連載 | #12 東京ゲームショウ特集

「PARCO GAMES」新設の意図と展望──パルコはインディーゲーム開発者の思いを届けたい

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KAI-YOU編集部_ゲーム部門
「PARCO GAMES」新設の意図と展望──パルコはインディーゲーム開発者の思いを届けたい
「PARCO GAMES」新設の意図と展望──パルコはインディーゲーム開発者の思いを届けたい

「東京ゲームショウ 2025」のPARCO GAMESブース

ファッションやアート、カルチャーの文脈で独自の企画を展開してきたパルコが、2025年夏に新たに立ち上げたインディーゲームレーベル「PARCO GAMES(パルコゲームズ)」。

同レーベルが掲げるコンセプトは「ゲームの可能性を模索してゲームの未来を拡張する」(外部リンク)。

設立発表から間もなく世界最大級のゲーム見本市「東京ゲームショウ 2025」に初出展し、『南極計画』『CONSTANCE』『The Berlin Apartment』の3つのパブリッシングタイトルをお披露目しました。

今回、KAI-YOUは「PARCO GAMES」の担当者に、レーベル設立の背景や「東京ゲームショウ」出展の狙い、そして今後の展望について話を聞きました。

取材:小林優介 写真:タナカハルカ

「PARCO GAMES」はパブリッシャーとして開発者の思いを届ける

──まず、「PARCO GAMES」を立ち上げた経緯について教えてください。

「PARCO GAMES」の担当者

担当者 もともと我々パルコは、商業施設の側面はありつつも、長年にわたりさまざまなエンターテインメントカルチャーと関わってきました。ゲームも日本が世界に誇れる文化のひとつであり、そこに貢献できる余地があると考えたんです。

そこで、まずはゲーム事業を立ち上げ、僕らが得意としていたオフラインのイベントやグッズのマーチャンダイジング(商品計画)をはじめまして。それから、パブリッシング事業が本格的にはじまっていく中で、ゲーム事業全体を包括する名前が必要になり、生まれたのが「PARCO GAMES」です。

──インディーゲームを支えるパブリッシャーの意義について、パルコとしてはどのように考えていますか?

担当者 開発者は本来、作品の開発に集中したいと思うんです。プロモーションにも大きなカロリーがかかるし、バックアップが必要になると思います。

パブリッシャーは、そうした作業をサポートし、開発者の声や思いを世界に広げる存在だと考えています。

その上で「PARCO GAMES」のパブリッシング事業では、宣伝活動やイベントを含め、ゲーム事業以外のパルコが得意としてきたものと相互に作用し、応用できるのではないかと

「ストーリー性」を重視──「PARCO GAMES」が取り扱うゲームの基準

──今回、「東京ゲームショウ」に初出展した理由を教えてください。

ブースのコンセプトは“エアポート”。ガイドブック『地球の歩き方』とコラボしたリーフレットも頒布されていた

担当者 「東京ゲームショウ」は、日本国内にとどまらず、世界中の関係者やプレイヤーの皆さんが集まる大規模なイベントです。我々が「PARCO GAMES」を立ち上げたことを知っていただく絶好の機会だと考えました。

また、出展後もSNSやオフラインイベントなどを通じて発信を続け、扱うタイトルをより多くの方に知ってもらいたいと思っています。

──今回パブリッシングタイトルとして展示された『南極計画』『CONSTANCE』『The Berlin Apartment』の3タイトルは、どのような基準で選ばれたのでしょうか?

パブリッシングタイトルの一つ『The Berlin Apartment』。ブースでは試遊も可能

パブリッシングタイトルの一つ『Constance』

担当者 大きく重視しているのは「ストーリー性」です。強いストーリーや独自の世界観に面白さや魅力を感じています。

そこに思いを込めて開発しているクリエイターと一緒に仕事をしたいと思っています。

海外にも「PARCO GAMES」を知ってもらうための取り組みを強化

──ドイツの作品がラインナップされているのも印象的です。海外のイベントに出向いてパブリッシングの交渉を進めているのでしょうか?

担当者 はい。すでに現地イベントでの交渉を行っており、オンラインでのミーティングも進めています。

日本だけでなく海外の方々にも「PARCO GAMES」を知っていただくための取り組みを強化しています。

──最後に、今後の展望について教えてください。

担当者 まずは現在扱っている3タイトルをしっかりと世に届けること。そして次の作品へと広げたり事業の拡大につなげていきたいです。

また、オンラインだけでなくオフラインでも、フィジカルな展開やイベントを通じて、ブランディングを強化していきたいと思います。

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