人間性と想像力、VTuberが持つ大きな魅力
──オフラインイベントなどでは特に、生身の人間の持つ表情や身体の動きが持つ情報量は、会場の熱量を生むうえで大きな強みになっているかと思います。eスポーツシーンに長く関わられ、そうした生身の活動者たちの強みを誰よりも知るお二人としては、VTuberが持つ魅力や強みをどのように考えられていますか?
k4sen オフラインイベントは表情が見れたり、生身の魅力が輝く機会だと思うんですけど、逆にネット上では、VTuberだからこその魅力が強く出ると思うんですよね。
性別や年齢も関係なく、自分の好きな姿で活動できるし、自由だからこそ、その姿や活動の選択には個性が出る。VTuberの人たちは、その選択や日々の活動の中で見えてくる人間性で勝負しているので、元々かなり好意的に見ていました。
西原 もちろんオフラインイベントには独特の熱気があって、それが大きな魅力になっています。ただ、その熱気はオフラインだから感じられて、オンラインだと伝わらないというものではないと思うんです。
先日の「League The k4sen」でも、オフライン会場でk4senが悔し涙を流す姿にはグッときましたし、それと同じように、オンラインで参加したVTuberの方々が流した涙にもグッときた。
オンラインでもオフラインでも、視聴者が会場で見ていても配信で見ていても、言葉や身に纏う空気感で、出演者の感情の昂りは伝わる。そこには大きな差はないように感じています。
西原 その一方で、例えとして適切かはわからないですが、同じ物語でも映画と小説では感じ方が違いますし、場合によっては小説の方がより想像力を膨らませられます。そういった点では、VTuberならではの魅力は確実に存在する。
生身とVTuberでそれぞれ全く違う良さがあるのは確かで、まだそこは勉強中の段階ではあるのですが、双方共に人の心を揺さぶる魅力があるのは間違いないと思っています。
世界観、容姿も自由──無限の可能性から何を選び取る?
──VTuberではない配信者の中にも、見た目を明かさずに活動されている方がいます。そうした方々とVTuberの違いはどのような点にあると考えられていますか?
西原 VTuberの場合、たとえば2Dで活動をはじめた人が3Dモデルを手に入れるといったような成長の要素がある。その道筋をファンと一緒に楽しむというのが、VTuberならではの部分なのかなと感じていました。
そうした物語的な流れも含め、VTuberならではの世界観や作法がコミュニティの中に根付いているように思います。
新プロジェクトへ向けて、西原さんのVTuber文化へのリサーチは今も続いている
──独自の物語や世界観を持っているのもVTuberの方々の特徴だと思いますが、そうした展開の仕方は「UltraLMTM」でも想定されているのでしょうか?
k4sen 初対面のVTuberさんにそういう話を聞くのは大好きなので、「UltraLMTM」でもそうやって世界観を持つ人がいてもいいと思います。
そこも本人と話し合った上で、自分のしたいようにしてもらうのが一番だと思いますね。
k4senが構想するユニークな審査、ヒントは「すごく人間性が出るゲーム」
──事前に弊社にお送りいただいたオーディション要項には「ユニークな審査」を実施すると記載がありますがこれは一体……?
k4sen 実は……すごく人間性が出るゲームを知っているので、それを皆さんにやってもらいたいと思ってます。5vs5で戦うゲームで、ジャンル的にはMOBAなんですけど。
──なるほど、そのゲームをプレイしてもらうんですね。その様子は配信されたりするのでしょうか?
k4sen いや、審査時には配信したりはせず、ただプレイしてもらいます。
あのゲームは、めっちゃ勝ちたがる人とか、チームの空気を保とうとする人とか、性格の違いがハッキリ分かるんですよ。そういう人間性を見たいと思ってやってもらうだけなので、ゲームの上手さは関係ありません。
なので、今までまったくそのゲームをプレイしたことない人でも大丈夫ですし、逆に上手いからといって合格に近づくわけでもないです。ただ、プレイを通じて出てくるその人の内面を見たい。
やはり好きなゲームのこととなると笑顔が溢れるk4senさん
k4sen 僕は視聴者としても雑談が好きですし、配信って最後は結局雑談だと思うんですよ。ゲーム実況も、結局は雑談みたいなところってあるじゃないですか。
長いこと配信(雑談)を続けてたら、どれだけ取り繕っても本人の人間性は出てくる。それを繕い続けるのは本人にとってもストレスだと思う。だからこそ内面性で勝負してほしいし、そうしないといけない場面があるからこそ、プレイ時の空気感を通じて応募者の内面を見たいと思ってます。
西原 最初の段階からゲームの上手さよりは雑談力や人間としての面白さを重視したいと話していたので、なによりそこを大事に審査したいと思います。
k4sen もちろんそれだけじゃなくて普通の審査もします!

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例年秋頃に開催されている国内最大のゲームの祭典「東京ゲームショウ(TOKYO GAME SHOW)」(通称・TGS)。 国内外から大手メーカー、個人開発者、周辺機器メーカー、グッズメーカー、ディベロッパー、パブリッシャーなど、ゲームに関連する企業が集結する年に一度のゲーム見本市。 TGS開催前の事前情報や注目タイトルの関連記事、会場である幕張メッセで各ブースを取材したレポートなどを公開していく。
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