『マジック:ザ・ギャザリング』ハズブロCEOを株主たちが提訴 カードの過剰印刷を問題視

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タナカハルカ
『マジック:ザ・ギャザリング』ハズブロCEOを株主たちが提訴 カードの過剰印刷を問題視
『マジック:ザ・ギャザリング』ハズブロCEOを株主たちが提訴 カードの過剰印刷を問題視

『マジック:ザ・ギャザリング』

アメリカの玩具メーカー・ハズブロ社のCEOであるクリス・コックスさんとその幹部らに対して、同社株主グループが連邦訴訟を起こした。米ロードアイランド州プロビデンスの地元メディア「GoLocalProv」が報じている(外部リンク)。

この訴訟は主に、同社の子会社であるウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の主力商品『マジック:ザ・ギャザリング(以下『MTG』』の販売戦略を問題視したもの。

具体的には「受託者責任違反」「不当利得」「会社資産の浪費」「重大な経営不行き届き」「支配権の濫用」ならびに「米国証券取引法違反」を理由として、連邦裁判所に訴訟を提起した。

ハズブロ社

「カードの過剰印刷によって『MTG』の長期的な価値を破壊している」

本件の原告となったのは、それぞれ2020年、2021年からハズブロ社の普通株を保有しているジョセフ・クロコノさんとアルタン・マクグローンさん。

『MTG』は、コレクターやプレイヤーが求めるレアカードの存在が重要なトレーディングカードゲーム。二次流通市場(中古市場)においては、コレクター向けカードだけでなく、プレイアブルなカードに対しても1枚に数百ドル~数千ドル(数万円~数十万円)以上の値がつくことも珍しくない。

この二次流通市場の性質上、新しいセットが印刷/販売、同名カードが再録されるペースは、既存のセットやカードの価値、ひいては『MTG』というゲームタイトルそのものに直接的な影響を与える。

すなわち、メーカーが短期的な利益のために新しいセットを過剰に印刷すれば、メーカーは潤うものの、カードの希少性が薄れ、店舗やプレイヤーが所有する既存カードの価値を下げることにも繋がる。

ジョセフ・クロコノさんとアルタン・マクグローンさんは「カードの過剰印刷によって『MTG』の長期的な価値を破壊している」とし、さらには2022年から2023年にかけて行われた株主総会や説明会における会社側の公表内容が「重大な虚偽であり、投資家の誤解を招くものである」と訴えている。

ハズブロ社は経営不振を「パラシュート戦略」によって隠蔽している?

訴訟の中で重要な論点となっているのが、ハズブロ社が行ったとされる「パラシュート戦略」だ。

訴状では、「ハズブロ社の事業における他の要素の不足を補うため、新たな『MTG』のセットが“パラシュート”のように緊急投入され、追加収益がもたらされた」と指摘。

その上で、「関連期間中に記録された『MTG』事業の爆発的な成長は、実際にはこのパラシュート戦略の結果であった」とし、これは持続可能な成長ではなかったとしている。

さらに訴状では、この主張を裏付けるものとして、2022年11月14日に発表された米・大手金融機関のバンク・オブ・アメリカの報告書にも焦点を当てている。

同報告書では、「ハズブロ社は『MTG』のカードを過剰生産しており、それが最近の業績を支えているものの、ブランドの長期的価値を破壊している」という懸念が示されていた。

コロナパンデミック中に『MTG』の売上は倍増。しかしハズブロ社はその後もより頻繁なセットのリリースや、各セットの商品数の増加・流通の拡大によってその成長を維持しようとしたとされる。

しかし、それらの過剰な「供給の増加」が原因で、流通業者、コレクター、そして地元のゲーム店が『MTG』で損失を被る事態に陥ったという指摘もある。

「会社側は『過剰印刷』を否定し続けてきた」と非難

これまでも経済アナリストや投資家は、ハズブロ社が『MTG』のセットを過剰に印刷し、ブランド価値の価値を破壊しているのではないかと指摘を続けてきた。

しかし、ハズブロ幹部らはそのような“憶測”を繰り返し否定。在庫状況や成長の見通しについて、ポジティブな説明を続けてきた。原告はそれが「重大な虚偽であり、投資家の誤解を招くものであった」と訴訟を提起した背景を説明している。

なお、直近である2025年第3四半期の決算報告において、ハズブロ社は3カ月間で2億3,320万ドルの利益を報告。しかし、コンシューマー製品部門は予想を下回る結果となり、利益の一部が相殺される形に。

以前よりコミュニティ内で指摘され続けてきた「ハズブロ社は『マジック:ザ・ギャザリング』の売上に過度に依存している」という懸念が、改めて浮き彫りとなる形となっている。

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