「著作権が発生」することの意味するもの
寺内康介 続いて、体の配色がネイティオ、くちばしの配色がドデカバシ、目のデザインがコイキングやヤドンと似ていると言われるパル・クルットリを見てみましょう。クルットリ/画像はYouTubeのサムネイル画像
せいれいポケモン・ネイティオ/画像はポケモンずかんより
一対一での類似点をみると、ネイティオとクルットリは、くちばしやとさかの形状、目の形は大きく異なり、体の配色は似ているもののデザイン自体は異なるといえます。
まぬけポケモン・ヤドン/画像はポケモンずかんより
著作権を発生させるということは、そのパーツデザインを権利者が独占し、著作者の死後70年経つまで、誰もそのデザインを使用できないことを意味します。後でも説明しますが、こうしたありふれたデザイン、表現の幅が少ないデザインには著作権を発生させないというのが著作権法の考え方です。
おおづつポケモン・ドデカバシ/画像はポケモンずかんより
こうしてみると、既存作品から部品を取り出して寄せ集めれば著作権侵害にはならないのかという疑問がわいてきます。音楽でいうマッシュアップ(二つ以上の楽曲を一つにする技法)ですね。実は、マッシュアップをしたものについて、裁判所が差し止めをした例はあります。
かつて、『サザエさん』と『元祖天才バカボン』を合体させた「サザエボン」というキャラクターがいました(外部リンク)。1996年に衣料品会社・大成が商品化し大ヒットしたことを受け、翌1997年に長谷川町子美術館と赤塚不二夫さん、手塚プロダクションが提訴。同年8月に東京地裁から販売差し止めの仮処分命令が出ています。
裁判所は、この程度であればサザエさんあるいはバカボンのパパ単体の本質的特徴がサザエボンから感じられると判断したのかもしれませんが、この仮処分命令の内容は公開されておらず、大成側が類似性をどの程度争っていたか、裁判所がどう判断したかはわかりません。
表現の選択の幅や「ありふれた表現ではないか」も検討材料に
寺内康介 では、ポッチャマに似ているという意見も散見されるパル・ペンタマの場合はどうでしょうか? 両者とも、明らかにペンギンをモチーフにしたキャラクターです。ペンタマ/画像はYouTubeのサムネイル画像
ペンギンポケモン・ポッチャマ/画像はポケモンずかんより
しかし、それを判断する際には、「ペンギンをデフォルメしてキャラクター化したら、概ねこういうデザインになる」のように表現に選択の幅があるかどうか、もしくは「こういうデザインはポッチャマ以前から類似した例がたくさんある」といったありふれた表現ではないか(創作性があるか)といった点も考慮されます。
ペンギンを青色で表現するのはありふれていますし、顔の模様も「実物のペンギンからすると概ねこうなる」といったものに著作権は発生しないでしょう。そうすると、実物のペンギンからオリジナリティを出したデザイン部分が似ているかといった点がポイントになりそうです。
裁判では、被告側が、原告のイラスト以前から存在する類似デザインをどれほど出せるかが決め手になることもあります。類似した部分はありふれており、著作権侵害にはならない、といった反論ですね。
逆に、他に類似したデザインがないようなキャラクターと似ている場合は、著作権侵害と判断されやすいでしょう。実在のモデルがいなかったり、「実在の動物をデフォルメしても通常そうはならない部分が似ている」「そのデザインが原告イラスト以前にはあまりない」といった場合です。例えばムラクモとコバルオンはどうでしょう。
ムラクモ/画像はYouTubeのサムネイル画像
てっしんポケモン・コバルオン/画像はポケモンずかんより
ここまで見てきた他のパルに比べると類似性はありそうですが、果たして著作権侵害とまでなるかですね。
5件のコメント
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匿名ハッコウくん(ID:9600)
類似性の話ばかりで依拠性の話に触れないのが気になる
ポケットペアの開発方針からその辺りにも言及できるはず。
匿名ハッコウくん(ID:9599)
好意的な記事が多い中、そうでない記事を書かれるのが何故かってことを考えてみてもいいと思うな
匿名ハッコウくん(ID:9598)
そろそろ諦めていつまでもこんな内容書き続けるのはやめた方が良いかと……あんまりにも不毛です