2022年に起きたゲームのキャラデザに関する訴訟
寺内康介 なお、ゲームキャラクターの著作権侵害については、直近でも2022年に中国のゲーム会社が開発したオンラインゲームでも訴訟が起きています(外部リンク)。登場するキャラクターは、如意棒に乗った孫悟空をイメージした猿、色つきの液体が入ったタンクをかついだサイエンティスト、刃物を持った大男、椅子に座った水色ドレスの女性、赤い頭巾を被った女性といった点で共通していたものの、東京地裁は、これらはアイデアが類似しているにすぎず、具体的な表現ではそれぞれ相違があるとして著作権侵害を認めませんでした(一部、そのまま複写したといえるほど類似したふくろうのキャラクターのみ侵害を肯定)。
著作権侵害が認められたキャラクター[1]、著作権侵害が認められなかったキャラクター[2][3](左側が原告、右側が被告)/それぞれ判決文別紙より引用
著作権侵害が認められなかったキャラクター[4][5][6](左側が原告、右側が被告)/それぞれ判決文別紙より引用
仮にポケモン社がポケットペア社を著作権侵害で訴えたら?
──今回の騒動を受けてか、株式会社ポケモンは1月25日に公開した声明の中で、「ポケモンに関する知的財産権の侵害行為に対しては、調査を行った上で、適切な対応を取っていく所存です」と発表しています。今後、ポケモン社などIP保有企業が『パルワールド』を問題視した場合、どのような取り組みが行われる可能性があるのでしょうか?寺内康介 著作権侵害に対しては刑事罰もありますが、現在日本では、海賊版の販売行為などを除いて、著作権侵害は親告罪(著作権者による告訴がなければ起訴することができない犯罪)となります。そのため、著作権者が告訴をしない限り刑事事件になることは考えにくいです。
それでは、ポケモン社がポケットペア社に民事訴訟を起こした場合を考えてみましょう。
裁判を通して、一部のパルが著作権侵害だと認められた場合、ポケモン社はポケットペア社に『パルワールド』の販売・配信差し止めや損害賠償を請求することができます。
しかし、そうなる前に、ポケットペア社は、著作権侵害が認められたパルをゲームから削除したり、差し替えたりする可能性があります。『パルワールド』はオンラインゲームなので、そのようなアップデートは可能です。これを行えば、以後の販売・配信を続けられます。
また損害賠償についても、『パルワールド』にはパルが100種類以上登場しますが、そのうち著作権侵害が認められたパルの存在がどれだけ売上に寄与したのか、というのも賠償額を決定する上で関わってきます。
ただ、著作権者は、時効にかかった分は別として、過去の損害賠償を求めていつでも提訴できるので、著作権侵害かが微妙な商品でビジネスを続けることは、既存の著作権者から提訴されるリスクを抱え続ける状況だとも言えます。その意味で、著作権に関するアクセルとブレーキの判断は重要です。
なお、仮に法的に問題がなかったとしても、世間が『パルワールド』をどう評価するかは、誹謗中傷にならない限りは自由です。著作権法的な適法性と作品の評価はまた別です。「適法だとしてもこうしたデザインは受け入れられない」との考えもあれば、「先人のアイデアから新たな作品をつくることこそサブカルを含む文化の発展だ」との評価もあるでしょう。
【画像】パルとポケモンの比較(13枚)
5件のコメント
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匿名ハッコウくん(ID:9600)
類似性の話ばかりで依拠性の話に触れないのが気になる
ポケットペアの開発方針からその辺りにも言及できるはず。
匿名ハッコウくん(ID:9599)
好意的な記事が多い中、そうでない記事を書かれるのが何故かってことを考えてみてもいいと思うな
匿名ハッコウくん(ID:9598)
そろそろ諦めていつまでもこんな内容書き続けるのはやめた方が良いかと……あんまりにも不毛です