新潮文庫が2025年2月28日(金)に刊行する、コロンビアの小説家ガブリエル・ガルシア=マルケスさんの小説『族長の秋』が、発売前重版となった。
『族長の秋』は、2024年6月に刊行され36万部を突破した『百年の孤独』文庫版に続くガブリエル・ガルシア=マルケスさんの長編第2作。
大きな反響を集め、Netflixでの実写ドラマ化も果たした『百年の孤独』に続き、『族長の秋』にも注目が集まっている。
破天荒な「独裁者」を描いた『族長の秋』
ガブリエル・ガルシア=マルケスさんは、1967年に発表した初の長編『百年の孤独』への評価を主としてノーベル文学賞を受賞したコロンビアの小説家。
ラテンアメリカ文学というジャンルと「魔術的リアリズム」という手法を知らしめ、世界的なブームを巻き起こした。
新たに文庫化される『族長の秋』は、1967年の『百年の孤独』刊行から8年後の1975年に発表された作品。
日本では『百年の孤独』と同じく鼓直さんによる翻訳で、集英社『ラテンアメリカの文学13巻』として刊行されている。
『百年の孤独』装画の三宅瑠人氏が再び担当。解説は池澤夏樹
『族長の秋』では、「大統領」とだけ呼ばれ、名前を持たない架空の国家の独裁者の残酷きわまる行為の数々が、なかば戯画的なまでに誇張して描かれる。
ガブリエル・ガルシア=マルケスさんによれば、『百年の孤独』の冒頭から登場する主要人物である「アウレリャノ・ブエンディア大佐のその後を描いた」とも、「自ら自身の写し鏡として描いた」とも語られている。
三宅瑠人さんが装画を担当した『族長の秋』『百年の孤独』
邦訳、装画はともに文庫版『百年の孤独』と同じく翻訳家の鼓直さんとイラストレーター/デザイナーの三宅瑠人さんが担当。
巻末には、世界文学全集などを編集し、日本で最初期にガブリエル・ガルシア=マルケスさんに注目してきた作家の池澤夏樹さんによる書き下ろし解説が収録。
この解説で池澤夏樹さんは『族長の秋』について、「城壁に囲まれた一つの都市」と評価しているという。
無人の聖域に土足で踏みこんだわれわれの目に映ったのは、ハゲタカに喰い荒らされた大統領の死体だった。国に何百年も君臨したが、誰も彼の顔すら見たことがなかった。生娘のようになめらかな手とヘルニアの巨大な睾丸を持ち、腹心の将軍を野菜詰めにしてオーブンで焼き、二千人の子供を船に載せてダイナマイトで爆殺したという独裁者──。権力の実相をグロテスクなまでに描いた異形の怪作。新潮社より
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