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大槻ケンヂ×中川翔子対談 特撮アクション『ヌイグルマーZ』制作秘話

特撮×中川翔子のアツきヒーローソング「ヌイグルマーZ」

『ヌイグルマーZ』ジャケット キャラクターデザイン:鶴巻和哉・コヤマシゲト/(C)2013ヌイグルマーZ / フィルム・パートナーズ

──今回は主題歌「ヌイグルマーZ」を大槻さんのバンド特撮としょこたんが担当していますがこれも映画化の段階から決まっていたのでしょうか?

大槻 映画化したいというお話をいただいた時に、僕が主題歌は「戦え! ヌイグルマー」にしてほしいってお願いしたんです。でも、僕歌うの嫌だったんですよ。だって原作者が主題歌を歌っている映画って、気持ち悪いでしょう? スティーブン・キング原作の映画で、スティーブン・キングが「うあああ」って歌ってたら、相当爆笑ですよ! 原作者が主題歌歌ってるのって、さだまさしさんくらいなんじゃないかなあ。

中川 でもそれって、大槻さんのように音楽や小説といった別々のジャンルで功績を残してるような方が、あまりいないってことの証明なんだと思います。全部やれちゃう人が歴史の中でなかなかいないっていう。

大槻 そんなことはないと思うよ! でも、主演女優さんが主題歌を歌うっていうのはすごくいいと思って。だから主演がしょこたんに決まったって聞いた時、歌ってもらえたらなあって思ってたから、その通りになってうれしかったんです。しかもこの曲は水木一郎アニキに歌っていただいていたこともあるので、3世代の人間が歌ったことになる。それも僕は嬉しいです。

中川 私は主演と主題歌っていう人生のビックバンがダブルで来て、すごくうれしいのと同時にプレッシャーもすごかったです。でも何より喜びが勝ったのは、ヒーローソングを歌えるっていうところでした。

大槻 アニメソングになった楽曲とか、しょこたんはこれまでに歌ってるのに、 どうしてヒーローソングがそんなにうれしかったの?

中川 ヒーローソングを女子が思いっきり歌う、ということがこれまでの歴史上あまりなかったので、ずっと歌ってみたかったんです。『宇宙刑事ギャバン』や『電磁戦隊デンジマン』の曲が大好きで、カラオケで歌おうとするんだけど、男子のキーだからうまく出せない。だから今回、激しくシャウトする箇所もあるヒーローソングを主題歌としてデュエットで歌えたのがすごく嬉しいです!
映画『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』予告編
ヒーローソングになくてはならないものって、愛や勇気、強さ、そして哀愁もまた大切です。それが「ヌイグルマーZ」には詰まってて、「あなたの命尽きた時、わたしは初めて愛を語るのだ」っていう歌詞とかがまさにそうですよね。ZEPP なんば大阪での「混沌Zツアー」最終公演コンサートで一緒に歌わせてもらった時もゾクゾクきちゃって、気づいたら髪の毛振り乱して「オラオラ行くぜ! ヌイグルマー!」って叫んでました。

──大槻さんもその時一緒に歌われたわけですが、どういった印象でしたか?

大槻 めちゃくちゃ緊張しました……。しょこたんのファンの前で、どうやって歌おうかなあ、ってずっと考えてたんです。CDで僕はハモメロを低いキーで歌ってるんだけど、リハで試してみたら、高いキーが出て。それで本番どうしようかなあって思って、結局しょこたんのキーで歌いましたね。

中川 なんと、そうだったんですね! リハでは声チェックとして一回しか歌えなくて、レコーディングの時も一度しかご一緒できなかったので、私も緊張してました。本番が始まった時に、大槻さんが特攻服で現われてびっくりしました(笑)。でも1番びっくりしたのは、ヌンチャクを持参してくださったこと。ヌンチャクでもコラボできたのは楽しかったです。

「いろんな人を巻き込んでいく感じが、映画化のおもしろさなんです」

──原作者としては、作品が映画化されるということには色々な思いがあると思います。そのあたりはいかがでしたか?

大槻 世の中には原作ものの映画がたくさんありますよね。ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが僕の『グミ・チョコレート・パイン』という小説を映画にしてくれた時に、「どれくらい変えていい?」って聞かれたんです。その時に『めぞん一刻』の例を出しました。あれは原作と映画は全然違うんです。そしたらケラさんが笑いながら「そんなには変えねえよ~」って言ったんです。で、『めぞん一刻』が原作と映画が全然違うランキングの125位くらいだったとしたら、『ヌイグルマーZ』は5位くらいかな(笑)。それくらい原作と映画は別物。でも僕は、それがとてもおもしろかった!

中川 原作はヌイグルマー自体が黄色だったけど、映画では全部ピンク。女子祭りですね。私は女子校育ちだったのと、家でも女子だらけの中で育ったので、懐かしいような感覚がありました。あと、撮影中に井口監督がどんどん乙女になっていくのがおもしろくって。終盤は、もう口調も仕草もおネエになってましたからね(笑)。

大槻 なんていうか、映画自体にもちょっと監督の中の百合っぽい部分が出てるよね?

中川 それ、ありますね! 

大槻 僕最初観た時に「これはすごいカミングアウトだなあ……」って思ったんです。監督の中の乙女な部分が炸裂してるだけじゃなくって、さらに百合属性まで感じたんです。

中川 いくつも捻れてますね(笑)。井口監督はもともと女子になりたい、って言ってたんですけど、それを隠さず行こうって決めたらしいです。現場でもみんなで撮影に使ったケーキを食べたりしたんですけど、監督が1番イチゴを可愛らしく食べてました。なんかファンタジーの世界の女子会みたいな楽しい現場でした。

大槻 原作を書いた自分には、想像のつかない現場で、想像のつかないような方法で映画になっていくから映画化は面白い!それはもう、原作者にとっては1つのイベントです。そんな思いもあって、特撮で「シネマタイズ(映画化)」って曲をつくりました。僕は自分の原作が映画化されたことが4回くらいあるんだけど、その度に色んなおもしろいエピソードがあります。今回は福田裕彦さんと一緒に特撮のNARASAKIが劇伴をつくったんだけど、彼がその仕事にかなり入れ込みだしたんです。それで最初の試写の時に僕が日程をよく把握してなかったら、NARSAKIからちょっとキレた感じで「大槻さんは試写にこないんですかっ!」って電話がきたの。なんかそういう風に、原作から離れていろんな人を巻き込んでいく感じが、映画化っておもしろいと思うんだよなあ。
シネマタイズ(映画化) / 特撮
──そんな映画『ヌイグルマーZ』の見どころはどこですか?

中川 私にとっては、生きてきた中で出会って大好きになったもの、私を救ってくれたものがいっぱい詰まってる作品です。特撮ヒーローの持つファンタジー、ロマン、愛・勇気・希望。そこからにじみ出てくる哀愁……。ヒーローって完全無欠っていうイメージがあると思いますけど、今回出てくる人はみんなダメなところを持ってて、でもだからこそ人間らしい。そんなマイナス部分があっても、何かに熱中する心がそれを強さに変えてくれる。自分自身の人生とリンクしたそんな部分を、特に力を込めて演じました。

例えば私が演じたダメ子の走り方って、たぶんヒーロー史上最低なんですよ。体育1って感じで、私と一緒なんです。だからこそ彼女がゾンビと戦うシーンでは、ずっと残るものをつくろうっていう思いを込めて、長年の相棒のヌンチャクとともに全力で演じました。あと、ダメ子がヌイグルマーに変身した後の姿は女優の武田梨奈ちゃんが演じてるんですが、もうとにかく彼女のアクションシーンがものすごいことになってます!

大槻 武田梨奈ちゃんについては、彼女が15歳でデビューした映画が公開された時に取材をしたんだけど、そのアクションの凄まじさにド肝を抜かれたんだよなあ。その時からどれだけ彼女のアクションがすごいか知ってたから、これがヌイグルマーになったらすごいぞって思ってました。

中川 彼女が着てるスーツのデザインは、「エヴァンゲリオン」シリーズに関わってきた鶴巻和哉さんとコヤマシゲトさんが手がけているので、プラグスーツを彷彿とさせるビジュアルになってるのも見どころです。かなりタイトなスーツなんですけど、それをかっこよく着こなせて、なおかつアクションができるっていう女性は、日本には武田梨奈ちゃんしかいないと思います。私も装着してみたんですけど、きついし、片目がつぶれてヘンな顔になっちゃう。でも梨奈ちゃんはしゅっとしたまま着れてて、階段でゾンビを倒していく長いアクションシーンなんかも1回で決めちゃう。すっごいかっこいいなって思いました。

──では最後に、これから劇場公開されますが、どんな方に観ていただきたいですか?

中川 まずは女子ですね。『ヌイグルマーZ』はヒーロー映画史上、初めて女子が共感しながら観れる作品だと思います。今までヒーロー映画や特撮ものに出てくる女子は、男子を支える役割が多かった。でもこの作品では、女子自身が変身して戦い人を助ける。しかもピンクがいっぱいで、世界に一着だけのドレスも出てくるのでファッションの観点からも楽しめると思います。

あとは、ちびっ子。ちびっ子にはまっさらな気持ちで、楽しんでもらいたいなあ。でも何より、悩んだ時間がいつか強さのための経験値になる、っていうシンプルなメッセージが込められた映画なので、誰でも楽しめて感動できると思います。あ、男子はゾンビも特撮も女子も全部好きなはずだから、黙って観てくれよな!

中川翔子 // Shouko Nakagawa

女優/タレント

2002年にミス週刊少年マガジンを受賞し芸能界デビュー。

デビュー10周年となる2012年には、初のアジアツアーを開催。2013年9月~11月には、「混沌Zツアー」と題して、全国6ヶ所10公演のライブハウスツアーを敢行。

中川翔子とBEAMSが共同プロデュースするファッションブランド「mmts」がジャパニーズカルチャーの聖地・中野ブロードウェイと、ZOZOTOWNにて展開中。

CX「ウチくる!?」、TX「ポケモンゲット☆TV」、NHK-Eテレ「名作ホスピタル」、NHK-FM「アニソンアカデミー」等でレギュラーMCを務める

大槻ケンヂ // Kenji Ohtsuki

ミュージシャン/作家

1966年2月6日生まれ。東京都出身。

1982年、バンド・筋肉少女帯を結成し、1988年にメジャーデビュー。バンド活動の並行しながら、執筆やテレビ番組への出演など、マルチな活動を展開する。 2000年にバンド・特撮を結成し、現在も、定期的、衝撃的、突発的に活動を行っている。

LIVE を中心に活動中。現在も2014年1月22日に特撮「シネマタイズ(映画化)」、特撮×中川翔子「ヌイグルマーZ」を発売。

関連商品

ヌイグルマーZ

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発売 : 2014年1月22日
価格 : 1,200円(税込み)
発売元 : キングレコード

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