愛すべきキャラクターと飯テロ倍増の絵
優しい拷問+屈する姫様=最後にはみんなで笑顔!
この黄金のワンパターンとでも言うべき方程式を確立させ、毎話これを繰り返すシンプルな構成になっている『姫様“拷問”の時間です』。
じゃんけんで言えばひたすらグーを出しているようなもの。たまに変化球もありますが、まっすぐストレート一択。
それだけに「同じような展開に飽きないのか?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、これがぜんぜん飽きない。最高なのです。なぜか?
これは筆者のツボなのですが、やっぱりキャラクターが良すぎます。愛されるキャラクターがいてこそ、シンプルな構成が光る。
例えば主人公の姫様。非常に高い戦闘力を有し、軍の団長を務め上げたカリスマ性を持ち、王国の姫でもある。経歴は完璧です。でも食への欲望に正直すぎて、本質的には自堕落。愛すべきおバカ。
そんな姫様と読者を数々の飯テロで陥落させ続ける拷問官・トーチャー。最年少で最高位の拷問官に上り詰めた天才でありながら、運動は苦手で姪っ子を溺愛しており、兎には眼がない。お茶目な一面も持ち合わせる本作屈指の愛されキャラ。
そして通常ならラスボスになるであろう魔王は、厳つい見た目に反して子煩悩かつ愛妻家。転職を考える部下の背中を押し、切りかかってくる敵国の人間にも寛大。上司にしたいキャラクターランキングでぶっちぎりのトップを取れる逸材。
二面性があり、ギャップが効いていて、読んでいると自然に好きになってしまうのがこの3人でしょう。
そのほかにも、ツッコミ役として非常に優秀な喋る聖剣・エクスのツッコミに何度笑ったか。魔王の一人娘であるマオマオちゃんの可愛らしさに何度「守りたい、この笑顔……!」と思わされたか。
そして良い意味で癖がなく、万人に向けた安定感のある絵も立役者でしょう。特に笑顔が印象的な表情のかき分けと、飯テロの威力を増幅させるシズル感の表現はどんどん洗練されていきます。
筆者はとあるラーメン回を深夜に読んでしまったために、一駅先のとんこつラーメン屋に駆け込む羽目になりました。まじで美味しかった。
皆さんも読む時はどうぞお気をつけて。油断すると姫様よろしく即陥落しちゃいますよ。
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連載
テーマは「漫画を通して社会を知る」。 国内外の情勢、突発的なバズ、アニメ化・ドラマ化、周年記念……。 年間で数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事とリンクする作品を新作・旧作問わず取り上げ、"いま読むべき漫画"や"いま改めて読むと面白い漫画"を紹介します。
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