連載 | #14 コミックマーケット107特集

コミケスタッフのお仕事をVRChatで再現! 準備会館内担当の業務紹介動画に注目

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浅田カズラ

2025年12月30日・31日に開催された同人誌即売会「コミックマーケット107」(C107)。その開催直前に、公式YouTubeチャンネルでとある動画が公開されました。

その動画は、イベントを主催するコミックマーケット準備会の部署の一つである、館内担当のスタッフのお仕事を紹介するというもの。注目すべきは、動画全編を通してソーシャルVR・VRChatが活用されている点です。

スタッフも会場も、全部VRChatで動かしてスタッフ業務を説明するユニークな動画は、どのような経緯で生まれたのか。撮影ワールドやコミックマーケット準備会への取材も交えて、その全容を解説します。

全編VRChatで収録 コミケ準備会館内担当スタッフの業務をまるっと紹介

2025年12月28日にコミックマーケット公式YouTubeチャンネルに投稿された動画「すたっふのおしごと館内担当編2」では、会場内での参加者対応や安全管理、サークル受付等を担う、館内担当の業務を紹介。

開催前日の備品搬入・会場設営からはじまり、サークル受付、見本誌確認、入場、混雑対応、傷病者対応、そして撤収まで、会期中の様々な業務が紹介されています。

スタッフも来場者も会場も、全て3Dで再現/画像はYouTubeスクリーンショット

スタッフ役には多種多様な3Dアバターが参加。全体の説明を行うキャラクター・館内ちゃんも、3Dモデルで(しかもフルトラッキングで!)出演しています。一般参加者も3Dモデルで表現され、さらに会場も3Dモデルで再現されているという徹底ぶりです。

業務フローが代わった見本誌確認/画像はYouTubeスクリーンショット

コミックマーケット準備会のスタッフ業務は、外部からは意外にわからないもの。巡回対応から受付対応に変わった見本誌確認など、従来のフローから変更された業務もあります。

そして、知らない業務も、3Dモデルによる動きを通して紹介されると自然と理解しやすいもの。普段からコミックマーケットに参加する人はもちろん、まだ足を運んだことがない人にも「準備会スタッフってこんな感じなんだ!」と伝わるような動画になっています。

過去にはLive2Dアバターが業務紹介をする動画も

「すたっふのおしごと館内担当編2」を企画したのは、館内担当スタッフの一人である餅月ましろさん。実は本作だけでなく、2021年に公開された動画「すたっふのおしごと~館内担当編~」も企画しています。

2021年にはLive2Dモデルとともに館内担当業務を紹介する動画も/画像はYouTubeスクリーンショット

この動画も館内担当の業務を紹介。基本的にはスライドを用いた解説がメインです。館内ちゃんも出演していますが、こちらの動画ではLive2Dモデルが使用されています。

餅月ましろさんはこの動画の企画だけでなく、台本制作やLive2Dモデリングも担当。そして「すたっふのおしごと館内担当編2」では、会場全体の3Dモデリングなども手がけています。

場外救護担当の業務紹介動画も3Dを活用/画像はYouTubeスクリーンショット

ちなみに、コミックマーケット公式YouTubeチャンネルには他にも、館内担当以外の準備会スタッフの業務を紹介する動画が公開されています。

中でも場外救護担当の動画は、3Dモデルのキャラクターと会場を利用している点で、今回の館内担当動画と通ずる要素が見られます(※餅月ましろさんとは別の方が作成)。

すたっふのおしごと~場外救護担当編~

撮影ワールドを取材 建物から小道具まで細かく再現

筆者は今回、餅月ましろさんと連絡をとり、動画撮影に用いたVRChatワールドを見せてもらいました。

「すたっふのおしごと館内担当編2」撮影ワールド/筆者撮影

「すたっふのおしごと館内担当編2」撮影ワールド 本部も準備されています/筆者撮影

改めて見ると、筆者も見慣れたコミックマーケット会場がいい具合に再現されています。建造物だけでなく、テーブルや一斉点検時の持ち看板なども設置(一部は餅月ましろさん以外の方が準備)。

さらには入場や混雑対応の人の動きが、スイッチを押すと再現されるギミックも搭載。ただの空間再現にはとどまらないつくり込みは、業務シミュレーターとして機能するレベルです。

きっかけは50周年 VRChat動画がコミケスタッフから生まれた背景

コミックマーケットとVRChat。まだまだつながりが薄そうな2つが結びついたこの動画は、どのようなきっかけで生まれたのか。

コミックマーケット広報に問い合わせたところ、きっかけは「C107」で迎えた、コミックマーケット50周年なのだそう。大きな節目に、館内担当から記念企画として持ち上がり、「スタッフ業務は外部からはわかりにくい」という課題感からつくられたのが、今回のVRChat動画でした。

また、コミックマーケット準備会では、100回開催(2022年8月)を突破したことを機に、様々な記念企画が立案され、専属チームも設けて実施されています。一方で、手を挙げれば現場を回すスタッフの企画も取り入れているようで、今回の動画もその一つになるようです。

とはいえ、まだまだ準備会でもVRChatはさほど浸透している印象はなく、「(プレイヤーは)体感1割」「名前は知っているがやったことはない」という人がほとんどだといいます。

しかし、サークル出展は「C102」(2023年8月)ごろから増えはじめ、「C104」(2024年8月)ではジャンル212「デジタル(その他)」のジャンル内ジャンルとして「VRSNS(VRchatなど)」が補足追加されるほどには成長。以後も出展は増加しているようです。

筆者の所感としては、スタッフ活動そのものの広報活動はもちろん、新規スタッフのトレーニングとしても、VRChatはフル活用できそうな印象です。新たな文化として、コミックマーケット準備会にVRChatが根付いてくれたらおもしろいなぁ、と個人的にはワクワクしております。

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