ファストな情報社会だからこそ、あえて失敗や試行錯誤を見せる
──YouTubeというプラットフォーム自体も、この10年で大きく変化しました。現在のYouTube業界をどのように見ていますか?
ふくらP 最近はAI動画が流行っているなと感じますね。それに対抗して同じような動画を出そうとはあまり思っていないんですけど(笑)。
どういう動画が流行っているのかは研究して、良いところと悪いところを整理して、参考にすることはありますね。
ふくらP また、生成AIに関して言えば、ハルシネーション(=生成AIが事実に基づかない情報を生成する現象)を知らない、「AIは万能で、毎回正しい答えを教えてくれる」と思っている人がいるかもしれないじゃないですか。そういう誤解がないように気をつけなきゃいけないと思っていて。
例えば「このAIがすごいね」っていう動画をつくりたければ、AIが間違えた部分をカットしてオンエアして、さも万能であるかのように見せることもできちゃいますよね。
でも僕らは、そうしたことはしたくない。生成AIが間違えることもあるというメリットとデメリットの両方を包み隠さずに伝える存在でありたいと思っています。
ふくらPさん
東言 僕らがYouTubeで発信しているクイズ動画も同じですよね。すごい正解も映しますが、間違えているところもテレビよりもたくさん見せて、試行錯誤の過程も良いところがあるんだよと見てもらう。
伊沢拓司 ファストな情報社会の中で、テレビだったら絶対に切られているようなところもQuizKnockは切らなかったりしています。
これは、9年間で築き上げてきた、視聴者の皆さんに対する「こういうところ見せても大丈夫だよね」という信頼があるからこそ出来ることでもあります。
YouTube業界が変わっても、僕たちの積み上げたものは変わらない。この10周年を迎えるにあたって応援してくれた皆さんにより感謝したい部分のひとつであるかなと思います。
伊沢拓司「QuizKnockのスタイルが時代に追いついた」
須貝駿貴 YouTubeの環境変化で言うと、10年前は横動画でも3分くらいの短い動画が主流だったじゃないですか。今は20分の動画でもちゃんと見られますよね。
この10年で、YouTubeというプラットフォームに視聴者が愛着を持ってくれたことで、長くても見てくれるようになったんだと思います。
ふくらP 20分の動画って9年前だと、よっぽどのことがないとできなかったけど、今は「この動画は20分を超えてもいいか」と判断することもありますね。下手したら1時間くらいの動画も出していますし。
山本祥彰 やっぱりYouTubeがより身近なものになり、テレビのように「ながら見」をする人が増えたことも大きいでしょうね。
伊沢拓司 コネクテッドTVを使ってテレビでYouTubeを見る人が増えてきたからこそ、家庭のリビングで見るような「安心安全」なコンテンツの価値が高まってきているように思います。
だから、僕らがずっと大事にしてきたこのスタイルが、9年目にして追いついてきたかなと(笑)。
──本日はありがとうございました! 最後に、KAI-YOUの読者へメッセージをお願いします。
伊沢拓司 KAI-YOUの読者やこの記事を読んでくださっている方は、コンテンツを分析したり俯瞰して観たりするのがお好きな方もいらっしゃると思います。
QuizKnockも全力で考えてコンテンツを制作しているので、その考えに対して、皆さんの意見をぶつけていただけると嬉しいです。
ただ応援していただくだけでなく、様々な角度から僕たちの活動を見ていただくことも、また応援の一部だと考えています。皆さんと高め合いながら、10周年という節目を迎えられたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします!
※記事初出時、東言さんのお名前の記載に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

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