ファッションブランドのバレンシアガ(BALENCIAGA)が、Instagramに一風変わった動画を投稿しました。
内容は、3DCGキャラクターが電車の中で音楽に合わせて踊る、シンプルなもの。しかし、そのキャラクターが日本の漫画/アニメ作品に登場しそうな「アニメルックの美少女」であるのがポイントです。
動画は8月12日に公開後、本記事執筆時点で再生回数142万回、いいね4.4万件を突破。コレクションが直接登場する動画と比べると控えめですが、直近の動画の中では比較的リアクションが多めです。
バレンシアガといえば、スペイン発のラグジュアリーブランド。グッチやサンローランと共にケリング・グループの傘下に位置付けられています。
そんなハイブランドが、なぜ「アニメルックの美少女」の動画を投稿したのでしょうか。
VRChatアバター「ユキちゃん」が装いを変えて出演
筆者の調査によると、この動画に登場するキャラクターは、ソーシャルVRサービス・VRChat向けに制作された市販アバターのひとつ「ユキちゃん」。
VRChat向けアバター「ユキちゃん」/画像はBOOTHショップ「Honeycrisp」より引用
「ユキちゃん」は、動物の耳と尻尾が生えた少女型のアバター。バレンシアガの投稿映像に登場するものは耳と尻尾を取り除き、髪色などを少し変更したものとなっています。
服装もバレンシアガの2025年秋コレクションの一着に変更。Instagram側の説明文から、この動画は2025年秋コレクションのプロモーション映像と思われます。
映像を制作したのはHirokazu Yokoharaさん(外部リンク)。背景CG担当はfumiyaさん(外部リンク)。
前者のHirokazu Yokoharaさんは、VFXアーティスト集団・Khaki所属。KAMITSUBAKI STUDIOのバーチャルシンガー・花譜さんとMONDO GROSSOのコラボ曲「わたしの声」のMVなどを手がけています。
先端技術やエンタメに寛容? バレンシアガのユニークな企画
実はバレンシアガは、先端技術やエンタメコンテンツの採用はかなり積極的です。
『Fortnite』に登場したバレンシアガのデジタルアイテム/画像は『Fortnite』公式サイトより引用
デジタルファッションの文脈では、バトルロイヤルゲーム『Fortnite』でファッションアイテムを展開。
ランウェイを映す180度映像や、Appleの空間コンピューター「Apple Vision Pro」向けアプリなど、テクニカルなコンテンツも発表しています。
また、2021年にはコメディアニメ『ザ・シンプソンズ』のコラボ作品も発表しています。
技術とエンタメに寛容な土壌があったからこそ、今回の「ユキちゃん」が踊る動画が生まれたのかもしれません。
アバター以外にも活用されるVRChat向けアバター
なお、VRChat向けアバターは、個人がVR空間で用いる姿、あるいは操演したいキャラクターとして購入・カスタマイズされるのが一般的です。
一方で、手に取りやすい市販の3Dキャラクターモデルとして、アバター以外の用途に活用されるケースも一定数見られます。
一例として、にじさんじ所属の竜胆尊さんの5周年記念配信が挙げられます。
にじさんじ・竜胆尊さんの5周年ライブでは、VRChatアバター「華夜」がバックダンサーアバターに採用/画像はYouTubeスクリーンショット
この配信では、バックダンサーのアバターとして、VRChat向けアバター「華夜」が採用。にじさんじ由来ではない3Dモデルの登場は、視聴者の間で話題になりました。
ただし、VRChat向けアバターは個人利用を想定したものが多く、法人利用や商用利用の許諾はアバターによって異なります。制作クリエイターへの許諾確認が必要なケースも多いため、安易な利用には注意が必要です。

この記事どう思う?
関連リンク
0件のコメント