「まずは、一枚の間取り図をご覧ください」──この一言からはじまる身の毛もよだつ不動産ミステリー。
ホラー作家/Webライターの雨穴(うけつ)さんが10月24日にYouTubeチャンネルで公開した動画「【完全版】変な家(全新録)」が、10月27日までに再生回数335万回を突破した。
この動画は、雨穴さんが2020年10月30日に公開した動画「【不動産ミステリー】変な家」をもとに新たに制作された、およそ104分(1時間44分20秒)にわたる大長編。
5年前の動画は書籍化されベストセラーに。2024年3月には小説をもとにした実写映画が公開された雨穴さんの代表作を、雨穴さん自ら完全新録で動画化。大きな反響が集まっている。
雨穴の代表作、不動産ミステリー「変な家」 実写映画も話題に
そもそも『変な家』とは、雨穴さんが執筆し、2020年10月にWebメディア「オモコロ」で公開された記事が初出となっている。
その後、雨穴さんのYouTubeチャンネルで「【不動産ミステリー】変な家」として公開され、現在までに2523万回再生を記録するヒット作だ。
物語は、雨穴さんが知人から都内の中古物件の間取り図をもらうところからスタート。謎の空間、二重扉、窓のない子供部屋などなど、次々と浮かび上がる違和感を、オカルト好きの設計士・栗原さんと協力しながら調査していく──というミステリーが展開される。
2021年7月には、動画の続きを含む物語の顛末を描いた小説が刊行。雨穴さんの作家デビュー作となった『変な家』(飛鳥新社)は、その後続編も刊行され、シリーズ累計発行部数250万部を突破する人気作となった。
『変な家』/画像はAmazonから
前述した通り、2024年3月には小説を原作とした実写映画が公開され、邦画かつホラー系作品としては異例の興行収入50.7億円の大ヒットを記録。『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』などを上回り、同年の邦画興収で第7位にランクインを果たした(外部リンク)。
一方で、映画化にあたっての改変、とりわけジャンプスケア(音や映像などで観客を驚かせるような演出)をはじめ、ホラーとしての側面を高めていた点は、雨穴さんのファンの間でも賛否両論があった。
小説『変な家』を大幅リメイクして全文公開、動画には内見の様子も
小説の刊行以降、漫画化、実写映画化とメディアミックスが続く中で、雨穴さん自身も『変な家2』や『変な絵』といった新作を発表。2025年10月31日(金)には、最新作である『変な地図』の刊行も控えている。
『変な地図』/画像はAmazonから
そうした中で雨穴さんは2025年10月17日、前述のWebメディア「オモコロ」で新たな記事「完全版 変な家」を公開(外部リンク)。
本人のXによれば、出版社の許可を得て2021年に発売した小説を全編無料公開したという。ただし、本文をそのまま掲載したわけではなく、新たに画像を100枚追加するなど、大幅にリメイク。
「『経験を積んで多少は実力のついた今、デビュー作を書き直せるなら…』という気持ちで、過去の自分に挑みました」と振り返っている(外部リンク)。
その上で、YouTubeで公開されたのが今回の「【完全版】変な家(全新録)」という形だ。実際、新たなオモコロの記事と動画は、書籍の内容から加筆・修正されている点も多い。特に動画は、物件を内見した動画なども加えられており、映像としての不気味さも際立つ。かなり力を入れて制作された様子がうかがえる。
一枚の不可解な間取り図が、数十年前から続く恐ろしい因習へと繋がっていく見応え十分なミステリー。じわじわと鳥肌が立つストリー展開はもちろんのこと、時折挟まれる雨穴さんと相棒・栗原さんとのコミカルなやり取りも見どころだ。作家/配信者・雨穴としての、現時点における集大成とも言える内容に仕上がっている。
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