花譜が生むクレイジーな熱狂と反抗 初の武道館ライブ「不可解参(狂)」レポート

SINSEKAI STUDIOの表現者たちとフロアを爆熱の渦に

僕らのパーティをはじめよう

闇の中に鳴り響いた宣誓から始まったのは、スペシャルなナンバーで構成されたDJタイム「KAF DISCOTHEQUE」。「フォニィ」や「シル・ヴ・プレジデント」、「ノンブレス・オブリージュ」といったネットミュージックシーン発祥のアンセムたちが次々とミックスされていき、息つく間を与えない大ダンス空間をつくり出す。

本人不在なれど心休まる瞬間は訪れず、底無しの大狂乱を巻き起こしていたフロアに「歌唱用特殊形態 金糸雀」(読み:カナリヤ)へと形態変化した花譜さんが登場して、東京ゲゲゲイの「ダンスが僕の恋人」をカバー。

東京ゲゲゲイのMIKEYさんも駆けつけてデュエットを披露。

東京ゲゲゲイのMIKEYさんも駆けつけて、漆黒の衣装で舞い踊りながら花譜さんとのデュエットを展開。儚い少女の歌声とメロウな低音の融合が、なんともいえない調和を生み出した。

続いてはSINSEKAI STUDIOからORESAMAの2人が駆けつけて「CAN-VERSE」を披露。今日の晴れ舞台に合わせて描き下ろされたという新曲は、説明不要のORESAMA節全開のディスコポップだ。

ぽんさんと花譜さんの性質の異なるツインボーカルによって、ポップかつピースフルなバイブスが増強されていくと、花譜さんは歌詞に合わせて投げキッスもバラまいて、会場の隅々および画面の向こうまでをメロメロにしてみせた。

ORESAMAはこの日のために新曲「CAN-VERSE」を書き下ろした。

オリジナルスタイルのVALISとは「神聖革命バーチャルリアリティー」のパフォーマンスで会場を盛り上げた。

宴はまだまだ終わらない。今度は神出鬼没のバーチャルサーカス団・VALISが現れ、コラボ楽曲「神聖革命バーチャルリアリティー」を共にパフォーマンス。

アバターをまとわぬオリジンスタイルの6人と花譜さんが見事にダンスをユニゾンさせると、ステージ上には火柱が立ち昇りフロアを文字通り爆熱させていく。

V.W.P集結に花譜「安心感えぐすぎって感じ」

初の武道館ライブという晴れ舞台に個性豊かなゲストたちが駆けつけたが、彼女たちの姿を見ずにして終わることはできない。そんな期待に呼応してか、モニターには花譜さんと共にバーチャルシンガーグループ「V.W.P」で活動する幸祜さん、春猿火さん、ヰ世界情緒さんの姿が映るが、どうやら武道館へ車で向かっていたところ渋滞につかまってしまったようだ。

絶体絶命のピンチに現れたのはLくんなる謎の少年。その正体は花譜さんと常にともにあった巨大な魚のキャラクター・らぷらすだったという驚愕の事実が明かされると、魚の姿へ変身し、その背に3人を乗せて武道館へ向かう。

どうにか駆けつけた3人によって、アメリカ留学中の理芽さんを除いた「V.W.P」のメンバーが集結した。「3人がここにいてくれることが嬉しすぎて、安心感えぐすぎって感じ」と、頼れる仲間に囲まれて一気に表情が柔らかくなる花譜さん、普段はこういうやりとりをしているのかと思うとなんとも微笑ましい。

「ちょっと寂しいですが、この4人で……」と言いかけたところで「ちょっと待ったー!」と何者かによる待ったがかかる。「ハロー」の声と共にステージ袖からふらっと現れたのはなんと理芽さんだ。突然の登場に驚きを隠せないメンバーおよびオーディエンスだったが、この日のために一時帰国したという嬉しいサプライズで、ついに「V.W.P」のメンバーが揃い踏み。

全員集合した「V.W.P」の姿にオーディエンスも湧く。

いつまでも見ていたい5人によるゆるいやり取りもそこそこに、「準備いいのかー!」と独特な煽り方で観測者たちのボルテージを引き上げ、揃いの衣装「花魁鳥」(読み:エトピリカ)へと形態変化して待望の「V.W.P」パートが開幕した。

重厚な世界観をまとって口火を切ったのはヰ世界情緒さんとの楽曲「深淵」。真紅に染め上げた会場に繊細な歌声を折り重ねた美しき共鳴を響かせると、理芽さんとの「魔的」へと繋ぐ。再会を楽しむように軽快なセッションを繰り広げて、顔を見合わせながら最後のカウントダウンまで歌いきった。

春猿火さんとの楽曲「残火」では、互いのスタイルをバチバチにぶつけ合い、猛る情熱が火柱となって燃え盛る。武道館ライブならではのゴージャスな演出で文字通り火の海と化すステージに、今度は幸祜さんが現れ新曲「歯車」をパフォーマンス。

主役たる花譜さんが組む相手が変わるごとに、新たな表情を見せるのも見事だが、それに負けじと強烈過ぎるそれぞれの個性を顕在化させるメンバーたちの眩しいまでのパッションも頼もしい。 一息ついて再びゆるゆるとMCを展開すると「5人でもう一曲だけ歌いたいよね」と告げて賑やかに展開したV.W.Pパートを「共鳴」で締めくくる。

メンバーの名乗りから始まる文字通りの自己紹介ソングも晴れ舞台にふさわしいスーパー豪華アレンジが施されており、可愛くステップを揃える魔女たちの周りをオーラが包み込む演出もあいまって、唯一無二の祝祭空間をつくり出す。
V.W.P「共鳴」
決して混ざり合わない強烈な個性を、見事にユニゾンさせた果てに生まれる奇跡のような光景の顕現に何度目かのクライマックスを感じさせられたところで、再び会場が暗闇へ包まれた。
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