市場調査で知られる矢野経済研究所が4月15日、2024年10月~11月にかけて実施したVTuberに関する消費者アンケート調査の結果を発表した。
アンケート回答者のうち、VTuberの「推しがいる」と答えた人は68.6%、「推しはいない」と答えた人は18.3%、「わからない」と答えた人は13.1%。
調査によると、大多数のVTuberファンには推しが存在しており、視聴形態としては年齢層が低くなるほど「切り抜き・編集動画等」の割合が増えている。
「VTuberファン」のうち、推しがいるひとの割合/画像は矢野経済研究所公式サイトから
1200人のVTuberファンを対象に、視聴傾向を詳しく調査
矢野経済研究所の調査は、2024年に日本国内在住の15歳~44歳の男女3万7353名を対象とした消費者アンケート調査の一環として実施された。
同調査の中で趣味を「動画視聴」、好きな動画タイプを「VTuber」と回答した男性600名、女性600名の計1200名を「VTuberファン」と定義。
彼/彼女らに、SNSなどの利用状況やVTuber動画の視聴頻度・時間・媒体・動機・傾向・好きな動画タイプ、VTuber事務所/プロジェクトの認知度、VTuber関連グッズ・イベント等の支出状況について調査している。
調査や分析の全容は『2025年 VTuber市場の徹底研究 ~消費者調査編~』に収録。A4 258ページで価格は16万5000円(税込)。矢野経済研究所の公式サイトで販売されている(外部リンク)。
若年層ほどVTuberの「切り抜き」を視聴 タイパ志向が関係か
今回公開された調査結果では、推しがいるかの他に、視聴形態に関するアンケートも実施。
メインの視聴形態として「『ライブ配信等』が多い」「『切り抜き・編集動画等』が多い」「両者同じくらい」の3項目が用意され、年齢・性別ごとに回答の割合を集計。
なお、調査における「ライブ配信等」にはアーカイブ配信も含まれており、「切り抜き動画」は配信の見どころを短時間で楽しめるよう編集されたものが想定されている。
「VTuberファン」の年齢・性別ごとの視聴形態/画像は矢野経済研究所公式サイトから
調査によると、男女ともに年齢層が低いほど「切り抜き動画」を選んだ人が多く、年齢が上がるほど「ライブ配信等」を選ぶ割合が増えていく。特に15歳〜19歳では、男女ともに半数以上が切り抜き動画の方を多く視聴している。
矢野経済研究所はこうした結果の背景について、配信は1時間を超えるものが多く、切り抜き動画は5分~10分と短いものが多いことから、若年層の「タイムパフォーマンス(タイパ)」志向との合致を指摘。
また、性別や年齢を問わず「両者同じくらい」が10%〜20%存在していることから、配信も動画も広く普及していると判断している。
ファンメイドの二次創作も多い「切り抜き動画」が、性別や年齢を問わず浸透していることに対しては「注目に値する」と評価。
背景としては、VTuber事務所各社がガイドラインを作成し、「UGC(User Generated Content)促進などの施策を行なっていることもあると考えられる」と分析した。
推し活から界隈へ、時代が移ろってもVTuber人気は変わらず
日本国内では、「推し活」がブームとしての域を超え、生活に浸透して久しい。
2024年12月に学研ホールディングスが発表したデータによると、アンケートで「推しがいる」と回答した割合は小学生で約53%、中学生で約62%、高校生で約71%となっている。
一方、2024年11月には、SHIBUYA109と博報堂が新世代の消費の形として同じ趣味を持つ人々がゆるく連帯するコミュニティ「界隈」に関するレポートを発表。
その中では、SNSを分析する中で確認された界隈の例として「VTuber」「にじさんじ」などのワードが挙げられている。
また、VTuber市場は日本国内のみならず世界でも成長。
調査会社のQYResearch社の調査によると、2023年時点で世界での市場規模は13億5000万ドル。2030年には50億3000万ドルにも達すると見込まれている(外部リンク)。
2025年は、業界内で最大手となっているにじさんじやホロライブの1期生が始動した2018年から7年後となる年だ。これは、高校1年生だった世代が大学生の4年間を経て就職するだけの時間に等しい。
つまり、VTuberで育った世代が社会に進出しはじめており、企業のタイアップをはじめ、今後はより多くのシーンでVTuberを目にする機会が増えていくかもしれない。

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