総合格闘技イベント「超RIZIN.4 真夏の喧嘩祭り」が、7月27日(日)にさいたまスーパーアリーナで開催された。
メインカードであるクレベル・コイケ選手 vs. 朝倉未来選手の4年ぶりのリマッチ(再戦)を筆頭に、バンタム級タイトルマッチの井上直樹選手 vs. 福田龍彌選手、さらにはフライ級トーナメントの1回戦、ヘビー級トーナメントの2回戦など、全18試合が行われた。
「超RIZIN.4 真夏の喧嘩祭り」試合順 ©︎RIZIN FF
現フェザー級王者のラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手は、対戦相手の調整がつかず参戦延期。しかし、対戦相手という意味では、クレベル vs. 朝倉の勝者はその有力候補となるため、両者の対決には注目が集まる。
また、パトリッキー・ピットブル選手 vs. 野村駿太選手の試合も、4度の防衛を果たしている現ライト級の絶対王者ホベルト・サトシ・ソウザ選手への挑戦権を賭けた一戦になりそうだ。大会の模様はABEMA PPVなどで視聴できる。
この記事では、注目カードを中心に15試合の結果速報をレポートする。
目次
- 1. 第1試合:フライ級トーナメント 元谷友貴◯ vs. ●ヒロヤ
- 2. 第2試合:フライ級トーナメント ホセ・トーレス● vs. ◯扇久保博正
- 3. 第3試合:フライ級トーナメント 伊藤裕樹◯ vs. ●エンカジムーロ・ズールー
- 4. 第4試合:フライ級トーナメント アリベク・ガジャマトフ◯ vs. ●征矢貴
- 5. 第5試合:フライ級トーナメント 神龍誠◯ vs. ●山本アーセン
- 6. 第6試合:ヘビー級トーナメント ジョゼ・アウグスト● vs. ◯マレク・サモチュク
- 7. 第7試合:ヘビー級トーナメント 上田幹雄● vs. ◯アレクサンダー・ソルダトキン
- 8. 第8試合:須田萌里◯ vs. ●NOEL
- 9. 第9試合:ヤン・ジヨン● vs. ◯安藤達也
- 10. 第10試合:伊澤星花◯ vs. ●シン・ユジン
- 11. 第11試合:バンタム級タイトルマッチ 井上直樹◯ vs. ●福田龍彌
- 12. 第12試合:秋元強真◯ vs. ●赤田功輝
- 13. 第13試合:金原正徳● vs. ◯YA-MAN
- 14. 第14試合:パトリッキー・ピットブル● vs. ◯野村駿太
- 15. 第15試合:クレベル・コイケ● vs. ◯朝倉未来
第1試合:フライ級トーナメント 元谷友貴◯ vs. ●ヒロヤ
フライ級トーナメント1回戦 元谷友貴 vs. ヒロヤ
RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
結果:元谷友貴◯ vs. ●ヒロヤ ※判定3-0
第1試合から第5試合までは、「RIZIN WORLD GP 2025」フライ級トーナメントの1回戦。まずはRIZIN旗揚げから参戦するベテラン・元谷選手と、5月の「RIZIN男祭り」で圧巻のTKO勝利を飾った若武者・ヒロヤ選手。前者はバンタム級からフライ級へ階級を落としての参戦、後者は7月からの米国武者修行での進化が問われる一戦となった。
1R目、ヒロヤ選手の大ぶりの右が掠める。会場にどよめき。果敢に攻めていくヒロヤ選手、冷静に見切る元谷選手。距離が縮まらない時間が続く。ボディストレートから元谷選手をコーナーに追い込む場面をつくるも、スタンディングでは甲乙つけがたい状況。残り1分でヒロヤ選手の指が元谷選手の目に入るアクシデント。しかしすぐに再開。最後は元谷選手の膝が入るも、1Rでは互いに様子を見る場面が多い内容となった。
2R目、プレッシャーをかけるのはヒロヤ選手。元谷選手は打撃とタックルの両方でカウンターを狙う。元谷選手の左がクリーンヒット。そのまま組みを狙うも、これはヒロヤ選手がディフェンス。元谷選手、再びカウンター。ヒロヤ選手がバランスを崩した隙をついてバックを取ることに成功。組みついて寝かせる。得意のバックチョークを狙いながら背後からパウンドを浴びせる。どうにかして正面に戻したいヒロヤ選手だが、足の四の字ロックを外すことができない。あわやバックチョークが極まるかと思ったところでゴング。
3R目、左ミドルのヒロヤ選手の攻撃からスタート。しかし元谷選手のコンパクトな打撃が刺さる。ヒロヤ選手も気持ちは折れていないが、元谷選手の手数が増えてくる。前蹴りからのショートアッパーのコンビネーションを見せ、着実に削りにいく。ラスト1分は互いの意地をかけた撃ち合い。そのなかで最後は元谷選手がタックルに行き、マウントポジションからパウンドを連打。互いに見せ場をつくったが、元谷選手の有効打が目立ったか。勝負は判定へ。
判定は元谷選手が3-0で勝利。優勝候補の一角として総合力で上回った。
第2試合:フライ級トーナメント ホセ・トーレス● vs. ◯扇久保博正
フライ級トーナメント1回戦 ホセ・トーレス vs. 扇久保博正
RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
結果:ホセ・トーレス● vs. ◯扇久保博正 ※判定0-3
第2試合では、共にアメリカUFCの有力選手を倒した実力者2人が激突。トーレス選手は現UFCフライ級3位のアミル・アルバジ選手に、扇久保選手は現UFCフライ級王者のアレッシャンドリ・パントージャ選手にそれぞれ勝利した経験を持つ。まさに“決勝戦”と呼べるほどの好カードとなった。
1R開始、蹴りで距離を測っていく扇久保選手。一瞬の隙を見せてタックルを仕掛けるも、トーレス選手がフィジカルの強さを見せて倒れない。四つ組の状態に。解かれた瞬間に扇久保選手の軽快なワンツーが入る。スピードと手数で上回るのは扇久保選手か。再び組みの展開から、扇久保選手が足をかけて転ばせることに成功。“おぎの塩”がはじまるのかと思いきや、バックポジションからチョークを仕掛けて会場を大きく沸かす。今回の扇久保選手はただの塩ではない! 見せ場をつくり、1Rは終了。攻める扇久保選手と、守るトーレス選手の構図。
2R目、ジリジリと詰めていくトーレス選手に扇久保選手がすぐに組みついて投げる。しかしすかさず立ち上がるトーレス選手。互角の攻防を見せる。膝蹴りをお見舞いして組みついてくる扇久保選手をはがしたいトーレス選手だが、執拗にタックルと組みを試みる扇久保選手。離れ際のトーレス選手のアッパーがクリーンヒット。打撃のシャープさはトーレス選手が一枚上手の印象。お互い大きな展開はつくれずに3R目に持ち込まれることに。
3R目、タックルを警戒しつつも攻めに出るトーレス選手。しかし扇久保選手がラウンド開始序盤からバックを取るのに成功。これはすぐさまトーレス選手が解除する。互いにディフェンス力が高く、一方的な展開に持ち込ませない。トーレス選手の打撃を掻い潜り、扇久保選手は何度も片足タックルを試みる。しかし被弾も増える。ややダメージの影響を感じさせる。決着は判定へ。
判定は扇久保選手が3-0で勝利。試合をコントロールした時間が長かった点が評価されたか。今後の塩漬けに期待したい。
第3試合:フライ級トーナメント 伊藤裕樹◯ vs. ●エンカジムーロ・ズールー
フライ級トーナメント1回戦 伊藤裕樹 vs. エンカジムーロ・ズールー
RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
結果:伊藤裕樹◯ vs. ●エンカジムーロ・ズールー ※判定3-0
第3試合は伊藤選手とズールー選手によるストライカー対決。ボクシング由来の身のこなしを武器に打撃を当てていく伊藤選手は、5月の神龍誠選手に敗戦後の復帰戦。初代RIZINフライ級王者・堀口恭司選手をぐらつかせた打撃とリーチの長さが特徴のズールー選手と対峙した。
1R目、ズールー選手のリーチが異次元に長い。しかし懐に潜り込んで果敢に攻めていく伊藤選手。互いの鋭い打撃が交差する緊迫感ある試合展開。長い蹴りが中心のズールー選手に対して、細かい連打を繋げる伊藤選手。隙をみて足を掴みにいく伊藤選手だが、外される。逆にタックルで上を取ったのはズールー選手。しかしグラウンドの展開は見せられずに1R終了のゴング。どちらが先に主導権を握るのか。
2R目、ズールー選手の右がクリーンヒット。バランスを崩したところをすかさず押さえ込みにいく。ディフェンスする伊藤選手。バックを取られるも膠着。ブレイクへ。再び打撃戦になるも、ズールー選手はテイクダウンの狙いも織り交ぜる。コーナー際でもつれ合う形に。しかし、展開をつくれずに再びブレイク。伊藤選手も倒されない。ボクシングスタイルの伊藤選手に対し、ズールー選手は攻撃のバリエーションが多い印象を受ける。
3R目、手数のギアを上げていく伊藤選手。ボディにも攻撃を散らしていく。しかし致命傷を与えることができない。ズールー選手はやや疲労が見えるか。ベースを落とさない伊藤選手。ズールー選手、たまらず足を取りにいくが力が入らない。伊藤選手の猛攻が続く。ズールー選手が倒れたところに肘を連打。ズールー選手は立ち上がることができない。このまま試合終了へ。
判定は伊藤選手が3-0。最後まで攻勢をキープし続け、勝利をもぎ取った。
第4試合:フライ級トーナメント アリベク・ガジャマトフ◯ vs. ●征矢貴
フライ級トーナメント1回戦 アリベク・ガジャマトフ vs. 征矢貴
RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
結果:アリベク・ガジャマトフ◯ vs. ●征矢貴 ※3R2分39秒KO
第4試合はダゲスタン共和国出身のガジャマトフ選手と征矢選手。ウーシュー散打からMMAに転向すると、プロデビュー以降の5戦ですべてフィニッシュ勝利のガジャマトフ選手。征矢選手は5月にジョン・ドットソン選手に勝利したものの派手さに欠けた一戦のイメージを払拭し、持ち前の打撃を強さを見せつけたい。
1R目、征矢選手が開始早々にタックルもテイクダウンにはならず。逆にガジャマトフ選手が征矢選手を倒してバックを取る。立ちの展開に戻るとガジャマトフ選手が回し蹴り。征矢選手はタックルも失敗。ガジャマトフ選手の左パンチが入ると思わず尻餅、背後からパウンドを落とされる。持ち立ち上がってコーナーで連打を浴びる征矢選手。反撃に出るもゴング。
2R目、蹴りを放つガジャマトフ選手、征矢選手も負けじとパンチを繰り出すも、共に決定打にはならない。スタンドで両者が打撃を繰り出し合う展開に。やや膠着した状態から征矢選手が片足タックルも防がれる。ラスト1分。征矢コールが巻き起こる中、前にじりじりと出る征矢選手。ガジャマトフ選手はやや手数が減る。
3R目、互いに攻撃を当てたい。ここでガジャマトフ選手がタックル、シャープさには欠けるもののスタンド状態でバックを取る。コーナーで押さえ込む展開も動き少なくアクションを促される。やや疲労の色が見える。リング中央に戻ると、互いにパンチを出し合う。ガジャマトフ選手は膝蹴りなど積極性が見られる。すると左フックが征矢選手にヒット。ダウンしたたところに追い討ちでパウンドを連打。ここでレフェリーストップ。
3R2分39秒でガジャマトフ選手がKO勝利。プロデビュー後の戦績を6戦6フィニッシュ勝利とした。
第5試合:フライ級トーナメント 神龍誠◯ vs. ●山本アーセン
フライ級トーナメント1回戦 神龍誠 vs. 山本アーセン
RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
結果:神龍誠◯ vs. ●山本アーセン ※1R2分58秒一本
第5試合はレスリングをベースに強い極め力を誇る神龍選手が、山本"KID"徳郁さんを叔父に持つ山本選手を迎え撃つ。フライ級国内最強の実力を示したい神龍選手と、ダークホースと目される山本選手の一戦は、このトーナメントの行方を左右する可能性が高い。
1R開始、細かいジャブで仕掛けていく神龍選手と大きく踏み込むアーセン選手。徐々に神龍選手がプレッシャーをかけ、コーナーに押し付ける。互いにレスリングに一長を持つ両者。アーセン選手が持ち上げ、そのままテイクダウンに行くも、神龍選手はフロントチョークを深く入れるのに成功。そのまま刹那のタップアウト。神龍選手が見事な一本勝利を飾った。
第6試合:ヘビー級トーナメント ジョゼ・アウグスト● vs. ◯マレク・サモチュク
ヘビー級トーナメント2回戦 ジョゼ・アウグスト vs. マレク・サモチュク
RIZIN MMAルール:5分3R(120.0kg)
結果:ジョゼ・アウグスト● vs. ◯マレク・サモチュク ※0-3判定
第6試合と第7試合は「RIZIN WORLD GP 2025」ヘビー級トーナメントの準決勝。まずはアメリカの格闘技団体・LFA推薦のアウグスト選手と、ポーランドの格闘技団体・KSW推薦のサモチュク選手の一戦。重量級ならではの迫力ある戦いに注目が集まった。
1R開始直後、アウグスト選手がカーフキックを効かせて会場を沸かす。しかし互いにインロー、カーフなどの下段の蹴りで間合いを掴む時間に。サモチュク選手が攻め、アウグスト選手はカウンター狙いか。手数はイーブン。展開がつくれないまま1Rは終了。
2R目、ベタ足で距離を詰めるアウグスト選手。互いに打撃を繰り出すが攻めきれない。サモチュク選手がここではじめて片足タックルにいくが、切られる。スタンディングの攻防が続く。アウグスト選手の重い打撃が近い距離でサモチュク選手を捉えそうになり、フットワークを使い距離を設定し直す。サモチュク選手の攻撃もクリーンヒットし、アウグスト選手がフラッシュダウン。しかし互いにもう体力の消耗が見られ、追撃には繋がらない。
3R目、サモチュク選手がアグレッシブに攻めていくが、アウグスト選手のカウンターも警戒しているのか、踏み込みは浅い。スタンディングの攻防が続くものの、どうしても単発の攻撃が多く、決定的なダメージを与えるには至らない印象。両者、見せ場をつくれないまま判定にもつれ込んだ。
判定は3-0でサモチョク選手。アグレッシブな姿勢が評価されたか。サモチョク選手はこれでヘビー級トーナメントの決勝に駒を進めた。
第7試合:ヘビー級トーナメント 上田幹雄● vs. ◯アレクサンダー・ソルダトキン
ヘビー級トーナメント2回戦 上田幹雄 vs. アレクサンダー・ソルダトキン
RIZIN MMAルール:5分3R(120.0kg)
結果:上田幹雄● vs. ◯アレクサンダー・ソルダトキン ※2R3分5秒TKO
第7試合は、ヘビー級トーナメント唯一の日本人となった極真空手出身の上田選手と、クロアチアを中心とした格闘技団体・FNC推薦のソルダトキン選手。トーナメント1回戦では同じ日本人のシビサイ頌真選手を強烈なローキックで沈めた上田選手。多彩な蹴り技を得意とするロシアの軍隊格闘技ベースのソルダトキン選手を上回り、一気に決勝までの道を突き進みたい。
1R目、一気に前に出て打撃を繰り出すソルダトキン選手。そのままコーナーポストに上田選手を追い込む。四つ組になるも、上田選手がポジションを返す。組み合いは互角、ブレイクがかかる。上田選手の強烈な蹴り、ソルダトキン選手も回し蹴りですぐさま返す。ソルダトキン選手がバックを取り、膝蹴りや足への踏みを織り交ぜながら攻撃を続ける。無理やり投げて上田選手を転ばせることに成功。ソルダトキン選手の攻勢が続くかと思いき、立ち上がって蹴りをお見舞いする上田選手。しかし再び押さえ込まれ、ここでゴング。手数もあり、迫力のある試合。
2R目、開始前に上田選手にロープ掴みの注意が与えられる。開始直後はソルダトキン選手がまた打撃で攻める。上田選手も得意な蹴りで応戦。上田選手のローブローで一時試合が止まるもすぐに再開。ソルダトキン選手は打撃の中に組みも混ぜ、総合力で戦う。上田選手の背中を抱え込み、横から膝蹴り、打ち下ろすようなパウンドを連打。上田選手は連打を浴びて動けずに、そのままレフェリーストップ。
ソルダトキン選手が攻撃の多彩さで上回り、決勝へと駒を進めた。

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3件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:12771)
好き
匿名ハッコウくん(ID:12770)
1番わかりやすく
余計な広告もない。
ありがたい。
匿名ハッコウくん(ID:12768)
ウホ