AIイラストを投稿、販売もできるサービス「petapi」を運営する株式会社シアンが、6月5日(月)、同サービスのリリースに際して、クリエイターの権利保護が不十分であったことを謝罪。サービス構想やプロジェクトの進め方を改めると発表した。
「petapi」は、画像生成AIを用いて作成した画像をはじめ、動画やプロンプト、テキスト、音声など様々なコンテンツを投稿・販売できるサービス。
2023年5月30日にβ版がリリースされたばかりだったが、「特定のイラストレーターの絵柄をコピーしてイラストを販売できるのはどうなのか?」といった批判が集まり、今回の方針転換へと至った。
シアン社は、学習データを投稿する際は学習元の承認を得ることを前提とし、対策を行っていくとしている。
謝罪文は、「この度は、クリエイターの皆様へのリスペクトや配慮が欠けたリリースを配信をしたことを重ねて深くお詫び申し上げます」と締められている。
「petapi」では、AIに追加でデータを学習させ、安定した絵柄の出力を可能にする「LoRAファイル」や、生成の際に条件を指定する文言「プロンプト」も出品可能。それらを使って出力された作品が売買された場合、その作者に収益が還元されるようになっている。 ただ、AIがイラストの絵柄を学習しコピーすることについては、イラストレーターを中心に不安の声が広まっている現状がある。
5月上旬には、イラストレーターたちの間で、イラストSNS・pixivのAI対策が不十分であるとし、投稿していた自作イラストを非公開にするという抗議運動が行われた例もある。現在pixivでは、クリエイターの不利益になるAI学習を全面禁止にするなど、規約を改定している。
特に「petapi」では、そういった不安が広まっている中で、AIが生成したイラストを販売可能と銘打ち、盗用モデルなどの防止策などが打ち出されていなかったため、より批判の声が集中してしまっていた。
前提として、AI生成イラストの観点から著作権を論じる際には、データの学習と画像の生成は分けて議論される。
そのうえで、寺内康介さんは「著作権者の利益を不当に害してはいけない」という条件をクリアしていればAIにイラストを学習させることは法的には問題無い行為だと解説。
生成については、前者の「類似性」の点では、「画風が似ている」「あのキャラクターを意識している」という程度では侵害には当たらないこと、類似性はケース毎に個別で判断されるため、基準を示すことが難しく、議論が複雑化していることを説明。
後者の「依拠性」については、生成者が明確に個人や作品の名前をプロンプトなどに入力し、似せる意図がある場合や、自身で画像を学習させ、類似画像を生成している場合には「依拠性がある」と判断されうるとしている。
上記の解説は2022年9月時点でのものであり、寺内康介さん自身も「商用利用したりした時に初めて著作権侵害が顕在化するでしょう」と述べていることには留意されたい。
今後のLoRAモデルの取り扱いについて「LoRAの盗用を管理できる仕組みや、使用した画像の著作権を確認できる仕組み、著作権者が承認したLoRAモデルを使用して生まれた利益を著作権者に還元する仕組み」の開発を行っていくとコメント。
また、作品の登録時に使用したモデルとLoRAを明示することを条件とすることなども仕組みとして検討する予定だとしており、協力クリエイターたちとテストを行いながら開発していくとしている。
具体的な方法については後日改めて発表される予定だ。
「petapi」は、画像生成AIを用いて作成した画像をはじめ、動画やプロンプト、テキスト、音声など様々なコンテンツを投稿・販売できるサービス。
2023年5月30日にβ版がリリースされたばかりだったが、「特定のイラストレーターの絵柄をコピーしてイラストを販売できるのはどうなのか?」といった批判が集まり、今回の方針転換へと至った。
シアン社は、学習データを投稿する際は学習元の承認を得ることを前提とし、対策を行っていくとしている。
謝罪文は、「この度は、クリエイターの皆様へのリスペクトや配慮が欠けたリリースを配信をしたことを重ねて深くお詫び申し上げます」と締められている。
目次
イラストレーターの間で広がるAIへの不安
「petapi」で特に問題視されたのは、特定のイラストレーターの絵柄をコピーした作品が有料で販売されるケース。「petapi」では、AIに追加でデータを学習させ、安定した絵柄の出力を可能にする「LoRAファイル」や、生成の際に条件を指定する文言「プロンプト」も出品可能。それらを使って出力された作品が売買された場合、その作者に収益が還元されるようになっている。 ただ、AIがイラストの絵柄を学習しコピーすることについては、イラストレーターを中心に不安の声が広まっている現状がある。
5月上旬には、イラストレーターたちの間で、イラストSNS・pixivのAI対策が不十分であるとし、投稿していた自作イラストを非公開にするという抗議運動が行われた例もある。現在pixivでは、クリエイターの不利益になるAI学習を全面禁止にするなど、規約を改定している。
特に「petapi」では、そういった不安が広まっている中で、AIが生成したイラストを販売可能と銘打ち、盗用モデルなどの防止策などが打ち出されていなかったため、より批判の声が集中してしまっていた。
AIイラストの著作権侵害へ、弁護士の見解
こういったAI生成イラストの著作権問題について、弁護士の寺内康介さんは、2022年9月に行われたKAI-YOU Premiumの取材にて、「類似性」と「依拠性」が重要だという見解を示している。前提として、AI生成イラストの観点から著作権を論じる際には、データの学習と画像の生成は分けて議論される。
そのうえで、寺内康介さんは「著作権者の利益を不当に害してはいけない」という条件をクリアしていればAIにイラストを学習させることは法的には問題無い行為だと解説。
生成については、前者の「類似性」の点では、「画風が似ている」「あのキャラクターを意識している」という程度では侵害には当たらないこと、類似性はケース毎に個別で判断されるため、基準を示すことが難しく、議論が複雑化していることを説明。
後者の「依拠性」については、生成者が明確に個人や作品の名前をプロンプトなどに入力し、似せる意図がある場合や、自身で画像を学習させ、類似画像を生成している場合には「依拠性がある」と判断されうるとしている。
上記の解説は2022年9月時点でのものであり、寺内康介さん自身も「商用利用したりした時に初めて著作権侵害が顕在化するでしょう」と述べていることには留意されたい。
シアン社「盗用を管理できる仕組み」の開発を予定
シアン社は、声明の中で、クリエイター自身が作品をLoRA化すること、そして承認フローを経て認定された公認のAIクリエイターがそれを活用することを前提とすることが権利保護が可能だと考えていたが、十分な告知を行うことができていなかったとしている。今後のLoRAモデルの取り扱いについて「LoRAの盗用を管理できる仕組みや、使用した画像の著作権を確認できる仕組み、著作権者が承認したLoRAモデルを使用して生まれた利益を著作権者に還元する仕組み」の開発を行っていくとコメント。
また、作品の登録時に使用したモデルとLoRAを明示することを条件とすることなども仕組みとして検討する予定だとしており、協力クリエイターたちとテストを行いながら開発していくとしている。
具体的な方法については後日改めて発表される予定だ。
この記事どう思う?
関連リンク
5件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:7472)
クリエイターの労力や熱量が傑作を作ることを肌に感じる人は少ないだろう。
多くの人は低価格かつ高速な量産エンタメで満足し秀作を傑作の良いに認識して一生を終える世界になる。
問題は秀作でも楽しめるということだ。
匿名ハッコウくん(ID:7468)
このタイミングだと政府のAI絵に対する方針が公開された事で慌てて取り繕ったようにしか見えないな。
匿名ハッコウくん(ID:7464)
他人の褌で相撲を、金を儲けるような真似は良ろしくないと思う
しかし、人間様は他人のデザイン参考に学習しまくっているのにAIはダメってのは気になるな