2000年、大槻ケンヂさん率いるバンド・特撮の楽曲として、愛する人を守るためにぬいぐるみになることを選んだヒーロー・ヌイグルマーの悲哀を歌った「戦え!ヌイグルマー」が発表された。さらに2006年には、そんなヌイグルマーと人間を巡って、アメリカ、タイ、高円寺と時空と場所を越えながら記されたノンストップSFバトルアクション小説『縫製人間ヌイグルマー』が刊行。
そして、2014年。
そんなヌイグルマーシリーズはその魅力を結集し、『ヌイグルマーZ』として映画化された。監督には『片腕マシンガール』や『ロボゲイシャ』、『デッド寿司』などで、海外の映画祭でも評価を集める井口昇さん、主演女優にしょこたんこと中川翔子さんを迎えたこの作品。
主題歌にはなんと、特撮×中川翔子のコラボレーション曲「ヌイグルマーZ」が選ばれた。楽曲→小説→映画と表現のジャンルを越境しながらつくられたその魅力と、映画の制作秘話について、原作者の大槻ケンヂさんと中川翔子さんにうかがった。(取材・構成/武田俊)
大槻 しょこたんがデビューした当初に、雑誌で対談をさせていただいたのが最初ですね。その後も、『映画秘宝』とか色んなメディアでご一緒したり。なので、僕はしょこたんという存在が芸能界に現れたのを多くの国民より先に知ることができた、幸福な人間の一人なんです。
中川 私はなんだか不思議な感じで、「私なんかが大槻ケンヂさんとお仕事できるなんて……」っていう気持ちが今もあります。子どもの頃から大槻さんの作品や存在に憧れてて、大槻さんを通して色んな作品に触れることができたからです。特に、色んな趣味に没頭することが、この人生を生きやすくさせてくれるということを教えてもらったと思って、感謝もしていて。あとお互いに中野近辺で育ったっていうつながりもうれしいんです。
実はまだ私がデビューしてそこまで経っていない頃に、新宿でばったりお会いしたことがあって、その時に「いつか一緒にお仕事ができるようにがんばろう!」って心に夢の柱を立てたんです。それが今回の『ヌイグルマーZ』で実現できたことが本当に嬉しいです! なんだか今は全てが走馬灯のように思い出されます……。 大槻 え、走馬灯!? よく走馬灯が見えるっていう表現するけど、どんなもんなんだろうって気になってたんだよ。走馬灯って鎌倉とかで売ってる、くるくる電灯が回るアレだよね?
中川 普通って死んじゃう直前に見る、って言ったりしますけど、私は何かうれしいことがあると、それまでの思い出がばーっと見えてくるんです。『ヌイグルマーZ』の映画に出て主題歌を歌っている時に、過去のつらい記憶が思い出されて、これまでたくさん苦しいことがあったけど死なずにすんでよかった、やめないで頑張ってよかった! って感じたんです。
大槻 それは面白いね。断片的に浮かんでくる感じ?
中川 そうなんです。今でこそ思春期の時のことを黒歴史の思い出って笑いながら話してるけど、当時は本当に辛くって。そんな時に悩んでて苦しかった時間や、救ってくれたアニメや特撮ヒーローのことを思いだして、そのどっちもが今の私をつくっているんだなあ、決して無駄じゃなかったんだなあって思うんです。だから今の私が、黒歴史時代の私と手をつないで、この映画と主題歌を多くの人に届けたい、自分が死んだ後も残る生きた証をつくるんだ! そんな気持ちで取り組みました。
──黒歴史時代のお話は、中川さんが演じた主人公の鮎川夢子(通称ダメ子)の姿と重なってくるような感じがします。
中川 ダメ子って本当に色々ダメなんだけど、ヒーローに興奮している時だけは輝いていて、そんな夢の力が原動力になってヌイグルマーに変身するんですね。そこはすごく理解できるところでした。彼女がヌンチャクを振って戦うシーンがあるんですけど、そのヌンチャクは私がカンフー映画に憧れてた、それこそ黒歴史だった中学生の時からずっと使ってるものなんです。なんかヌンチャクも私も同時に成仏していしまいそうでした(笑)。
そして、2014年。
そんなヌイグルマーシリーズはその魅力を結集し、『ヌイグルマーZ』として映画化された。監督には『片腕マシンガール』や『ロボゲイシャ』、『デッド寿司』などで、海外の映画祭でも評価を集める井口昇さん、主演女優にしょこたんこと中川翔子さんを迎えたこの作品。
主題歌にはなんと、特撮×中川翔子のコラボレーション曲「ヌイグルマーZ」が選ばれた。楽曲→小説→映画と表現のジャンルを越境しながらつくられたその魅力と、映画の制作秘話について、原作者の大槻ケンヂさんと中川翔子さんにうかがった。(取材・構成/武田俊)
「黒歴史時代の私と手を取り合って、多くの人に届けたい!」
──そもそもお二人の出会いはいつのことだったのでしょうか?大槻 しょこたんがデビューした当初に、雑誌で対談をさせていただいたのが最初ですね。その後も、『映画秘宝』とか色んなメディアでご一緒したり。なので、僕はしょこたんという存在が芸能界に現れたのを多くの国民より先に知ることができた、幸福な人間の一人なんです。
中川 私はなんだか不思議な感じで、「私なんかが大槻ケンヂさんとお仕事できるなんて……」っていう気持ちが今もあります。子どもの頃から大槻さんの作品や存在に憧れてて、大槻さんを通して色んな作品に触れることができたからです。特に、色んな趣味に没頭することが、この人生を生きやすくさせてくれるということを教えてもらったと思って、感謝もしていて。あとお互いに中野近辺で育ったっていうつながりもうれしいんです。
実はまだ私がデビューしてそこまで経っていない頃に、新宿でばったりお会いしたことがあって、その時に「いつか一緒にお仕事ができるようにがんばろう!」って心に夢の柱を立てたんです。それが今回の『ヌイグルマーZ』で実現できたことが本当に嬉しいです! なんだか今は全てが走馬灯のように思い出されます……。 大槻 え、走馬灯!? よく走馬灯が見えるっていう表現するけど、どんなもんなんだろうって気になってたんだよ。走馬灯って鎌倉とかで売ってる、くるくる電灯が回るアレだよね?
中川 普通って死んじゃう直前に見る、って言ったりしますけど、私は何かうれしいことがあると、それまでの思い出がばーっと見えてくるんです。『ヌイグルマーZ』の映画に出て主題歌を歌っている時に、過去のつらい記憶が思い出されて、これまでたくさん苦しいことがあったけど死なずにすんでよかった、やめないで頑張ってよかった! って感じたんです。
大槻 それは面白いね。断片的に浮かんでくる感じ?
中川 そうなんです。今でこそ思春期の時のことを黒歴史の思い出って笑いながら話してるけど、当時は本当に辛くって。そんな時に悩んでて苦しかった時間や、救ってくれたアニメや特撮ヒーローのことを思いだして、そのどっちもが今の私をつくっているんだなあ、決して無駄じゃなかったんだなあって思うんです。だから今の私が、黒歴史時代の私と手をつないで、この映画と主題歌を多くの人に届けたい、自分が死んだ後も残る生きた証をつくるんだ! そんな気持ちで取り組みました。
──黒歴史時代のお話は、中川さんが演じた主人公の鮎川夢子(通称ダメ子)の姿と重なってくるような感じがします。
中川 ダメ子って本当に色々ダメなんだけど、ヒーローに興奮している時だけは輝いていて、そんな夢の力が原動力になってヌイグルマーに変身するんですね。そこはすごく理解できるところでした。彼女がヌンチャクを振って戦うシーンがあるんですけど、そのヌンチャクは私がカンフー映画に憧れてた、それこそ黒歴史だった中学生の時からずっと使ってるものなんです。なんかヌンチャクも私も同時に成仏していしまいそうでした(笑)。
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