花譜が生むクレイジーな熱狂と反抗 初の武道館ライブ「不可解参(狂)」レポート

花譜が生み出す熱狂の三部作完結編

新衣装として発表された「軍鶏」

大団円へと向かうべく、花譜さんまとったさらなる新形態の名は「軍鶏」(読み:シャモ)。触れがたいまでの繊細さと、荒々しい攻撃性を絶妙に同居させる見事なデザインの衣装で繰り出されたのは「過去を喰らう」。

いよいよフィナーレへと加速していく雰囲気の中、激しく鳴り響くバンドサウンドに負けじと疲れ知らずの歌声を響かせる花譜さん。小走りでステージの左右を行ったり来たりしつつ腕を振り上げてオーディエンスを煽り、大サビでフードを脱ぎさるとその頭部には冠が輝いていた。デザインや演出面でも巻き起こされるレボリューションにもう興奮を抑えつけることはできない。

ほとんどの楽曲にライブアレンジが加えられたスペシャルなセットリストを支えた総勢10名の強力バンドメンバーを紹介し、「海に化ける」へと繋ぐ。重厚な世界観を圧倒的なバイタリティで表現し、さらなる深淵へ引きずり込むようなパフォーマンスを展開し、次なる曲は「過去を喰らう」「海に化ける」に連なる三部作のラスト「人を気取る」だ。 まさかの流れで突入した新曲は、シリーズのDNAを感じさせるフレーズが散りばめられつつ、胸を抉るようなリアリティのある歌詞が飛び込んでくる、まさしくカンザキイオリさんのらしさ全開の一曲。初期から長く歌ってきた「過去を喰らう」から始まった旅路の総決算にふさわしいダイナミズムを秘める。

「『過去を喰らう』で大人になることに怯え、『海に化ける』で大人になることをやめて、そして『人を気取る』でなにかを諦め受け入れて、人になろうと再び努力する」

MCで三部作に込められた意図が明かされると、その世界観を見事に表現しきった歌姫に割れんばかりの拍手が送られる。 真剣な表情で語ったかと思えば、ゴキゲンで新衣装を見せびらかす。成長と共にその振れ幅が大きくなり、色とりどりの感情を真っ直ぐに見せてくれるようになった姿に涙と笑顔が止まらない。

「とにかく元気になれる、ちょっと馬鹿馬鹿しいくらいの楽しいお祭りにしよう」

ライブタイトルに添えられた「(狂)」の文字に込めたテーマを明かす花譜さん。いまだ収まらない感染症の脅威、終わりの見えない戦争、フィクションのような悲しみに立ち向かうために必要なのは、クレイジーなほどの熱狂──MADNESS──すなわち(狂)なのだ

静かなイントロから立ち上がる荘厳なアレンジで届けられたのは、初めてのライブに際してつくられ、それ以来歌い続けてきた「不可解」。始まりのライブからの確かな成長を感じさせる圧巻のパフォーマンスを展開し、シリーズの続き「未観測」へと繋ぐ。 強く優しく背中を押すストレートなロックナンバーは、孤高の天才でありながらも、誰も置いていかない優しさを両立させる花譜さんのスタイルを、まざまざと示す新たな名曲へと仕上がる。

そして、「不可解」「未観測」に連なるシリーズ完結編となる新曲「狂感覚」へ。クレイジーなタイトルに反して静かに語るように歌い上げる花譜さんに、ストリングスやドラムが合流して徐々に熱を帯びていく。シリーズの連関を確かに示すエッセンスの数々を配し、不条理に負けない狂の形を知らしめた。

VIRTUAL SINGER “SONG WRITER” KAF

いよいよ真なるクライマックスの気配が漂い、花譜さんの語りと共に謎の映像が流れ始める。舞い踊るダンサーたちに花譜さんの語りが合わさり絶妙に思考を揺さぶられる中、最後に「VIRTUAL SINGER KAF」という文字が映し出されたかと思うと、「VIRTUAL SINGER SONG WRITER KAF」へと変化した。

事態を処理できないまま祝福の拍手を挙げる会場にシンプルな装いになった花譜さんが現れると、作詞・作曲を自ら手掛けた「マイディア」を披露。

mydear ほんとは 誰にも言えないようなことだらけの頭で歌うの

最初から最後まで自らの言葉で紡がれた初めての楽曲は、確かな温かさや優しさを含みながらも、クライマックスにふさわしい荘厳さをまとう。色とりどりの花びらが舞い踊る中、名残惜しそうに、しかし満足感も感じさせるように微笑みながら、晴れ舞台のフィナーレを飾った。 「作曲のさの字の一画目も書けないようなペーペーですが、自分の書く曲が好きです」

謙遜の仕方にまでらしさを感じるが、作曲を通じて自らを肯定するという新たな一歩を踏み出した歌姫の進化は、これからも観測者たちを魅了し続けてくれるだろう。

マイディアは今歌を聞いてくれているあなたのことです。私の親愛なる人はいつだって歌を聞いてくれるあなたでした、本当にありがとう

涙ぐみながら伝えられた真摯な思いに、誰もが涙を抑えきれない。2018年10月から始まった4年間の旅路を振り返り、感謝を述べ、最高のメッセージを伝えると、再会を誓ってステージを後にした。

「あなたが観測してくれているから、私は私でいることができています。どんなに暗い悲しみにまみれた世界でも、明るく楽しく生きていくぞー! ここにいてくれてありがとう、大好きです」 エンドロールの後には花譜3周年10大プロジェクトの後半として、「花譜展3『この時間は言葉にしなくていいの。』」の開催、「過去を喰らう」の小説化、「バーチャルシンガー花譜の廻れ!MAD TV」の放送、花譜ライブシリーズ「不可解」完結編「不可解参(想)」の開催、そして3rdアルバム『狂想」の発売が一挙に発表された。

これだけのステージをつくり上げてなお、歩みを止める気配を一切感じさせない強気のインフォメーションに狂喜させられるが、これが新たな伝説への序章に過ぎないことはもうわかっている。

しかしそんな予想すらも遥か飛び越えていくのが彼女の花譜たる由縁。混沌の現代に現れた稀代の歌姫の進化を観測し続ける日々は、まだ終わらない。

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イベント情報

花譜3rd ONE-MAN LIVE「不可解参(狂)」in日本武道館

開催日
2022年8月24日(水)

<セットリスト>
M1:魔女
M2:畢生よ
M3:夜が降り止む前に
M4:ニヒル
M5:アンサー
M6:命に嫌われている (カンザキイオリCover)
M7:私論理
M8:戸惑いテレパシー
M9:糸
M10:化孵化 with 可不
M11:流線形メーデー(sasakure.UK Cover) with 可不
M12:飛翔するmeme with たなか
M13:イマジナリーフレンド with 大森靖子
M14:裏表ガール
M15:ダンスが僕の恋人(東京ゲゲゲイCover) with MIKEY from 東京ゲゲゲイ
M16:CAN-VERSE with ORESAMA ※新曲(ORESAMA提供によるコラボ曲)
M17:神聖革命バーチャルリアリティー with VALIS
M18:深淵 with ヰ世界情緒
M19:魔的 with 理芽
M20:残火 with 春猿火
M21:歯車 with 幸祜
M22:共鳴(V.W.P)
M23:過去を喰らう
M24:海に化ける
M25:人を気取る ※新曲(「過去を喰らう」三部作完結編)
M26:不可解
M27:未観測
M28:狂感覚 ※新曲(「不可解」三部作完結編)
M29:マイディア ※新曲(花譜作詞・作曲)

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