映画監督のジェームズ・キャメロンさんが、画像生成AI「Stable Diffusion」などを手がけるStability AI社の取締役に就任したことが、日本時間9月25日に発表された。
ジェームズ・キャメロン監督といえば、これまで『ターミネーター』『エイリアン2』『アバター』などで、最先端のCG技術を駆使した映画を制作。1997年公開の『タイタニック』では、アカデミー賞の監督賞と編集賞を受賞した。
Stability AI社の発表でジェームズ・キャメロン監督は、「(生成AIとCGIの)まったく異なる制作エンジンの融合により、アーティストはこれまで想像もできなかった、ストーリーを伝える新しい方法を獲得します」とコメントしている。
2022年からサービスを開始した画像生成AI「Stable Diffusion」
Stability AI社は、2022年8月からテキストを入力すると画像が出力されるサービスである画像生成AI「Stable Diffusion」を開発・運営。
オープンソースとしてリリースされており、LINEアプリ「お絵描きばりぐっどくん」や検索・閲覧サービス「Lexica」、日本語に特化した画像生成AIモデル「Japanese Stable Diffusion」など、国内外で「Stable Diffusion」を使用したサービスが数多く登場した。
Stability AI社はジェームズ・キャメロン監督の取締役就任について「キャメロン氏の加入は、ビジュアルメディアを変革するというStability AIの使命において大きな前進を意味します」とコメント。
同社エグゼクティブ・チェアマンであるショーン・パーカーさん(元Facebook社CEO)も、「彼ほどの才能を持つアーティストが参加することは、Stability AIにとって新たな章の始まりを意味します」と同社のさらなる進化に言及した。
ハリウッドでは映画業界と生成AIを巡る対立も
一方、映画と生成AIを巡っては、ハリウッドにおける両者の対立がクローズアップされたのも記憶に新しいところ。
全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)は2023年7月、俳優の演技に対する生成AIの使用などを巡りストライキに突入(ストリーミングサービスの二次使用料や報酬の引き上げも争点だった)。
このストライキはハリウッド史上最長となる118日間にも及び、2023年11月にようやく合意にたどり着いた。
画像生成AIに限らず、生成AIを巡っては全米脚本家組合(WGA)も2023年5月からストライキを実行。こちらも2023年9月、AIが脚本家たちの仕事を侵害しないよう保護するという合意を結ぶまで続いた。
歴史的なストライキによって、様々な作品で公開(配信)や制作が遅延。また、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』のプロモーションの一環として予定されていたトム・クルーズさんの来日がキャンセルされたことで、この問題は日本でもより注目を集めた。
ストライキの合意から1年経たない中で、ジェームズ・キャメロン監督のStability AI社取締役就任。
本人は就任について「私は30年以上前からずっとCGIの最先端を走ってきました」「(生成AIとCGIの)まったく異なる制作エンジンの融合により、アーティストはこれまで想像もできなかった、ストーリーを伝える新しい方法を獲得します。Stability AIはこの変革をリードする態勢が整っています」と未来の映画制作について語っている。
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