自らの音楽的同位体・可不との共演
今度はレーザー飛び交う現代的なダンス空間へ移行すると、「愛を哀を逢を藍に」のリフレインが印象的な「戸惑いテレパシー」へと繋ぎハイスピードナンバーを連打。
抒情的なリリックをたたみかけるように歌い上げ、至福のグルーヴを味わわせたかと思えば、急転直下ピアノの旋律のみの静かな立ち上がりから「次は私のはじまりの曲です」と告げて「糸」へ。
再び暗転したフロアに静かに言の葉が降り注ぐ。「君もあなたも上手く息が吸えていますように。忘れてしまう前にそう願った」──そんな理解を拒絶するような冷たさと、誰しもに寄り添うような暖かさの二律背反が心にさざ波を立てる。
モニターには謎の球体が映し出されると、ふよふよと浮かび神殿のような建物の奥へと進んでいく。最奥部に設置された棺の中に眠っていたのは、花譜さんの音楽的同位体・可不だった。ゆっくりと浮遊する球体が可不の中へ吸い込まれていくと、目を覚ました可不が歩み始め次なる幕へ。
たなかに大森靖子、豪華絢爛なゲストパート
自身の音楽的同位体・可不とも共演。
さらにダンス強度を上げて「流線形メーデー」に突入すると、無線ライトによってフロアが色とりどりに輝き始める。それに負けじと極彩色のハーモニーを繰り出し、最後は背中合わせのポーズでキメ。音楽的同位体との共演という選ばれし者にのみ許されたステージを楽しみきった。
再度漆黒に包まれた会場に語りが響き渡ると、モニターにはバーチャル空間上のステージにたたずむ花譜さんが映し出される。響く鐘の音、讃美歌のような神聖な旋律が聞こえ始めたかと思うと、花譜さんの周りを色鮮やかな花びらたちが舞い踊った。それに手をかざすと、包まれていくようにして形態が変化していく。
たなかさんとは「飛翔するmeme」をパフォーマンス。
様々なクリエイターとコラボした楽曲を展開する企画「組曲」の中からの一曲は、たなかさんの本領発揮たるタイトなビートに、幻想的なリリックを乗せていく浮遊感のあるポップナンバー。若き鬼才として世に出た同士による高次元のセッションを繰り広げるが、時折視線を合わせて楽しそうに微笑み合う姿が穏やかなムードを滲ませる。
「イマジナリーフレンド」では大森靖子さんとパワフルなステージを展開した。
ステージ上にはMVにも登場している後藤栞奈さんも登場し、まさしく乱舞といったダンスを繰り広げる。それらに負けじと芯の通った歌声を響かせる花譜さんと、三者三様の世界観をぶつけ合い、ほとばしる才能の衝突でしかつくりえない未知の世界を顕現させた。
高まりきったマッドネスをなだめるように桜舞う教室の景色が映し出されると、次なる曲はこの春の高校卒業に際してつくられた「裏表ガール」。ステージを端から端までゆっくりと漂いながら歌い、歩んできた青春の日々を愛おしそうに抱きしめる。桜吹雪と暖かな手拍子に包まれて祝福の音色を響かせると、最後には満面の笑みを見せて、このブロックを締めくくった。

この記事どう思う?
イベント情報
花譜3rd ONE-MAN LIVE「不可解参(狂)」in日本武道館
- 開催日
- 2022年8月24日(水)
<セットリスト>
M1:魔女
M2:畢生よ
M3:夜が降り止む前に
M4:ニヒル
M5:アンサー
M6:命に嫌われている (カンザキイオリCover)
M7:私論理
M8:戸惑いテレパシー
M9:糸
M10:化孵化 with 可不
M11:流線形メーデー(sasakure.UK Cover) with 可不
M12:飛翔するmeme with たなか
M13:イマジナリーフレンド with 大森靖子
M14:裏表ガール
M15:ダンスが僕の恋人(東京ゲゲゲイCover) with MIKEY from 東京ゲゲゲイ
M16:CAN-VERSE with ORESAMA ※新曲(ORESAMA提供によるコラボ曲)
M17:神聖革命バーチャルリアリティー with VALIS
M18:深淵 with ヰ世界情緒
M19:魔的 with 理芽
M20:残火 with 春猿火
M21:歯車 with 幸祜
M22:共鳴(V.W.P)
M23:過去を喰らう
M24:海に化ける
M25:人を気取る ※新曲(「過去を喰らう」三部作完結編)
M26:不可解
M27:未観測
M28:狂感覚 ※新曲(「不可解」三部作完結編)
M29:マイディア ※新曲(花譜作詞・作曲)
関連リンク
0件のコメント