批判多数の書籍『ゲームの歴史』講談社が声明「著者と確認作業を行っている」

批判多数の書籍『ゲームの歴史』講談社が声明「著者と確認作業を行っている」
批判多数の書籍『ゲームの歴史』講談社が声明「著者と確認作業を行っている」

『ゲームの歴史 1』/画像はAmazon商品ページから

ゲーム産業の黎明期から現在までを網羅的に追いかけるべく、作家・岩崎夏海さんとライター/編集者・稲田豊史さんによって執筆された全3巻の書籍『ゲームの歴史』。

同書には刊行後、ゲーム業界の関係者などからSNS上で、記述内容に誤りがあったり、主張のために誇張された記述があるとの指摘が集まっていた。

これを受け、講談社児童図書出版部は3月17日に声明を発表(外部リンク)。「事実誤認があるのではと複数の方からご指摘をいただいております」と状況を説明。「現在、編集部と著者で全体の確認作業を行っております」と報告した。

『ゲームの歴史』全3巻は現在、Amazonで電子書籍の取り扱いが停止、物理書籍も在庫切れとなっている(楽天ブックスなど他のECサイトでは購入可)。

在庫切れとなっている『ゲームの歴史』/画像はAmazonストアページから

ゲーム業界関係者から相次ぐ『ゲームの歴史』への指摘

『ゲームの歴史』は、2022年11月に全3巻が刊行された書籍。

もしドラ”こと『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』の岩崎夏海さんと、ファスト映画の消費スタイルが生まれた背景などを探る『映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~』の著者・稲田豊史さんが執筆した。

ゲーム&ウオッチやファミコンの誕生、ハードやタイトルの変遷、ゲーム以外での情報技術の発展、現在のe-Sportsとゲーム実況の隆盛やガチャ文化などに至るまで、網羅的に解説されている。

しかし刊行後、ゲームフリーク元社員で『ポケットモンスター 赤・緑』の制作に携わったとみさわ昭仁さんらから、SNS上で同書の内容が事実と異なっているとの指摘が上がった。

とみさわ昭仁さんは、同書で「ポケットモンスター」のアイデアがメンコから着想を得ているとする記述に対し、メンコも参考元の1つではあったものの、記述されているほど直接的な参考元ではなかったことを説明。

「ポケモンのゲームデザインの枠組みが見えてきた後で、交換をより促進するためにどうすればいいかという会議で、コレクター気質の強かったスタッフ(ぼくや西野浩二くん)を中心にして、『バリエーション』や『色違い』『出世魚』『ナンバリング』など、収集欲を喚起する要素を洗い出して仕組みをブラッシュアップしていきました」と当時を振り返っている。 また、任天堂ゲーム機専門雑誌『ニンテンドードリーム』の編集長などをつとめた岩井浩之さんも、とみさわ昭仁さんが振り返った当時の経緯に「僕が田尻智さんから直接聞いたお話とも合致しています」と同調。

『ゲームの歴史』の記述に対して、「事実関係はまあ大体合ってるんですよ。でも『●●が●●になったのは▲▲から着想を得た』的な理由付けが独自解釈であること。あと、ゲーム業界の著名人の言葉を引用しているものも自分のうろ覚えで書いたもの、という辺りにみんな怒ってるんです」と問題点を改めて提起した。 また、ハドソンでPCエンジン、ゲームボーイなどの作品やシステム開発に携わり、ゲーム誌でのライティング・編集も行う岩崎啓眞さんは、自身のブログにて同書の記述を自身の史観から訂正している(外部リンク)。

1
2
この記事どう思う?

この記事どう思う?

ゲームと書籍に関する記事

関連キーフレーズ

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。