Webメディア・QuizKnockが7月13日(日)、企画記事「【ズルし放題】ラップバトル、時間無限ならプロにも勝てる説【すぐに後悔】」を公開しました。
ラップ素人である京都大学出身のライター・シャカ夫さんが、「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」第20回優勝者の狺-TARØET(ごんたーげっと)さんに、フリースタイルMCバトルで“ハンデマッチを挑む”という本企画。
早速、筆者も一読したのですが……タイトルから想像していた以上に斬新で面白い内容でした。
山本祥彰、ふくらPも協力! QuizKnock総力を挙げMCバトルに挑戦
まずは、本記事のあらすじをご紹介。
本来、フリースタイルMCバトルでは、ラッパー同士がその場の即興でラップ対決を行うものですが、今回はハンデとして、素人のシャカ夫さん側だけが時間無制限でラップの内容を考える(※)ことができるルールで対戦します。
※なお、フリースタイルMCバトルにおいて、“即興性”は重要視されている要素のひとつです。例えば、ラッパーが即興で紡いだフレーズではなく、事前に用意していたフレーズ(いわゆるネタ/仕込み)を披露すると、相手にそこを突かれ敗北するケースもあります。
とりあえず形から入ったシャカ夫さん/画像はQuizKnockより
「郵便ラップバトル」ルール
・8小節3本の勝負
・メールで録音したヴァースをやりとり
・狺-TARØETさんはなるべく早く返信
・シャカ夫はどれだけ時間をかけてもいい「【ズルし放題】ラップバトル、時間無限ならプロにも勝てる説【すぐに後悔】」より引用
先行を選んだシャカ夫さん側は、漢検準1級を持つ狺-TARØETさんに対し、<漢検準1級? ほんまかよw/そんなの俺に効果あんの?><高ラチャンプ倒す 壮大な話/今日は見せつける 京大魂>などと口撃。
しかし、後攻の狺-TARØETさんは、<まぁ頑張って歌詞書いたのは伝わってきたけど/結局自分がやりたいラップってのがあんま伝わってこないぜ/そういうの四字熟語で「画虎類狗」って言うんすよね/あ、漢字わかんないすよね、ごめんなさぁい>などと余裕でカウンター。
窮地に立たされたシャカ夫さん側は、ルールの穴を突き、漢検1級を持つ山本祥彰さんやQuizKnockの参謀・ふくらPさん、クイズ最強双子の東言さん、東問さん、エンタメ/カルチャーへの造詣が深い須貝駿貴さんら、QuizKnockメンバーを召集。
東問さん(左)、ふくらPさん(右)からアドバイスをもらうシャカ夫さん/画像はQuizKnockより
彼らからアドバイスを貰いながら、QuizKnockの総力をかけ、狺-TARØETさんに何とかMCバトルで勝利すべく悪戦苦闘する──というのがおおよその流れです。
ラップ/MCバトルの基礎知識も自然な流れで説明
本企画の「即興でさえなければ、例え未経験/初心者だとしてもラッパーにも勝てるのではないか」という着眼点の鋭さ、QuizKnockメンバーが一堂に会するという豪華さには、膝を打つところ。
また、MCバトルを楽しむの必要な基礎知識が、軽くではあるものの、ごく自然な流れで説明されているのもポイントです。
例えば、シャカ夫さんが、QuizKnockの漢検1級保持者の山本祥彰さん、長野春太さん、鹿野さんの3人とラップの内容を検討する次のシーン。
鹿野:そういえば「韻が固い」ってどういうことですか?
シャカ夫:長い言葉の母音をきっちり合わせている韻が「固い」って言われるね。
長野:固い韻だけじゃなく、ちょっとくずれてる方がオシャレに聞こえることもありそう。
山本:なら、これも「画虎類狗」と踏む四字熟語としていけるんじゃない?「【ズルし放題】ラップバトル、時間無限ならプロにも勝てる説【すぐに後悔】」より引用
もちろん、専門的な解説とは言い難い“ラフ”な紹介の仕方ではありますが、MCバトルの勝敗を決めるのに欠かせない、ラップの良し悪しに関わる知識、文脈や概念が、登場人物たちの会話の中で触れられています。
(一方、QuizKnockメンバーによるアドバイスは、言語学/文学的な観点からのアプローチに比重が置かれすぎている気もしなくもないですが……恐らくテキストメディアという媒体の特性もあるのでしょう)
その極めつけが、記事終盤のヒップホップ好きで知られるクイズ王・伊沢拓司さんによる、本MCバトルの審査および講評。勝敗のネタバレになるので、ぜひ読者のあなたの目で確かめてください。
「楽しいから始まる学び」をコンセプトに掲げるQuizKnock。今回の記事もまた、その理念を体現したものに仕上がっていました。

この記事どう思う?
関連リンク
0件のコメント