コロンビアの作家 ガブリエル・ガルシア=マルケスさんの小説『出会いはいつも八月』が、新潮社から3月27日に刊行された。
ラテンアメリカ文学の傑作『百年の孤独』の文庫化も話題になっていた作家の新刊となる。
定価は2420円(税込)。訳は作家/翻訳家/明治大学教授の旦敬介さんが担当した。
ラテン文学の大作家ガブリエル・ガルシア=マルケス
ガブリエル・ガルシア=マルケスさんは、1927年にコロンビアの小さな町・アラカタカに生まれノーベル文学賞受賞作家。
ボゴタ大学法学部中退後、新聞記者となり1955年初めてヨーロッパを訪問。ローマやパリと各地を転々とする。1955年に処女作『落葉』を出版。1959年から、キューバ・カストロ政権の機関紙で編集に携わる。
1967年に発表した『百年の孤独』が世界的なヒットを記録。1982年度ノーベル文学賞を受賞した。『百年の孤独』の他に『族長の秋』『コレラの時代の愛』『愛その他の悪霊について』などを代表作に持つ。
晩年はガンや認知症を患い、2014年にメキシコの首都・メキシコシティの自宅で逝去した。
ガルシア=マルケスの最後の作品『出会いはいつも八月』
『出会いはいつも八月』の翻訳を担当した旦敬介さんによる文章が、新潮社の公式サイトに掲載されている。
これによると、「ガルシア=マルケスの最後の作品と、とりあえずは呼べる」とのこと。ガブリエル・ガルシア=マルケスさんが認知症で執筆できなくなる直前の時期、『わが悲しき娼婦たちの思い出』(2004年)を書き上げた直後から執筆していたという。
後半に進むに連れて文章に粗さが見られるなど晩年の病状が反映されており、「最終的には作家自身がボツにしたものであるため、未完成に終わった作品と見なすのが順当な文書である」とは訳者の旦敬介さん。
一方で、ガブリエル・ガルシア=マルケスさんがいかにして作品をつくり上げてきたのかを読み取ることができる「文学的ドキュメントとしての側面が強いといえる」ものになっているとのこと。
音楽家の優しい夫と、二人の子宝にもめぐまれ何不自由ない結婚生活をおくるアナ。毎年、母親が埋葬されているカリブ海の島へ出かけるアナだが、人知れず、現地の男と一夜限りの関係を結ぶことを心待ちにしていた。刹那的な関係に心身を燃やすアナが出会った男たちとは――。ノーベル文学賞作家が最期まで情熱を注いだ未完の傑作。新潮社の公式サイトより
ラテンアメリカ文学を代表する大作家の最後の作品としても、創作の手法を知ることができる作品としても、興味深く読めそうだ。
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