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連載 | #35 ポップなまとめ記事をつくってみた

【2020年】日本のヒップホップ名曲まとめ 若手や女性、半グレからメジャーまで多士済々

KID FRESINO - Cats & Dogs feat. カネコアヤノ

ともに1993年生まれのラッパー・KID FRESINOさんとシンガーソングライター・カネコアヤノさんによる楽曲。

作曲には同世代のアーティストである石若駿さんなども参加しています。

タイトルの「Cats and Dogs」は、「土砂降り」を意味する英語の慣用句「It’s raining cats and dogs」からきているそう。

雨の日のモヤモヤとした気持ちに寄り添うようなリリックと哀愁や倦怠感を感じさせるトラックが最高です。

LOUD - SUSHIBOYS

SUSHIBOYSのEP『SUSHIBOYSの騒音集 Vol.1』に収録された一曲。

大声や騒々しいさまを表す「LOUD」という曲名から想像するほどには騒々しいだけではない、チープでノイジーな音は心地よささえ感じます。

デビューから変わらないいなたさを引っさげ、相変わらずずば抜けたラップスキルで繰り出されるリリック。

「Re Loud/予想にないでしょ?/ドアの向こう/風に乗って空まで飛ばせば」というフックが象徴しているように、『LOUD』には開き直った昂揚感と物憂げなのに突き抜けた解放感が凝縮されています。

本人たちも「BANされないか心配だった」という、騒音を彩るMVも最高。ひたすら頭が悪いけどわかりやすい解放感がたまらないです。

KREVA 「タンポポ feat. ZORN」

2020年は、舐達麻とCreepy Nutsの躍進に加え、ベテランのKREVAさん、中堅としてのZORNさんの確固たる存在感も抜きにしては語れません。

KREVAさんはPUNPEEさん・tofubeatsさん・三浦大知さんらと、ZORNさんはこれまでに紹介した以外にもANARCHYさん・ILL-BOSSTINOさんらとのコラボを果たしてきました。

ZORNさんは、自身の韻について韻を踏む単語同士のギャップである「韻の飛距離」にこだわっていると語っています。

自分のリアルを歌うヒップホップにおいて、学歴もキャリアもエリートであるKREVAさんと、葛飾のヤンキーから成り上がったZORNさんが生み出した「年少の独房、慶応を卒業/今交わるデコボコのオフロード」というパンチラインは、この2人にしか出せない2020年の最長飛距離と言えるでしょう。
KREVA YouTube Live #7 with ZORN
第一線で走り続けてきた彼らのコラボは互いのバースを持ち寄るのではなく共同で書き上げていったそうで、KREVAさんは当初ここまで硬く韻を踏むつもりはなかったものの、ZORNさんの完踏みに「引き上げられた」と自身のYouTubeチャンネルで語っています。

これを聞くと、2019年最も際立ったパンチラインの一つである「百千万(Remix)」でのZORNさんの「わざわざ格下を見ないでしょ 俺が葛飾のリヴァイ兵長」をサンプリングしたKREVAの「わざわざ格下を見ないでしょ 俺ら歩き出そう未来へと」がさらに深みを増してきます。

空音 / Hug feat. kojikoji

兵庫県出身の空音さんとシンガーソングライターのkojikojiさんの楽曲。

シティポップ的でどこか浮ついたトラックに、空音さんのスピット気味のキレのいいフロウとkojikojiさんの透き通ったメロウな歌声が演出する大人でも子供でもない「若者」感が最高です。

TikTokを中心に絶大な支持を集め、MVは2500万再生超え。2020年日本語ラップで最も再生された1曲と言っていいでしょう。

SEEDA - みたび不定職者 FT Jinmenusagi, ID

SEEDAさんの伝説的な名盤『花と雨』に収録された名曲「不定職者」の2度目のリミックス。

リミックスとしてはBESさんと漢 a.k.a. GAMIさんが加わった「また不定職者」が存在していましたが、2度目のリミックスとなる今回参加したのは若手でありながら最高峰の実力を誇るJinmenusagiさんとIDさん。

陽気でありながらシリアスさもあるまさに「不定職者」というビートを三者三葉に乗りこなすフロウは、何回聞いても飽きません。

初発表が2006年でありながら、いまだに最先端でもあるという異色の1曲に新たな節目が刻まれました。

希帆 feat.友達(重盛さと美) / uchiseiuchi 【Official Video】

フジテレビのバラエティ『めちゃ×2イケてるッ!』に出演していた重盛さと美さんと、友人である希帆さんの楽曲。

2人は、ヒップホップグループ・TERIYAKI BOYZが2006年に発表した楽曲「TOKYO DRIFT」をビートジャックした「TOKYO DRIFT FREESTYLE」ムーブメントに参加。

テレビではいじられ役という印象があった重盛さと美さんの高いラップスキルと抜群のセンスが話題になり、動画は2000万回以上再生されている。

その後発表された「uchiseiuchi」は、貧困家庭で育った希帆さんの生活を歌った一曲。リリックの内容に対してトラックは明るくポップであり、苦境すら笑い飛ばせる2人の関係が表れている。

余談だが、MVで使われているのは希帆さんの実際の実家だそう。

REAL-T - SERENA

2020年も様々なラッパーが逮捕されてしまいましたが、特に衝撃だったのはREAL-Tさんの逮捕です。

彼は関西の有名半グレグループに所属しながらラップ活動を行なっているのですが、9月に拉致・集団暴行事件を起こして逮捕されてしまいました(もう保釈されているようです)。

ハスリング、ギャングスタラップを歌うアーティストは数多くいますが、彼のラップは独特。楽曲「SERENA」では、警察が覆面パトカーに使用しがちな車種の名前をひたすら呼びかけ、教えてくれます。

そのユニークさもしかり、「ラップスタア誕生」においてSEEDAさんが言っていたような「エレジー」を多分に内包したメロディやビートにも注目です。

Creepy Nuts / かつて天才だった俺たちへ

今やバラエティに引っ張りだこのCreepy Nutsが2020年に発売した同名ミニアルバムの表題曲。

冴えなくて泥臭い「足りなさ」を歌ってきた彼らが、R-指定さんのフリースタイルダンジョン2代目ラスボス就任やDJ松永さんのDMC2019優勝など実力を発揮。

社会的な成功を得たことで若い世代にエールを送るまでになったという彼らのキャリアが織り込まれた1曲です。

ストリートではなく「たりないふたり」の成り上がりストーリーとしてこれまでのキャリアをパッケージングした彼らが、次に何を歌うのか注目していきたいと思います。

2020年のヒップホップを振り返る

2020年のヒップホップシーンを賑わせた楽曲をピックアップしましたが、いかがだったでしょうか?

現在日本のヒップホップシーンは、多くのジャンル/スタイルが混在し、カオスな様相を呈しています。

中でも、『ヒプノシスマイク』やVTuberなど、キャラクターラップの興隆や、「Zoom」や「Sai no Kawara」のようなインターネット上のコンテンツとして見られることを前提に作られた曲は印象的でした。

大衆の日本語ラップの認識をアップデートした『フリースタイルダンジョン』の終了などもありましたが、ストリートでは若いラッパーたちが精力的に活動する一方、ベテランも改めてクオリティの高い曲を出し続け、活性化したシーンは新しい才能や名曲を生み続けています。

さらに目覚ましかったのが、フィメールラップの盛り上がりです。コロナ禍の流れをいち早く取り入れ、曲にして見せた「Zoom」を筆頭とするその力は、2021年にはさらに大きなうねりとなってヒップホップシーン全体を巻き込んでいくかもしれません。

コロナ禍という大きなインパクトがありながらも、多様な場所で多様な動きを見せた2020年のヒップホップシーン。

2021年はどのような動きが起こるのか、引き続き目が離せません。

ヒップホップ最前線

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん

重盛さと美さんに触れてないのは、何か意図があったんでしょうか?

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