声優や歌手、配信者やVTuberといった著名人の音声を学習したAI音声モデルを作成・配布するサービスが物議を醸している。
アメリカレコード協会(RIAA)は、そうしたWebサイトの一つ「Voicify AI」を「潜在的な著作権侵害市場のリスト」に追加するようアメリカ政府に対して2023年10月に提案。
「Voicify AI」を確認すると、歌手のLiSAさんやBTSのメンバー、ドナルド・トランプ元大統領といった著名人のほか、『ドラゴンボール』の孫悟空や『ONE PIECE』のモンキー・D・ルフィのようなアニメキャラクター、hololiveEN所属の森カリオペ(Mori Calliope)さんらVTuberの音声モデルが公開・利用できる形になっている。
AI技術で急激な進化を見せるボイスチェンジャー
近年発展を見せている、AI技術を利用したボイスチェンジャーツール。
2023年には「RVC」と呼ばれるボイスチェンジャーが公開。再現したい声を事前に機械学習させることで、高い精度でその声を再現することができる。
また、ボイスチェンジャー「Voicemod」もAI技術を利用したツール。Discordでの通話やオンライン会議、ゲーム配信で利用できるボイスチェンジャーとして普及している。
こうした音声合成AIを利用し、ある歌手の音声を学習させたモデルに、別の歌手の楽曲を歌わせた動画が流行。
ストリーマー・配信者などの音声で楽曲を歌わせる動画も公開され、学習させれた配信者本人も言及するなど注目を集めた。
AI技術の悪用と法的トラブル
前述の「Voicify AI」では、好きな音声をAIに学習させてAI音声モデルを作成したり、(YouTubeのURLを入力して)AIモデルに楽曲を歌わせたりことが可能。
AI音声モデルの紹介ページには、出典不明の画像がアイキャッチとして掲載。アニメの1シーンの切り抜きや、LiSAさんの場合はアーティスト写真らしき画像が利用されている状況だ。
警視庁は2020年、AI技術を用いて芸能人の偽わいせつ動画(ディープフェイク)を作成、公開した2人を名誉毀損と著作権法違反の疑いで逮捕。
当時、芸能事務所による日本音楽事業者協会は、「芸能界全体における問題としても看過できない事態」とのコメントを発表している。
今回の事例として挙げた「Voicify AI」に限らず、国内でもAIボイスチェンジャーに利用できるアニメキャラクターやVTuberの音声モデルを、メディアプラットフォーム・noteなどで販売・配布している業者が存在していることが発覚。SNSで波紋を呼んだ。
こうした事例も著作権や肖像権侵害などの法的な観点からトラブルになる可能性がありそうだ。
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