連載 | #35 ポップなまとめ記事をつくってみた

【2020年】日本のヒップホップ名曲まとめ 若手や女性、半グレからメジャーまで多士済々

【2020年】日本のヒップホップ名曲まとめ 若手や女性、半グレからメジャーまで多士済々
【2020年】日本のヒップホップ名曲まとめ 若手や女性、半グレからメジャーまで多士済々

BUDS MONTAGE / 舐達麻(prod.GREEN ASSASSIN DOLLAR)

POPなポイントを3行で

  • 2020年のヒップホップを振り返る
  • 日本語ラップの名曲を37曲選出
  • YouTubeも目立つ多様なシーン
様々な変化があった2020年。

新型コロナウイルスの流行や、Black lives matterの議論紛糾など、誰も予想だにしなかった問題と、歴史的に長年抱え続けてきた問題の噴出で社会が揺らぎました。

社会がかつてない状況を迎えているなか、ヒップホップシーンでも、国内におけるMCバトル人気を牽引した『フリースタイルダンジョン』の終了や、TikTokを爆心地に支持を獲得する若手の登場など様々な変化が起きました。

今回は2020年にYouTubeにMVが公開された楽曲から、KAI-YOU編集部の独断と偏見でセレクト。

2020年を彩ったヒップホップ楽曲の決定版を振り返りましょう。

※番号は便宜上振っているだけで、順位やランキングなどの意図は一切ありません。

目次

2020年 これだけは知っておきたい日本語ラップ37選!

kZm - TEENAGE VIBE feat. Tohji (Prod. Chaki Zulu)

ヒップホップクルー・YENTOWNに所属するラッパーのkzmさんのセカンドアルバム『DISTORTION』に収録された一曲。

肩の力の抜けたフロウに曲名通り10代の青春を載せたkZmさんのバースと、畳みかけるように青く弾けるような全能感を歌ったTohjiさんのバースが合わさった疾走感のある一曲。

『DISTORTION』にはYENTOWNのMonyHorseさん、LEXさん、Daichi Yamamotoさん、5lackさん、BIMさんといったヒップホップシーンで活躍するラッパーに加え、RADWIMPS野田洋次郎さんや小袋成彬といった大物アーティストも参加しており、Apple Musicの総合アルバムチャート1位も獲得した注目のアルバムです。

Awich - 洗脳 feat. DOGMA & 鎮座DOPENESS (Prod. Chaki Zulu)

YENTOWNに所属する沖縄出身のラッパー・Awichのアルバム『孔雀』に収録されている一曲。

個人的には見たこともない昭和のVシネを幻視するような、レトロで危ない雰囲気のするビートに、これまた昭和的なノイズ混じりの声で戦後から現代にいたるまでを織り込み「バカばっかだ全く」と切り捨てるのが痛快です。

ダーティーな衣装をまとった三人が出演するMVも色気満点で最高です。

ZORN / Have A Good Time feat. AKLO

そのキャリアは長いですが、2020年で勢いのあるラッパーといえば、ZORNさんは外せません。

2019年には、父親として家族のことを歌うラッパーとして、アメトークのようなテレビ番組でも紹介されたZORNさん。

昭和レコードから独立し、OZROSAURUSMACHOさんとの「REP」やAKLOさんとのこの「Have A Good Time」などワイルドでパンチのある曲を連発しています。

特にこの「Have A Good Time」はまずイントロのベースとMVの音ハメが気持ちよくて初めて聴くいた時は本編に行く前にここだけでリピートしちゃいました。

歌詞も、「表参道のオープンカフェよりお嫁さんとの醤油ラーメン」のようなZORNさんのこだわる"固くて飛距離の有る韻"が最高です。

AKLO - カマす or Die feat. ZORN

東京生まれメキシコ育ちで、3つの言語を操るハーフのラッパー・AKLOさん。

AKLOさんのバースで「近道無し培ったスキルでただ上げてくステージ」と歌う通り、堅実に実力で評価を得てきた二人のセルフボースティング的な曲。

「OK, Here We Go Again」を軸に韻と歌詞が展開していく手堅くもハイクオリティな構成が確かな実力を感じさせます。

ralph - Selfish (Prod. Double Clapperz)

持ち前の独特なフロウとダークで注目を浴びる新進気鋭のラッパー・ralphさん。

教会の讃美歌を思わせるような荘厳な声をバックにテンポの速いドラムが入ったビートに抑揚を強くつけずに高速のフロウががっちりとハマっていて鋭い歌詞と裏腹に聞き心地が物凄くいい不思議な曲です。

リリースされると「JapanViral 50」のプレイリストにランクインした必聴の一曲です。

AYA a.k.a. PANDA - あの頃から今

2018年に解散したS7ICK CHICKsのメンバー・AYA a.k.a.PANDAさんがこれまでの道のりを振り返る一曲。

明るくも落ち着いたトロピカルなビートに、静かに過去の道筋を振り返る歌詞が確かに未来への希望を感じさせてくれます。

そこにMVのかつてのライブの映像が加わると、歌詞では具体的に言及されていないこれまでの道筋に質感が加わりまた違った情感を味わえます。

ブライアン/日本のラッパーって・・・ 下手じゃね? 真似できない踏み方を見せるぉ

2020年、ある意味日本のヒップホップシーンで最も話題を呼んだのは、ブライアンさんかもしれません。

かねてからYouTuberとして活動しながら、度々ラップも投稿していましたが、3月に日本のヒップホップシーン全体にbeefを仕掛ける動画を投稿。

高いスキルとキツい下ネタで煽り力の高いそのフリースタイルは瞬く間に反響を呼び、動画は6月現在760万回以上も再生されています。

更にZeebraさんなども反応したことから、「#打倒ブライアン」とつけてアンサーラップを投稿するムーブメントが発生。これには晋平太さんも参戦し、さらに盛り上がりを見せました。

Moment Joon - TENO HIRA

韓国人ラッパーのMOMENT JOONさんが、差別問題に対するスタンスを提示する一曲。

差別という構造に関心を持ち、抵抗することの象徴として歌われているように感じる「見せて手のひら」はとても優しい響きで聴いていてグッと胸に響きます。

伝説のイベント「さんピンCAMP」の主催でもあり、反レイシズム運動などにも参加していた故・ECDさんへの思いを吐露する2バース目は、MVバージョンだとMOMENT JOONさんのライブでの肉声になっており、彼の背負っているものの重さがより伝わってきます。

世界的に波及した#Black lives Matter運動の最中である今こそ、今一度聴きなおすべき一曲ではないでしょうか。

4s4ki - NEXUS feat.rinahamu

ラッパーの4s4kiさんが、アイドルグループ「CY8ER」の苺りなはむさんとフィーチャリングした一曲。

映像作家のマザーファッ子さんが監督をつとめるMVは、夢かわ系の雰囲気を持つ2人が厳つい四駆の前で歌う、ゴリゴリのHipHopなテイストとのギャップも面白いです。

加えて、色合いや柄、小物が二人の夢かわさを裏打ちしつつも、それが画角や風などの演出でストリート的なカッコよさに早変わりするファッションも最高です。

「NEXUS」が収録されているアルバム『おまえのドリームランド』では、Rin音さんやAnatomiaさん、Gokou Kuytさんのような若手ラッパーだけでなく、フーチャーベース界からgu^2さん、Gigandectさん、maeshima soshiさん、Snail’s Houseさん、そしてこの曲をプロデュースしたKOTONOHAUSEさんのようにジャンルレスに気鋭のクリエイターが集結しています。

Red Eye & OVER KILL (FUJI TRILL & KNUX) - THUG LIFE

第16回高校生RAP選手権の覇者である若手ラッパー・Red Eyeさんと、ダークなサウンドを得意とするプロデューサーユニット・OVER KILL(FUJI TRILL & KNUX)が手を組んだ一曲。

曲全体を通して上の世代に対してかますDisは、大きなタイトルも獲った確かな実力と自信に裏打ちされていて痛快です。

上の世代を鎖に繋がれていると言い切り、「結局この町揺らすのあんたじゃない」と世代交代を宣言する曲とマッチしたストーリー性あるMVもカッコイイです。
interview: Red Eye
KAI-YOUでは「高校生RAP選手権」優勝直後のRed Eyeさんにインタビューしているので、あわせて是非チェックしてみてください。

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ポップなまとめ記事をつくってみた

日夜生み出される現象や事象を“ポップなまとめ記事”として紹介する人気連載。 いま注目を集めるジャンル、気になったときにチェックしたいトレンド──。 KAI-YOUでは「POP」を軸に、さまざまな対象をまとめて紹介していきます。

1件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:3349)

重盛さと美さんに触れてないのは、何か意図があったんでしょうか?

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