花譜が生むクレイジーな熱狂と反抗 初の武道館ライブ「不可解参(狂)」レポート

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花譜が生むクレイジーな熱狂と反抗 初の武道館ライブ「不可解参(狂)」レポート

花譜3rd ONE-MAN LIVE「不可解参(狂)」in 日本武道館レポート

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「花譜の活動はずっと大変な世の中の動きと共にありました」

花譜さん本人が本編でそう語ったように、4年前、バーチャルYouTuber(VTuber)の過渡期に現れた歌姫の活動は、常に激動の時代の中にあった。

そんな彼女のアーティストとしての活動における重要なピリオドであるライブシリーズ「不可解」は、初回からバーチャルなアーティストによるライブの革新を続け、8月24日、ついに聖地・日本武道館にたどり着いた。

晴れ舞台に添えられた3rdワンマンライブのタイトルは「不可解参(狂)」。

「なんてったって!!狂ですから!何が起こるのか、私たちは果たしてどうなってしまうのか、みんなとまた新しい景色を見に行けるのがとっても嬉しいし楽しみです」

公式サイトに興奮気味に記されたメッセージからも前代未聞のステージとなることが予感される中、自身初にしてバーチャルアーティストとしても史上初、間違いなく新たな歴史をつくる伝説のステージが幕を上げた。記事最後の読者プレゼントまでお見逃しなく。
花譜3rd ONE-MAN LIVE「不可解参(狂)」アーカイブを見る 【画像30点】花譜「不可解参(狂)」フォトギャラリー 取材・文:オグマフミヤ 編集:恩田雄多

目次

惜しみないアンセムの連打で「不可解参(狂)」開幕

モニターに映し出されたのは夜の渋谷の街。いつもとは違う白いパーカーを纏った花譜さんがゆっくりと思い出深い土地を歩んでいくと、その果てにたどり着いたのは刺々しいオブジェクトたちに取り囲まれたバーチャル空間上のステージだった。

荘厳な音楽が鳴り響く中、会場中に渦巻く様々な感情を一身に受けて花譜さんが腕を広げると、ついに武道館にまでのぼり詰めたライブシリーズタイトル「不可解」が掲げられた。

破裂寸前にまで膨れ上がった期待をさらに煽るピアノとバンドのハイスピードなセッションにスクラッチ、ストリングスが合流し、スペシャルなライブの開幕にふさわしいゴージャスなイントロをつくり上げると、袖からゆっくりと今夜の主役が登場。 会場に集まった7000人の観測者(ファン)たちに見守られる中で始まったオープニングナンバーは「魔女」。数々のライブで歌い継いできた代表曲を挨拶代わりに最大出力で歌い上げ、瞬く間に武道館を自らの空気にしてみせる。

多くの舞台を彩ってきたアンセムはスペシャルなライブアレンジを伴って新たなフェーズへ進化しており、歩みを止めないアーティストとしての姿勢を力強く表明していた。

早くも過熱するフロアに「花譜です! はじめます!」といつになく元気な挨拶をすると2曲目「畢生よ」へ。

スクリーンには歌詞と共に疾走する花譜さんのシルエットが映し出される。当日は、アリーナおよび各ブロックの前方エリアにあたるプレミアムエリアの観客に、特典として無線制御のスペシャルペンライトを配布(オフィシャルグッズとしてもデザイン違いの無線制御ペンライトが販売された)。一瞬にして色を変えるフロアと共に武道館ならではのスペシャルな演出が楽曲の世界観を補強する。

真っ青に染め上げたフロアに伸びやかな歌声を響かせると、そこからシームレスに「夜が降り止む前に」へと繋ぎ、壮大なアレンジに唯一無二の歌声を重ね合わせて感情の波を呼び起こす。 惜しみない代表曲の連打からライブでは定番となっている花譜さんによる語りへ。「誰か恋し恋され、誰か殺し殺され、誰か愛し愛された」──独特の感性によって紡がれた言葉たちは、暗転した空間に漂って観測者たちの精神をざわつかせる。

弦楽器隊の奏でる美しい音色が鳴り響くと共に会場が瞬時に真っ赤に染まる。鋭いギターサウンドも加わって静から動へ荒々しくシフトすると次なる曲は「ニヒル」。

不確かな世界へ惑う思いに正面から相対するハードなロックナンバーで一気にフロアのボルテージを引き上げたかと思えば、続く「アンサー」では一転真っ暗な会場に花譜さん一人だけがライトアップされ、極上のバラードをより確かに印象づける。

それぞれ表情の異なる楽曲の魅力を、全開に引き出す圧倒的な表現力を惜しげもなく発揮する姿には、大舞台に立つ気負いは一切感じられず、その堂々たる様にはもはや風格すら漂っていた。

花譜、命を削らんばかりの絶唱

歩きなれた散歩道を行くかのごとく悠々とステージを歩く花譜さん越しに、満員に詰めかけたオーディエンスたちのつくり出す光の海が広がる。積み上げられたXR技術の粋によってつくられる夢のような光景に陶酔させられていると、名曲のイントロが鳴り響いた。

印象的な鍵盤の音色から始まったのは、「命に嫌われている」だ。冷酷なほどに淡々と言葉を並べる語りのような歌唱と、サビでの命を削らんばかりの絶唱のコントラストは神々しいまでに美しい。花譜さんが大きく手を振って「武道館!」と煽れば、すでに限界点を越えて熱狂するオーディエンスはさらなる次元へ引き上げられる。
花譜さんによる「命に嫌われている」のカバー
目を背けたくなるほどに残酷な現実の羅列から、生きることを激烈に激励する大サビへの展開は知っていてもなお心を強く揺さぶる迫力を放ち、叫ぶように放たれる最後のフレーズ「生きろ」が痛いほどに聴く者たちの心臓を鷲掴む。

すでに凄まじいまでの満足感だがまだ前半も前半。ようやくのMCではかつてないほど巨大なステージを左右にふらふらと楽しそうに行き来しながら「まだ夢の中にいるようですが、これは現実ですね(笑)」と花譜節を全開。

夢のような空間へ共にたどり着いたすべての観測者たちへ感謝を告げると「最後まで一瞬一瞬を目に焼き付けて、最高の思い出を一緒につくってください。つくりましょう!」と満開の笑顔を咲かせて次なる曲へ。
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