最終的な仕上げはPhotoshopへ
──仕上げはCLIP STUDIO PAINTからPhotoshopに移って作業されていますが、ソフト間をまたぐときの注意点はありますか?CLIP STUDIO PAINTもPhotoshopもpsdファイルでやりとりできますが、片方のソフトにしかないレイヤー効果であったり、どうしても細かい仕様の違いはあります。例えばトーンカーブも同じ所にカーブ座標の点は置かれるんですが、補完方法が違う影響で他方のソフトで開くと色が変わってしまうということがあり、調整レイヤーまわりはPhotoshopで作業するようにしています。
たまにPhotoshopからどうしてもCLIP STUDIO PAINTに戻ってキャラの修正をしなくてはいけないとなった場合には、その部分だけを抽出したpsdをつくってCLIP STUDIO PAINTに持っていって、手入れしたものをPhotoshopに戻して合成するというやり方をしていますね。
──身体に貼るロゴなどの「デカール」と言われる装飾?は主にIllustratorでつくられていますね。
そうですね。一部はPhotoshop上でもつくっていますよ。最初にいくつか使えそうなデカールをつくっておいて、その中から選んでイラストにはめ込んでいきます。 実はこのあたりの素材も、これまでの制作物から流用することがあって、SF作家・伊藤計劃さんの『ハーモニー』や画集でも使ったお気に入りのロゴが今回もあったり。作品を越えて使われるという点では、弐瓶勉さんの作品で登場する東亜重工のような雰囲気もあるかな。 ちなみに今回のインスピレーション元の一つに『WipEout』というレースゲームがあって、これに登場するマシンの持つ未来感を、デザインラインの一つの目標としていました。
表紙を手掛ける上ではデザイナーとの信頼も
──今回は表紙のイラストということで、デザインを担当されている草野剛さんとの取り決めもありましたか?僕は基本的には草野さんにお任せで、僕からもイラストは自由につかってくださいと言ってお願いしていました。イラストを渡す時にトリミング位置など簡単に指定を伝えてはいるのですが、草野さんの場合はお渡しすれば大体いい感じにしてもらえます。『ギルティクラウン』以来「BEATLESS」関連やEGOISTのジャケットでも草野剛デザイン事務所とは一緒に仕事をしているので、信頼関係は成り立っているのかな、と勝手に思っています。
アナログハック・オープンリソースをもっと活用しないともったいない
──今回の本について、あらためて参加していかがでしたか?今回こうして多くのクリエイターの方々にhIEを描いていただき、自分でもその設定を読み解くことで、アナログハック・オープンリソースの示す未来のカタチを、よりはっきりと感じることができました。
アナログハック・オープンリソースの設定を使ってストーリーやイラストを展開している人たちはすでにいて、このプロジェクトについてもコミケの企業ブースでの販売ではありますがオフィシャルの派生作品ではなく、あくまで自由に扱える設定を利用してつくった同人誌の立ち位置なのです。
『アナログハック・オープンリソース』は、イラストレーターに限らず、様々なクリエイターに向けて用意された大きな遊び場です。SF作品を作り上げていくためのに緻密に作り込まれたデータベースとなっています。長谷敏司さんによって、現在も更新され続けています。今回のこの本だけでなく、様々な派生作品が生まれることを楽しみにしています。
ANALOGHACK Cover Drawing
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