実業之日本社が2021年2月12日付でスケブの株式を過半数取得したことによる買収で、スケブの代表取締役社長・なるがみ(喜田一成)さんは「全株式を総額10億円で譲渡する契約について、株式会社実業之日本社と合意に至りました。」とツイート。
続けて経緯を説明しており、引き続き代表を務めること、手数料やキャンペーンなどの決定権を持つこと、クリエイターファーストの方針は変更しないことなどを明言している。
また2月12日20時から音声SNS「Clubhouse」で、ベンチャーキャピタル・i-nest capitalのキャピタリスト・放生會さんをゲストに迎えた配信を実施。「今回の件で聞きたいことがある方はお気軽に」ともツイートしている。
⚡️Clubhouse
— なるがみ (@nalgami) February 12, 2021
今夜20時よりClubhouseでトーク番組をします。
ゲストにベンチャーとサブカルの両方にお詳しく、ホロライブを運営するカバー社などに出資しているi-nest capitalの放生會さんをお迎えします。
今回の件で聞きたいことがある方はお気軽に✋を押してください。https://t.co/Qur2oK9bzB
日本にコミッションを根付かせつつある「Skeb」
「Skeb」は国内外から日本のクリエイターに対してイラスト・音声データを有償でリクエストすることができるサービス。個人がクリエイターにイラストを有料で依頼する「コミッション」をサービス化したもので、2018年11月に提供開始。
ユーザーは好みのクリエイターに自分の希望するイラストや音声をリクエストすることができ、クリエイターは諸条件を考慮した上でその依頼を検討できる、クリエイティブのマッチングサービスとも呼べるものになっている。
2021年2月11日までに総登録者数が100万人、総取引高が18億円を突破。クリエイター登録者数は約5万人、月間取引高約2億円と国内最大級のコミッションサービスに成長した。
「Skeb」が貫くクリエイターファースト
この成長の理由にはリクエストの際のスムーズなやり取りを誘導するUX設計、Twitterを活用したログインの簡単さが挙げられるだろう。加えて100以上の言語に対応した自動翻訳機能、シンプルな決済機能が要因となり、やり取りのうち約20%が海外からの利用になっている。
ほか業界最安値を自負する手数料、最短即日入金の報酬サイクルが特徴で、新たな収入源を求めるクリエイターの登録急増に伴ってユーザー登録者数も増加。
そしてなによりクリエイターファーストを掲げており、制作された作品の権利はクリエイターが有していること、ユーザーからクリエイターへのリテイクの禁止など、クリエイターに使いやすいサービスであることを徹底している。
新規事業としてバーチャルアバター販売市場に参入
⚡️Skebはどうなるの?
— なるがみ (@nalgami) February 12, 2021
引き続き代表は僕が務め、手数料やキャンペーン、仕様変更の決定権も僕にあります。
親会社からは今まで通り自由にやってほしいと言われていて、手数料やクリエイターファーストの方針は変わらないので安心してください。
昨日から何件でも手数料無料キャンペーンを開催中です!
スケブの代表取締役社長・喜田一成さんは、引き続き同職を務め、運営方針の決定、機能の追加、仕様の変更、手数料の変更およびキャンペーンの開催などの決定を行う。一番時間を取られていたSkebの開発業務から僕は引退します。
— なるがみ (@nalgami) February 12, 2021
新機能の提供が遅れていてごめんなさい。
実業之日本社の協力を得てエンジニアの増員を進め、さっそく4月から僕がドワンゴ時代に一緒に「ニコニ立体」を開発したつよつよエンジニアの入社が決まりました🎉初の社員!
今後Skebの開発業務からは引退するが、4月から新規エンジニアの増員が決まっており、新規機能の開発・整備を進めていくという。
なお譲渡代金は、年内にリリース予定の「アバター販売・改変代行プラットフォーム「ポリゴンテーラー」の開発・運転資金に充填します。」と説明。新規事業としてバーチャルアバターの販売市場に参入し、そこで活躍するクリエイターの地位向上のサポートを目指すという。⚡️譲渡代金の使い道と新規事業
— なるがみ (@nalgami) February 12, 2021
今年リリース予定のアバター販売・改変代行プラットフォーム「ポリゴンテーラー」の開発・運転資金に充填します。
例えばVRChatでも資金調達額の総額は約16億円。
今回の譲渡金額から僕がどれだけアバター産業への参入に本気か分かると思います!
また事業譲渡の背景については、個人運営のサービスで月間2億円の取引を扱うことは好ましくないと考えていたこと、金銭のやり取りを仲介するサービスであることを踏まえて大手企業の傘下に入り、クリエイターに安心してもらいたかったなどと説明している。
⚡️なぜSkebを譲渡したのか?
— なるがみ (@nalgami) February 12, 2021
理由は4つあります。
1. 僕一人で月間数億円の取引や資金を管理するのはリスクと感じたから。強力な親会社が就くことで利用者に安心して欲しいから。
2. 趣味で開発したサービスだったが、サポート対応や保守の作業が急増し、本業や新しいことが何もできなくなったから。
3. Skebをクローンした後発サービスも複数登場し、クリエイターに有利な「リテイクなし」「打ち合わせなし」のSkebスタイルが定着。日本のコミッションのデファクトスタンダードとなり、当初の目標だったクリエイターの地位向上について一定の成果を社会に残せたから。
— なるがみ (@nalgami) February 12, 2021
4. VRSNSやVtuberの普及によりアバターの販売市場が急成長しているが、アマチュアVR技術者をやりがい重視で低報酬で依頼する企業や案件をVRSNSで過ごすうちに多数目撃した。Skebと同じく新しい収入源の提供によって交渉を有利にしてもらう手法により、彼らの地位向上が急務であると感じているから。
— なるがみ (@nalgami) February 12, 2021
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