読者にもキャラクターにも嫌われるヒロイン・ラヘル
もう一点、『神之塔』で型破りだと思った要素が、ヒロイン(?)の少女・ラヘルだ。「塔の頂上で本物の空を見たい」という願いを持つ彼女は、作中において徹底的に持たざる者として描かれている。 『神之塔』の冒頭で、主人公・夜はラヘルを追うという受動的な動機で塔を登り始める。しかし、実は運命的な出自を持ち、塔に呼び寄せられたのは夜の方で、ラヘルには感動的な運命は無く、才覚すらもない。
さらに、ラヘルは容姿に恵まれているわけではなく、自分を顧みず、他人のせいにしてばかりで成長もできていないことを作中で明言されていたり、結果的にうまくいっても何一つ自分の手で成し遂げられなかったりと、散々な扱いを受けている。
ダークヒーローにすらなれないダーティーっぷり
しかし、ラヘルはそんな逆境にめげない。手を差し伸べてくれた人を裏切り、あらゆる汚い手を使い、恵まれた人間へのコンプレックスを爆発させながら塔を登っていく。その姿は時に、優秀な血統を持つ貴族や才覚ある者が理不尽な支配を敷く、「神之塔」の構造に不満を持つ人々からの共感を生みすらする。
ここまでならダークヒーロー然としているが、ラヘルの凄いところは、そうしてできた仲間にすらドン引きされるような利己的な行動を繰り返すことだ。
あまりにも利己的なため、登場した話ではほぼ100%コメント欄が荒れるほど読者から批判されている。
夜とラヘル、2人と対比が物語をスリルに
しかし、筆者個人としては、ラヘルは『神之塔』に必要不可欠な存在だと思っている。順当にパワーアップし、仲間を獲得し、主人公らしい道を行く主人公・夜と対比されるように、利己的に自分の道を行き、どうなるのか全く読めないラヘルの存在があるからこそ、『神之塔』をハラハラドキドキしながら読むことができている。
粗削りな部分もあるが、エンタメとしての確かな魅力を持った『神之塔』。今回紹介した以外にも「そんなのアリ!?」という展開はまだまだあるので、アニメだけでも一度観てみて欲しい。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:5482)
45億PVという累計の数字は一見凄いが、現在はほとんど話題になってない漫画です。
まずグーグル検索量ではワンピースが100で神之塔が1。TIKTOKでの動画再生数はNARUTOが2230億で神之塔は4億。
日本の漫画が全世界で毎日のようにトレンド入りしてるのに対して、神の塔は2021年は韓国とブラジルで1回ずつしかトレンド入りせず。
紙の本の売上も鳴かず飛ばず、アニメは円盤化もされず1期で打ち切り。キャラクター認知度も非常に低い。
日本のヒット作に比べると大した作品ではないです。