YouTubeやSNSにおけるランキングを席巻し、その名をインターネットで見ない日はない。まさしく新時代のアイドルグループといっても差し支えはないだろう。
そんな彼女たちにとって音楽とは、多岐にわたる活動の中で名刺代わりとなる存在。特徴やバッグボーンを活かしたキャラクターソングからリスナーへ伝えたい想いを込めたメッセージソングまで、アイドルとして一人ひとりの個性を輝かせる。
今回、ホロライブ所属タレントが発表してきた数十曲以上のオリジナル楽曲から31曲を厳選して紹介。0期生から海外勢まで、彼女たちを語る上で外せない名曲をまとめた。
※数字に順位やランキングなどの意図はありません。随時更新予定。
目次
- 1. hololive IDOL PROJECT「Shiny Smily Story」
- 2. 星街すいせい「Stellar Stellar」
- 3. Mori Calliope(森カリオペ)「Red」
- 4. AZKi「ナナワリエネミー」
- 5. 角巻わため「愛昧ショコラーテ」
- 6. ときのそら「Step and Go!!」
- 7. ロボ子さん「コトノハ」
- 8. 白上フブキ「Say!ファンファーレ!」
- 9. 夜空メル「かぷっとNight☆Sky」
- 10. アキ・ローゼンタール「シャルイース」
- 11. 湊あくあ「海想列車」
- 12. 百鬼あやめ「宵の余、良い!」
- 13. 紫咲シオン「メイジ・オブ・ヴァイオレット」
- 14. 大空スバル「ぷ・れ・あ・で・す!」
- 15. 大神ミオ「Howling」
- 16. 猫又おかゆ「もぐもぐYUMMY!」
- 17. 戌神ころね「ころねの最凶天災ワンダフォーワールド」
- 18. 兎田ぺこら「ぺこらんだむぶれいん!」
- 19. 宝鐘マリン「Unison」
- 20. 白銀ノエル「ほめのび」
- 21. 常闇トワ「Palette」
- 22. 獅白ぼたん「Lioness’ Pride」
- 23. 尾丸ポルカ「エヴァーブルー」
- 24. 桃鈴ねね「Lunch with me」
- 25. Moona Hoshinova(ムーナ・ホシノヴァ)「愛の小さな歌」
- 26. Pavolia Reine(ヴォリア・レイネ)「Gate Open: START!」
- 27. Ninomae Ina'nis(にのまえ いなにす)「VIOLET」
- 28. Takanashi Kiara(小鳥遊キアラ)「HINOTORI」
- 29. Gawr Gura(がうる・ぐら)「REFLECT」
- 30. IRyS(アイリス)「HERE COMES HOPE」
- 31. hololive IDOL PROJECT「BLUE CLAPPER (Bouquet ver.)」
hololive IDOL PROJECT「Shiny Smily Story」
喜怒哀楽にうつろう心に寄り添い、予期せぬ痛みを分かち合い、明るい未来の待つポジティブな世界へとリスナーを連れていく。歌う者は、そのメッセージ性をしっかりと届けなければいけない。その重みは彼女たちの両肩にずっしりとのしかかる。
アイドルでありストリーマーであるホロライブの所属タレントたちは、この曲の持つ圧倒的な強度のメッセージに勝るとも劣らない存在にならなければいけない。光り輝くアイドル、そのプレッシャーは計り知れない。
星街すいせい「Stellar Stellar」
「Stellar Stellar」は彼女自身が作詞を担当、名作『星の王子様』を読み込んで歌詞に落とし込んだという。TAKU INOUEさんのドラマティックなサウンドの中で、星街さんは伸びやかに声を上げ、眩いまでに光り輝く。シンデレラではなく王子様、なぜなら彼女は星なのだから。
Mori Calliope(森カリオペ)「Red」
彼女が自らリリック・映像を手がけた「Red」でも「Pressure mounting, but I'm doomed without it(邦訳:プレッシャーはあるけれど、それなしでは絶望的だ)」「The best don't sleep, I was all about it(邦訳:いっそ寝ないのが一番良い、それがいつもだから)」と心中を露わにする。
アニメーションも制作でき、ラップも上手く、ジャパン・カルチャーに染まった彼女は、MC・グラフィティ・ダンスにDJが絡んだヒップホップのリアルな精神性をバーチャルタレントの領域で表現していくようだ。
AZKi「ナナワリエネミー」
「何者」にもなれず足掻く心模様や死生観、過去への自省や未来への薄らとした希望まで、鬱屈とした自己を記したような「ナナワリエネミー」は、極私的なメッセージでありつつも共感者を増やしていった。
もはやメロディラインから飛び出してしまうほど無理矢理にリリカルな言葉を詰め込み、早口な語り口調で歌い上げる。裏返り、かすれ、叫びになり、切迫した感情が声に乗りうつる。「ナナワリエネミー」は彼女の“感情”そのものだ。
角巻わため「愛昧ショコラーテ」
童謡・ヒップホップ・ロック・エレクトロ・電波ソングと様々なタイプを歌いこなす実力派であり、声色も歌い口も表情のつけ方も変えられるテクニカルさはバーチャルタレントの中でも上位だろう。
「愛昧ショコラーテ」は普段の物腰柔らかいイメージと配信・音楽活動へのパッションが混ざった1曲。相対するはずの感覚が無垢な衝動となって混ざり合ったデビューソングだ。
ときのそら「Step and Go!!」
「Step and Go!!」は、2ndアルバム『ON STAGE!』から先行して2020年10月15日に公開された、一歩踏み出せない人の背中を押す超王道の応援ソング。
真っすぐでピュアな歌声、サウンドもポップスど真ん中。そのてらいのない音楽は、優しくて腰の低い、だが負けず嫌いな彼女のパーソナリティーを捉えている。
ロボ子さん「コトノハ」
2021年9月にリリースされた「コトノハ」では、アコースティックギターが印象的な優しいバッキング、クラップが響くゆったりとしたビートにソフトな感触のボーカル・コーラスが乗る。ロボットなのに人懐っこさが滲んだ1曲だ。彼女のムードやオーラを表現した「自己紹介ソング」としてもぴったり。
白上フブキ「Say!ファンファーレ!」
「Say!ファンファーレ!」はまさにそのイメージを具現化したようポップソング。サウンドひとつひとつや彼女の歌声も含めて軽やかな質感で揃い、彼女の明るく弾ける笑顔を音に変換したような圧倒的なポジティビティを有している。
夜空メル「かぷっとNight☆Sky」
2021年10月24日にリリースした「かぷっとNight☆Sky」は初めてとなるソロシングル。ファミコン風チップサウンドのイントロに導かれた楽曲は、4つ打ちのシンセビートを軸に、どことなくチープなディストーションサウンドの厚み、教会音楽を思わせるパイプオルガンの響きと、ゴチャ混ぜな要素がまとめ上げられている。
そんなトラックに乗せ、ヒップホップのライム&フローもこなしながら、夜空メルは軽快に歌っていく。不思議なバランスと意外性に富んだホロライブらしい1曲だ。
アキ・ローゼンタール「シャルイース」
配信中にたまに歌いだす「謎歌」もそうだが、彼女のオリジナル曲「シャルイース」も一聴すると「何を歌ってるんだ?」と真顔にさせられる1曲。デビュー後すぐに公開されたこの曲は、RPGゲームの劇伴と思わせるほどファンタジックな、教会音楽や中東音楽などをバックボーンにした民族音楽。そこに加わるのは、明らかに不可思議な歌詞。
新規ファンが困惑する様子もチラホラ見られるが、異世界言語なのだから理解できるがわけないだろう。YouTubeで公開されているMVで和訳はチェックできる。
湊あくあ「海想列車」
「引っ込み思案な自分を変えたい」と願いホロライブの門を叩いた少女は、3年間で変化していった自身を「回想」していく「海想列車」に、これまでの感謝と未来への希望を封じ込めた。作詞・作曲をつとめた40mPさんが、ピアノロックサウンドに煌びやかさと疾走感をもたせ、彼女の心情をしっかりと描き上げたのだ。
百鬼あやめ「宵の余、良い!」
和装の鬼の娘ながら、配信中にはよくおふざけを挟み、テンション高めでコロコロと笑ってみせる百鬼あやめさん。その外見・可愛らしさ・笑い上戸な気質を描くのには、このサウンドデザインは最適だろう。歌配信やカバー曲でも高い歌唱力を垣間見せているので、今後のオリジナル曲にも期待したいところだ。
紫咲シオン「メイジ・オブ・ヴァイオレット」
彼女のオリジナル楽曲「メイジ・オブ・ヴァイオレット」を作詞・作曲したのはかいりきベアさん。ボーカロイドシーンでヒットを量産してきたアップテンポなサウンドは、エレクトロとバンドが融合している。
感情や視点の矛先がコロコロと変わっていく歌詞は、テンポ良くメロディに乗せるために韻を軽く踏んでもいて、まるで配信中の彼女の無邪気さをも表現したかのよう。軽快なるこの曲には、いくつもの「魔法」がかけられている。
大空スバル「ぷ・れ・あ・で・す!」
彼女の「ぷ・れ・あ・で・す!」は『アイドルマスター シンデレラガールズ』の「Shine!!」「EVERLASTING」などの作曲に携わった滝澤俊輔さんによる楽曲。ラテンミュージックらしい展開を挟みつつ、ブラスセクションもノリノリなめくるめくファンキーサウンドの変化とキメフレーズの応酬は、彼女のハイテンポなツッコミのように聴こえてくる。
おうし座にあるプレアデス星団、和名はすばる。ホロライブの中にあっても煌々と光り輝く彼女にふさわしい楽曲だ。
大神ミオ「Howling」
ゲーム実況を中心に活動するユニットとして設立されたホロライブゲーマーズ。アイドル/ストリーマーという見立てでいえば当然、彼女は後者のストリーマー側のように見えるが、歌配信ではJ-POPだけではなくボカロから最新のアニソンまで歌い、RADWIMPS「スパークル」のカバーでは美声を披露した。
2010年代にいくつものアニソンを生み出してきた名手・ZAQさんが作詞・作曲をつとめ、静と騒を行き交うドラマティックな曲構成をパワフルなエレキギターやオーケストレーションで組み上げていく「Howling」。普段の配信よりもグっと低い声色で丁寧に歌っていく。
猫又おかゆ「もぐもぐYUMMY!」
おにぎり大好き食いしん坊という彼女のキャラを活かし、「もぐもぐYUMMY!」はフューチャベースなコミカルソングに仕上がった。ASMRにも向いてるウィスパー気味な声質を活かしたコーラスワークと気だるげに淡々と歌っていくメインボーカル、2役をうまくこなすあたりに彼女の巧みさがある。
戌神ころね「ころねの最凶天災ワンダフォーワールド」
そんな彼女のオリジナル曲「ころねの最凶天災ワンダフォーワールド」の作詞・作曲をつとめたのは、TVアニメ『干物妹!うまるちゃん』OPテーマ「かくしん的☆めたまるふぉ〜ぜっ!」やTVアニメ『三者三葉』OPテーマ「クローバー♣かくめーしょん」などを手掛けた作曲家・おぐらあすかさん。
電波ソングの持つコミカルさや超ド級にハイテンションなピコピコサウンドを現代風にブラッシュアップし、戌神ころねさんそのもののような魔性のキラーチューンに仕上げた。
兎田ぺこら「ぺこらんだむぶれいん!」
現在、ホロライブJPでは最大の登録者数を誇る彼女は、直情的なリアクションとツッコミだけでなく、この曲でも視聴者の心を掴んで離さない。
宝鐘マリン「Unison」
尖った四つ打ちのキックを軸にして、エキゾチックなパーカッションやシンセ音が細かな刻みでスっと入りこむ、複雑怪奇なビートメイク。加えて複数に分かれたコーラスは、どれがメインボーカルかも定かでないまま響き合う。コード感もほとんどない。
それでも、4声以上に分かれた宝鐘マリンさんの歌声はエロティックでセクシー。とんでもなくドラッギーかつアクロバティックな問題作だろう。
連載
日夜生み出される現象や事象を“ポップなまとめ記事”として紹介する人気連載。 いま注目を集めるジャンル、気になったときにチェックしたいトレンド──。 KAI-YOUでは「POP」を軸に、さまざまな対象をまとめて紹介していきます。
1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:4973)
さくらみこの「サクラカゼ」がないのでやり直し