不気味/超現実的な空間・リミナルスペースを題材にした書籍『リミナルスペース 新しい恐怖の美学』(フィルムアート)が、9月26日(土)に刊行される。
人の気配が消えた階段、長い廊下、空港、閉店後のショッピングモールなど、誰もいないのに見覚えがある、でもどこか不安な空間。
そんな既視感や空虚さが視覚文化・ネットミームとして人々を引き付ける「リミナルスペース」を、192ページにわたる豊富な図版とともに解き明かす。
「リミナルスペース」人の気配が消えた空間がインターネットミームへ
「リミナルスペース(Liminal Space)」とは、直訳すれば境界や中間的な空間を指す言葉。人の気配が消えた空間を指す、現在の用法で使われるようになったのは2019年ごろから。
SNS上でもそうした空間を専門に画像を投稿するアカウントが登場するなど、徐々に注目を集めてきた。
その後、インターネットミームとして独自の美学へと進化を遂げ、今ではホラー、アート、ゲーム、音楽といったジャンルを横断する文化的潮流へと発展している。
『リミナルスペース 新しい恐怖の美学』では、映画『シャイニング』の有名な長い廊下、インターネット怪談の「バックルーム」、ヴェイパーウェイヴ音楽、ブルータリズム様式の巨大建築、さらにはマグリットの絵画などを紹介。
人々の記憶と想像力に共鳴し、感覚を呼び覚ます「リミナルスペース」の誕生の過程とその影響、そして恐怖と魅力に迫る。
著者は超常現象の視覚的シンボルを解読するYouTuber
著者のAlt236さんは、YouTuberとしても活動するフランスのクリエイター。
動画を通じて超常現象の視覚的シンボルを解読し、ホラーの美学に迫る活動を行っている。
著作には、共著としてメタルアルバムジャケットの象徴的モチーフを分析した『Kodex Metallum』がある。
2023年には『Liminal: Les nouveaux espaces de l'angoisse』と題した単著を刊行。今回の邦訳もそれが原著と見られる。
邦訳は東京大学文学部卒、博士課程在籍中(フランス文学)の佐野ゆかさんが担当した。

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