iPad向けイラストアプリ「Procreate(プロクリエイト)」が8月19日、「生成AIは私たちの未来ではない」と題した、画像生成AIを拒絶する趣旨の声明を発表した。
声明の中では、「機械学習にはたくさんのメリットがあります」としながらも「盗作を軸に学習する生成AIのテクノロジーは、私たちを不毛な未来へと導いています」と断言。
公式Xには、Procreateを開発するSavage Interactive社のCEOをつとめるジェームズ・クーダさんが出演する動画も投稿。
動画の中では、同氏の口から「個人的に生成AIは本当に不愉快」「Procreateの製品に生成AIを取り入れません」と語られている。
世界的に評価されるイラストアプリ「Procreate」
Procreateは、オーストラリアのSavage Interactive社が提供するイラスト制作アプリ。iPad向けイラストアプリ「Procreate for iPad」やアニメ制作アプリ「Procreate Dreams」などがある。
2013年にApple Design Awardのデザイン賞を受賞。同アワードでは2022年にインクルージョン賞、2024年にイノベーション賞を受賞するなど、同社のアプリは世界的にも高い評価を得ている。
今回発表された声明の中では、自社の生成AIに対するスタンスとして「NO 生成AI」「あなたの作品は、あなたのもの」「個人情報を守ることに誇りを持っている」という3つの軸を発表。
アプリを介してユーザーの活動をトラッキングしていないことや、意図的に個々の作品にアクセスできないようアプリを設計していることを明かしている。
YouTubeや文化庁も対応に追われる生成AI
生成AIを巡っては、データの学習元に対する権利の侵害や、絵柄を似せて出力されることによるクリエイター側への被害など、様々な議論が起こっている。
イラストにおいては、特定のクリエイターの絵柄を追加で学習させることで、似た絵柄のイラストの出力をより高いクオリティで行うことができる「LoRA」ファイルへが活用されている。
2023年6月には、「LoRA」ファイルの収益化を可能としていたサービス「petapi」へ批判が集中。
また、2024年1月には、画像に特殊なすかしを入れることで学習を阻害するサービス「emamori」が登場。生成AIをビジネスに活用しようとする側、AIから創作を保護しようとする側双方で、様々なサービスが乱立している。
2024年7月に入ってからは、YouTubeが悪質なAIコンテンツを削除できるよう申請フォームを設置。
文化庁も、生成AIによって著作権が侵害された場合、どのような措置を行うことができるのかなどをまとめたガイドラインを発表。急速に進む技術の発展に対して、各所で対応が進められている。
一方、直近では8月17日、マクドナルドがAIを用いて作成したCM映像を公開したことが話題に。
生成AIが徐々に浸透していく中、「Procreate」以外の制作ツールがどのような立場を取っていくのか、注目が集まる。
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