文化庁が7月31日、「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」と題した資料(PDF)を公開した。
文化庁著作権課によれば、本資料は著作権上における生成AI(ジェネレーティブAI)のリスクを低減させる、あるいは自身の権利を保全・行使する上で、「望ましいと考えられる取組み」を紹介。
AI開発者/AI提供者/AI利用者/業務外利用者(一般利用者)の立場ごとに、スライド形式でまとめられている。
資料は「AI開発・提供・利用のチェックリスト」と「権利者のためのガイダンス」の2部構成。全43ページ。
この記事では、その中から「自身の作品がAI学習に利用されることへの対応」についての章を見ていく。
クローラによるデータ収集の対策に有効な方法
文化庁は今回、既存の別資料「AIと著作権に関する考え方」(外部リンク)を踏まえた上でとしつつ、生成AIの学習から作品を守る方法を、AI学習の事前/事後に分けて紹介。
事前の対応について、「学習データとしての収集を防止するための技術的措置」「AI学習用データとして販売するようにしておくこと」の2つを挙げた。
特に前者に関して、生成AIの学習データを収集する方法のひとつとして、「クローラ」というプログラムを使用されることがあると説明。
クローラによる収集は、「ウェブサイト内のファイル“robots.txt”に、AI学習データの収集を行うクローラをブロックする記載をすることで、一定程度防ぐことができる」(※)と考えられると解説した。
(※)文化庁は「AI学習データの収集を行う事業者・組織の多くは、robots.txtの記載を尊重することを表明しています」と注釈を加えている。
また、「ID・パスワード等によるログインが必要な領域にアップロードすることも、クローラによる収集を防止する上では役立つと考えられる」とも紹介している。
事後対応は差止請求や損害賠償請求など
事後の対応については、差止請求や損害賠償請求などの措置を取ることが考えられると説明。
AI学習のための著作権物の複製が著作権侵害となった場合(※)という前提のもと、その例を次のようなケース別にまとめた。
【著作権侵害を伴うAI学習に対して取り得る措置】
■侵害者の故意・過失を問わず
・差止請求(侵害行為の停止・予防措置の請求)
・不当利得返還請求
■侵害者に故意又は過失がある場合
・損害賠償請求
■侵害者に故意がある場合
・損害賠償請求告訴等による刑事処罰の求め(刑事罰)
(※)著作権法第30条の4により、日本においてAI学習を目的とした著作物の利用は「その著作物に表現された思想または感情の享受を目的としない」かつ「著作者の利益を不当に害さない」場合、原則として権利者の許諾なく利用できる。一方、文化庁はその適用対象外となるケースも「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」や「AIと著作権に関する考え方」で紹介している。
これらの対応を紹介した上で文化庁は、著作権侵害に対する権利行使にあたり、「弁護士等の法律専門家への相談・依頼が重要」だと強調。
文化庁は「インターネット上の海賊版による著作権侵害対策についての相談窓口」「文化芸術活動に関する法律相談窓口」で、AIと著作権に関する無料の弁護士相談を提供しており、これらを活用するように呼びかけている。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:10523)
これ反AIが煩いから適当に作った内容なのか?何も防げないし、事後の対応なんて事実上不可能。生成物が既存の著作権を侵害する可能性なんて天文的確率で起こり得ない。(意図的にやらない限り)