英国伝奇TRPG『リミナル』レビュー 日常と幻想の境界を生きる

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英国伝奇TRPG『リミナル』レビュー 日常と幻想の境界を生きる
英国伝奇TRPG『リミナル』レビュー 日常と幻想の境界を生きる

『Liminal』/画像はすべてmodiphiusより

イギリスのTRPG『Liminalリミナル)』の日本語版が、Malström(マールストロム)より2023年1月にリリースされることが発表された。販売価格は未定。

Malströmは、2022年11月に立ち上げられた、海外のインディーズ作品を中心に日本語翻訳作品の電子版(PDF)ルールブックを販売するTRPGの出版社(パブリッシャー)。

本記事では、そのMalströmが発売する注目のTRPG『リミナル』のゲームシステムの内容・魅力について、いち早く紹介する。

目次

英国現代伝奇TRPG『リミナル』とは?

『リミナル』は、Paul Mitchenerさんがゲームデザインおよびライティングを手がけたアーバンファンタジーTRPG。

TRPGのアワード「ENNIE Award」2019年度において、「Best Game」「Best Writing」「Product of the Year」の3部門にノミネートされている(外部リンク)。

現在、イギリスの出版社・modiphius(外部リンク)およびオンラインマーケットプレイス・Drive Thru RPG(外部リンク)で英語版のルールブックが販売されている。

『リミナル』の世界観──普通の世界と「隠された世界」の境界に生きる

liminalは「閾(しきい)」「境界」を指す形容詞。その名を冠する本作の舞台となるのは、私たちが暮らしている現実世界のイギリスだ。

しかしこの世界には、薄皮一枚隔てた向こう側に、魔法や人ならざるものが住む世界、「隠された世界」がある。さながらJ・K・ローリングさんのファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズのように。

プレイヤーは人間を守るため監視者として働く「魔法使い」や、人間社会に紛れて暮らす「人狼」、「半吸血鬼(ダンピール)」、「魔法使い」や「妖精」の混血児(チェンジリング)──といった、普通の世界と「隠された世界」の“境界”に生きるもの(リミナル)となり、隠されし世界に絡む事件に立ち向かう。

英語版が発売されてから現在に至るまで日本でも遊んでいるプレイヤーはいたが、2022年10月にTRPGプレイヤー・ましゅう(@marshuumallow)さんの紹介ツイートで注目が集まった。

『リミナル』の3つの特徴──自由度と世界観

ここからは、そんな『リミナル』の特徴を3つ挙げていこう。

キャラクター作成の自由度が高い

キャラクター作成については後述するが、かなり自由に種族や能力を決められる。

「人狼」や「人魚」、「妖精」など自由自在だ。特別な能力こそ持たないが、「隠された世界」を知ってしまったばかりに否応なく事件に巻き込まれた「普通の人間」でもいい。

もちろん「魔法使い」もつくれる。魔法はいくつかの系統こそ設定されているものの、そこから解釈を広げていき自分なりの魔法を表現できる。

プレイヤーの提案次第で様々な解決方法がある

ゲーム中に発生した問題を解決するのに、対応する技能が決められてないのも特徴だ。

例えば、鍵がかかった扉があるとする。他のTRPGなら鍵開けやそれに類する技能で判定を行うところだが、『リミナル』ではプレイヤーの提案次第でかなり自由に物事を解決できる。

ドアを蹴破るのはもちろん、魔法で鍵を開けたり、使い魔に鍵を開けさせたりできる。「私はこういうキャラクターなので、こうやって鍵を開けられませんか?」とゲームマスター(GM)に提案してみよう。キャラクターの設定やデータと整合性が取れるなら、きっとその力で鍵は開けられるはずだ。
現実世界と交差する「隠された世界」
『リミナル』において現実世界と隠された世界は、街や村、地域といったレベルと密接に絡み合っている。

チャプター8「Liminal Britain and Northern Ireland」では、実際のイギリスの地域と「隠された世界」がどのように関わっているかいくつか例が挙げられている。

たとえば、現実世界の首都・ロンドンは、アングロ・サクソン以外にもアジアや東欧など多種多様なルーツを持つ人が住んでいるが、『リミナル』では彼らの中にも魔術師がいる。アジアをルーツに持つ魔術師は「夜叉(インドの鬼神)」や「ジン(アラブの精霊)」を使役していることがある。 地下鉄の使われていないトンネルに「吸血鬼」が住んでいる。ロンドンのどこかに「人狼」のギャングが利用しているバーがある。まさに、私たちが住む街に「隠された世界」が広がっているのだ。

「隠されし世界」はイギリス国外にもあり、基本ルールブックにあたるコア・ブック(Core Book)では、ドイツ・ベルリンとアメリカ・ノースカロライナ州ファイエットの「隠された世界」についての解説がある。これを応用すれば日本を舞台にした『リミナル』も遊べそうだ。

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1件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:6424)

ワールド オブ ダークネス イン イングランドと言った感じに聞こえますね。