戻れなくなるといったホラーや寓話的な展開も組み込まれている。
ただし、過酷な世界を告発するだけの作品ではない。友達と食べ物を分け合う、欲しかった物を贈る、一緒に勉強するなど、日常の小さな幸福も同じ密度で描かれる。
ナガノは、かわいいから安全であるとは限らない世界で、それでも生きていくキャラクターたちを描いている。
独特な台詞と擬音
ナガノ作品では、「ワァ」「エッ」「ヤダーッ」「ウラ」「ヤハ」といった短い声や、一般的な言葉では説明しにくい独自の擬音が多く使われる。
キャラクターによって言語能力には違いがあり、ハチワレのように文章を話すキャラクターがいる一方、ちいかわやうさぎは表情、叫び声、身振りを中心に感情を表現する。
状況がすべて説明されないため、読者はキャラクターの視線や表情、コマの間から出来事を読み取ることになる。意味を限定しすぎない短い言葉は、LINEスタンプなど、文脈によって意味が変化するコミュニケーションとの相性も良い。
また、「○○ってコト!?」「それってさァ!」など、ナガノ作品から広がった言い回しは、SNS上の会話やミームにも取り入れられている。
「自分ツッコミくま」でブレイク
ナガノが広く知られるきっかけとなったキャラクターの一つが、「自分ツッコミくま」である。現在は「ナガノのくま」の名称でも展開されている。
2014年にLINEクリエイターズスタンプとして登場。
白くシンプルな外見のくまが、自分自身の発言や行動にツッコミを入れたり、感情を表現したりするキャラクターとして人気を集めた。
ナガノはキャラクターデザインについて、スタンプを使う人が自己投影できるよう、あえてシンプルな白いくまにしたと説明している。
2016年12月には「自分ツッコミくま」のスタンプがLINE Creators Marketの月間MVPを受賞。
SNSでは食べ物を楽しむくまのイラストも数多く発表され、「食」はその後のナガノ作品を貫く大きなモチーフとなっていく。
『MOGUMOGU食べ歩きくま』
「自分ツッコミくま」を主人公にした漫画が、『MOGUMOGU食べ歩きくま』。
くまが様々な土地へ出かけ、その土地の食べ物を味わうオールカラーのイラストエッセイで、『週刊Dモーニング』で月1回連載された。
2019年1月には単行本第1巻を刊行。講談社は同作をナガノにとって初のオリジナルコミックとして紹介している。
飲食店だけではなく、コンビニエンスストアの商品や身近な食べ物なども登場し、食事を前にしたキャラクターの表情や感情を細かく描く。
食べることの喜びを徹底して描く姿勢は、その後の『ちいかわ』にも引き継がれている。
『ちいかわ』誕生
ナガノの代表作が、『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』。
「なんか小さくてかわいいやつになって暮らしたい」という発想から生まれたキャラクターで、2017年頃からナガノのSNSに登場。2020年から「ちいかわ」専用Xアカウントを中心に漫画の本格的な連載がスタートした。
主人公のちいかわと、その友人であるハチワレ、うさぎを中心に、小さくかわいいキャラクターたちの日常が描かれる。
一方、その世界には労働、資格試験、貧困、怪異の討伐、身体の変異、死を想起させる出来事なども存在する。
「かわいいキャラクターの日常」と「シビアで不条理な世界」が同じ地平に存在していることが、『ちいかわ』最大の特徴の一つとなっている。
単行本化
2021年2月12日、講談社から単行本第1巻『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』が発売された。
Xに投稿されたエピソードに加えて描き下ろし漫画も収録。
SNS上で断片的に公開される漫画でありながら、複数の投稿が長い物語へと接続する構成も『ちいかわ』の特徴である。
怪異「キメラ」や「でかつよ」、モモンガを巡る謎など、長期にわたって伏線や設定が積み重ねられることで、キャラクターコンテンツとしてだけではなく物語漫画としての考察文化も形成されていった。
TVアニメ化
2022年4月、TVアニメ『ちいかわ』がフジテレビ系『めざましテレビ』内で放送開始。
原作漫画のエピソードをベースにしたショートアニメとして制作され、ちいかわ役を青木遥、ハチワレ役を田中誠人、うさぎ役を小澤亜李が担当した。
アニメ化によって、それまでSNSを中心としていた『ちいかわ』の読者層はさらに拡大。
子どもから大人まで幅広い層が触れるキャラクターコンテンツへと成長した。
アニメ制作でもナガノは作品の世界観や細かな設定を監修しており、制作スタッフはセリフや設定に疑問がある場合、ナガノ本人へ確認する体制を取っている。
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