ホラー作家・背筋さんの代表作『近畿地方のある場所について』の漫画版が、Kindleで50%ポイント還元セール中。
KADOKAWA系作品を対象にしたキャンペーン「ニコニコカドカワ祭り2025」の一環です。
そのため、同じくKADOKAWA刊行の『近畿地方のある場所について』の小説に加え、登場人物が変更された同作の文庫版、背筋さんの2作目となる『穢れた聖地巡礼について』の小説と漫画版もセール対象。
この夏には映画化も果たし、興行収入15億円のヒット。近年盛り上がってきたホラーブームを象徴する作品の一つとなった背筋さんの作品群に、実質半額で入手できるチャンスです。
この記事では、セール対象の各作品を紹介。気がつけば僕も背筋さんの著作はすべて読んでしまい、実写映画も2回観てきましたが、今のところ怪奇現象は何も起こっていません。未読の方はこの機会に、背筋さんのホラーエンタメを体験してみてください。
視覚的に怖い漫画『近畿地方のある場所について』
漫画『近畿地方のある場所について』/画像はAmazonより
まずは『近畿地方のある場所について』の漫画版から紹介。背筋さんの小説を原作に、碓井ツカサさんが作画を担当しています。
『ノロイ』の白石晃士監督の“らしさ”が際立った実写映画とは異なり、コミカライズは基本的に原作の物語をベースに進行。小説では想像で補うしかなかった人やモノのビジュアルが表現されています。
碓井ツカサさんの不気味さを表現する筆致も巧みで、視覚的な恐怖を味わえるという意味では、原作を読んだ人でも楽しめる一作です。既刊2巻。どちらもセール対象です。
登場人物が異なるのはなぜ?『近畿地方』文庫版
文庫『近畿地方のある場所について』/画像はAmazonより
続いて紹介するのは、映画公開(8月)を控えた7月に刊行された『近畿地方のある場所について』の文庫版。作者は小説と同じく背筋さんです。
KADOKAWAの公式サイトなどでは、本書の編集を手がけた小澤雄也を名乗る人物が、ある人物に関する情報提供を呼びかけるというあらすじが公開されています。
一見、登場人物が違うだけで、物語の内容は単行本と同じと錯覚しますが、読み進めることで「自分は今まったく異なる物語を読んでいる」と気づくはず。文庫化でここまで変えるのすごい。
純粋なホラーというよりも、より人間の物語としての悲劇が強調されている印象。単行本との関連性や時系列を考察したくなってしまうかもしれません(筆者はYouTubeで考察動画をいろいろ観ました)。
すべてのはじまり『近畿地方のある場所について』
『近畿地方のある場所について』/画像はAmazonより
漫画版も文庫版も映画も、すべてはここからはじまりました。背筋さんのデビュー作であり現時点の代表作である『近畿地方のある場所について』です。
オカルトライターと雑誌編集者が失踪事件を調査する過程で、過去に起きた様々な未解決事件や怪現象が、すべて“近畿地方のある場所”で起きていた事実を知るという物語。
Web小説サイト「カクヨム」への投稿を経て、2023年8月に刊行された同作は、現在までに累計発行部数80万部を突破。僕は書籍版からこの作品を読んだのですが、背筋さんがネット上の数ある匿名アカウント・背筋だった状態の「カクヨム」時代に読んでおけばよかったと後悔しました。
それくらい、モキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)という手法や構成が巧みで、読み進めるごとに身体の芯からゾワゾワします(最初は怖いけど徐々に快感に変わります)。クライマックスに差し掛かった時は深夜2時を回っていましたが、一気に読んでしまいました。怖くても読ませるドライブ感に感動しました。その後は眠れませんでした。
人間ドラマを強化した『穢れた聖地巡礼について』
『穢れた聖地巡礼について』/画像はAmazonより
『近畿地方のある場所について』と比べると、よりストーリー性や人間ドラマの描写が強化されているのが、背筋さんにとって2作目となる『穢れた聖地巡礼について』です。
メインの登場人物は、フリーの編集者・小林、心霊スポット突撃系YouTuberの“チャンイケ”こと池田、そして幽霊を見ることができるライター・宝条。
漫画『穢れた聖地巡礼について』/画像はAmazonより
編集者の小林と池田が、ファンブックを制作する過程で、池田が過去に動画で取り上げた心霊スポットに追加取材。読者が喜ぶ考察/怪談をでっちあげていく中で(ヤラセですね)、徐々に異変が起こりはじめます。
3人それぞれの人間性や後ろめたい過去、行動原理などが、視点を変えて描かれていくことで、物語としての読み応えも十分。怖いは怖いのですが、複雑さはそこまでないので、この作品から読みはじめるのもおすすめです。既刊1巻のコミカライズとあわせてどうぞ。

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