2019年、YouTubeを飛び出し様々な舞台で活動を続けるバーチャルYouTuber(VTuber)たち。
今や彼らを見かけない日はほとんど無く、さらに細分化を繰り返し、その全体像を把握することは不可能になってきています。
そんな彼らの活躍の中でも特に華やかなのが音楽の世界。
2019年は多くのオリジナル楽曲がリリースされ、彼らにとっても、ファンにとってもイメージに即し深く掘り下げていく、はたまた意外な一面を覗かせるような楽曲は象徴的なものになっています。
この記事では彼らが今年リリースされたの彼らの楽曲を独断と偏見でピックアップ。多彩なジャンルに渡る彼らの活躍をご紹介していきます。ネオンライト 星宮とと×TEMPLIME
まずは星宮ととさんとTEMPLIMEによるネオンライト。
VTuberによるオリジナルソングは初期ボカロのヒットソングのような、自己言及的な歌詞が比較的多いものでしたが、ネオンライトはそこから外れた歌詞が印象的。
彼女の活動を追っていなくても伝わる軽快で清涼感あるメロディとホロ苦い歌詞が魅力です。
「ネオンライト」以外の楽曲/MVやライブパフォーマンスも多くのクリエイターが腕前を披露しており、才能を引きつけるイコンとしても星宮ととさんには注目していきたいところ。【MV】Up-to-date feat. かしこまり / MonsterZ MATE
MonsterZ MATEのコーサカさんがかしこまりさんと披露した「Up-to-date」。
バーチャルねこの浮遊感あるサウンドとともにコーサカさんが業界に対して投げつけたリリックは、2019年が終わる今聴き返しても味わいのある1曲です。PSYQUI feat. Marpril - Girly Cupid
Future Bassに出自を持つトラックメイカー・PSYQUIさんによる「Girly Cupid」。歌うのはMarprilの立花鈴さんと谷田透佳さんの2人。普段の緩い動画からは想像がつかないスタイリッシュな1曲。
ヲタきちさんが手掛けたビビッドなエフェクトと共にが踊るスタイリッシュなMVも見ていて気持ちよくなる完成度で、終わり方も可愛らしい二人の魅力を引き立ててくれます。HIMEHINA『 ヒトガタ 』MV
HIMEHINAの2人による「ヒトガタ」。彼女たち初のオリジナルソングにしてTVアニメ「バーチャルさんはみている」エンディングテーマです。
多彩なタレントに楽曲提供をしてきた南田健吾さんによる曲の完成度は言わずもがな、9月に開催された2人の1stワンマンライブは今年を振り返る上で外すことのできない話題です。輝夜 月『NEW ERA』-LIVE CLIP
輝夜月さん「NEW ERA」。クラシカルなメロディが新時代を告げるにふさわしくポップな展開していく爽快感溢れるナンバー。
令和元年初日に開催されたVRライブ「輝夜 月 LIVE@ZeppVR2」ではライブビューイングで各地の映画館にファンが賑わいました。
YouTubeでの活動頻度が落ち着きを見せている輝夜月さんですが、楽曲リリースは今後も続きそうです。【1周年記念】#しゅきしゅきぴっぴっぴ♡(#SSPPP)【オリジナル曲】
夜乃ネオンさんが1周年記念で披露したオリジナルソング・#しゅきしゅきぴっぴっぴ♡は中毒性の高い電波曲。
アッパーな曲調を得意とするまろん (IOSYS)さんの手掛けたトラックとアッパラパーな彼女とのこれ以上ないマッチング。
ジェネリック輝夜月と自分でもネタにしている彼女ですが、こと楽曲のアルコール度数に関してはこっちの方が断然高い気がします。何も分からん。Ginga Alice / 銀河アリス - Brand New Days (Official Music Video)
続く銀河アリスさんも元気いっぱい、天衣無縫なキャラクター。「Brand New Days」はそんな彼女がしっとりと歌い上げる意外な一面を披露した1曲。
MVで披露されているバレエの要素を取り入れた伸びやかなコンテンポラリーダンス、それを可能にしたトラッキング技術にも注目です。haze / EMMA HAZY MINAMI
EMMA HAZY MINAMIさんのオリジナルソングは、歌詞から浮かぶ情景にそれまでカバーしてきたシティポップへのリスペクトが覗くナンバー。
EMMAさんの深い歌声をミカヅキBIGWAVEさんによる、綺羅びやかなFutureFunkアレンジが彩ります。
EMMA HAZY MINAMIさんは、VTuberでありながら「中の人」の存在をリアルに顕現するライブも行い、その斜め上の展開でもシーンを驚かせました。響木アオ / おとなにならないおんなのこうさぎ feat. 大森靖子【MUSIC VIDEO】
響木アオさんがシンガーソングライター・大森靖子さんにフューチャリングした「おとなにならないおんなのこうさぎ」はMVまで含めて大森靖子成分そのままに、VTuberについて歌われている楽曲。
自身もアイドル好きで、少女性/アイドル性とでも言うべきものを歌ってきた大森靖子さんと、キャラを被ることが大きな意味を持つVTuberの領域は確かに近いものを感じさせます。memex / Cloud Identifier: 集合知に偏在する残滓による自意識の再構成
タイトルやサウンドからも残響レコードなどへのリスペクトが感じられるmemex、アランさんとぴぼさんの1曲。
スタイリッシュなMVはソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」で一発撮り・編集無しで撮影されたもの。
大手レコード会社などに所属せずとも、ここまでの世界観を表現できるのは大きな強みになるでしょう。アイシー/ぼっちぼろまる(self cover)
ぼっちぼろまるさんによる「アイシー」。にじさんじの卯月コウさんに提供した楽曲のセルフカバー。
ギターサウンドと、それにふさわしい希望に満ち溢れた歌詞が爽快です。
卯月コウさんのバージョンは現在非公開。また聴かせてくれる日を心待ちにしています。蒼に躊躇う - 花鋏キョウ MV
花鋏キョウさんが5月にリリースした「蒼に躊躇う」。
アイドルVTuberとしてデビューした彼女ですが、ポリスピカデリーさんによるラブソングを切なげに歌い上げる様は正統派シンガーとして評価されるべき歌声。FACE // FACE -Official Video-
バーチャルシンガーソングライター・鷹森ツヅルさんの「FACE // FACE」はデュエットソング。
シンガーソングライターだけあって作詞作曲はもちろん、なんと女声/男声どちらも鷹森さんの歌声。映像まで鷹森さんのこだわりが詰まった作品です。【スマホ推奨】ナノピコセル - ココロナキ / オリジナルソングMV
ココロナキさんの「ナノピコセル」。ぱしふぃこさん制作の楽曲はもちろんMVはぜひスマホで観ていただきたい仕上がり。
配色やエフェクト、アイデア。どれも気持ちが良い一級品です。花譜 #22 「過去を喰らう」 【オリジナルMV】
このリストを誰がつくったとしても、2019年は花譜さんの存在を無視できなかったでしょう。
この一年、彼女の声が持つ雰囲気とカンザキイオリさんの手掛ける楽曲、川サキケンジさんによる映像が互いを損なわず、作品として発表され続けてきたというのは、来年以降にも期待してしまう成果だと思います。
8月に開催されたワンマンライブ「不可解」でのパフォーマンスも、それまでのVTuberのライブからは一線を画すものでした。ライブパフォーマンスや演出の点でもamazarashiやSEKAI NO OWARIとの比較の場に挙げられるアーティストだと言えるでしょう。twinkle night feat. somunia - nyankobrq & yaca
nyankobrqさんとyacaさんがsomuniaさんにフューチャーした「twinkle night feat. somunia」。
可愛らしいsomuniaさんの歌声もそうですが「ティンクルくるせいだーす」と始まるyacaさんのバースも口ずさみたくなる魅力にあふれています。幸せジャンク生活 / レオタードブタとヤギ・ハイレグ [Official Music Video]
別の記事でも取り上げられていますが、レオタードブタとヤギ・ハイレグによる「幸せジャンク生活」も外せません。
ただラップするだけではなく、あくまでヒップホップの文脈を踏まえた本格派のトラックはもちろん、MVがナナヲアカリさんのMVなどを手掛ける野良いぬさん制作というのも驚きです。
彼女の他作品にはないドープな映像表現にも注目。『ミソシタ#39』光ノ終ワリニ
ミソシタさん、1人ヒプノシスマイク(外部リンク)みたいなことしたり最近やっていること滅茶苦茶で全部面白いんですけど、ひとまずworld's end girlfriendとの共作「光ノ終ワリニ」を。
ミソシタさんがやってることや歌ってることって「しょうもない」って済ましてしまうものを、ミソシタさんが真面目に熱量込めて作品として完成させているところに「しょうもない」で済ませられない圧があります。
ミソシタさんのポエムコアとworld's end girlfriendによる暴力的で美しいサウンドがぴったり。GALAXY / KMNZ
LITAさんとLIZさんの二人組、KMNZからは1stアルバム『KMNVERSE』の最後を飾る「GALAXY」をピックアップ。
昨年リリースされたデビューソング「VR」でもトラックを担当したUjico*ことSnail's Houseさんが再び制作したファン待望の布陣。Kawaii Future Bassの提唱者らしく遊び心溢れる可愛らしくてポップな一曲です。Kizuna AI - Sky High (Prod. Yunomi)【Official Music Video】
キズナアイさんについては何度か記事を書く機会をいただきましたが、テーマとしてはとても悩ましいものばかりでした。
執筆の際に聴いていた彼女の楽曲の中で特に印象的だったのがこの「Sky High (Prod. Yunomi)」。
騒動の渦中にリリースされたこの楽曲は「オリジナルはやがて眠る」と不穏な部分もある一方で「君と描く未来」と結ぶ全体的には決意表明とも読み取れる歌詞であり、それへのファンの方のリアクションを含めて大いに執筆の参考にしました。
2020年が彼女たちとファンの皆さんが描く未来であるように願ってやみません。
一口にVTuberの楽曲といっても彼らの活動は多岐に渡り、その楽曲も活動のイメージに即したものであったり、様々なジャンルからトラックメイカーが参加していたりと網羅するのは日々難しくなってきています。
一方で多彩なジャンルから1つを深堀りしていくフックとして気に入ったVTuberを切っ掛けにする、というのは良い手段のように思います。この記事がひとまずの水先案内になれば幸いです。
来年はより多くのVTuberがオリジナルソングで我々を楽しませてくれるでしょう。にじさんじの皆さんへ、戌亥とこさんのオリジナルをぜひお願いします。RE:I AM/Aimer covered by 戌亥とこ
今や彼らを見かけない日はほとんど無く、さらに細分化を繰り返し、その全体像を把握することは不可能になってきています。
そんな彼らの活躍の中でも特に華やかなのが音楽の世界。
2019年は多くのオリジナル楽曲がリリースされ、彼らにとっても、ファンにとってもイメージに即し深く掘り下げていく、はたまた意外な一面を覗かせるような楽曲は象徴的なものになっています。
この記事では彼らが今年リリースされたの彼らの楽曲を独断と偏見でピックアップ。多彩なジャンルに渡る彼らの活躍をご紹介していきます。
VTuberたちのオリジナル楽曲20選in2019
VTuberによるオリジナルソングは初期ボカロのヒットソングのような、自己言及的な歌詞が比較的多いものでしたが、ネオンライトはそこから外れた歌詞が印象的。
彼女の活動を追っていなくても伝わる軽快で清涼感あるメロディとホロ苦い歌詞が魅力です。
「ネオンライト」以外の楽曲/MVやライブパフォーマンスも多くのクリエイターが腕前を披露しており、才能を引きつけるイコンとしても星宮ととさんには注目していきたいところ。
バーチャルねこの浮遊感あるサウンドとともにコーサカさんが業界に対して投げつけたリリックは、2019年が終わる今聴き返しても味わいのある1曲です。
ヲタきちさんが手掛けたビビッドなエフェクトと共にが踊るスタイリッシュなMVも見ていて気持ちよくなる完成度で、終わり方も可愛らしい二人の魅力を引き立ててくれます。
多彩なタレントに楽曲提供をしてきた南田健吾さんによる曲の完成度は言わずもがな、9月に開催された2人の1stワンマンライブは今年を振り返る上で外すことのできない話題です。
令和元年初日に開催されたVRライブ「輝夜 月 LIVE@ZeppVR2」ではライブビューイングで各地の映画館にファンが賑わいました。
YouTubeでの活動頻度が落ち着きを見せている輝夜月さんですが、楽曲リリースは今後も続きそうです。
アッパーな曲調を得意とするまろん (IOSYS)さんの手掛けたトラックとアッパラパーな彼女とのこれ以上ないマッチング。
ジェネリック輝夜月と自分でもネタにしている彼女ですが、こと楽曲のアルコール度数に関してはこっちの方が断然高い気がします。何も分からん。
MVで披露されているバレエの要素を取り入れた伸びやかなコンテンポラリーダンス、それを可能にしたトラッキング技術にも注目です。
EMMAさんの深い歌声をミカヅキBIGWAVEさんによる、綺羅びやかなFutureFunkアレンジが彩ります。
EMMA HAZY MINAMIさんは、VTuberでありながら「中の人」の存在をリアルに顕現するライブも行い、その斜め上の展開でもシーンを驚かせました。
自身もアイドル好きで、少女性/アイドル性とでも言うべきものを歌ってきた大森靖子さんと、キャラを被ることが大きな意味を持つVTuberの領域は確かに近いものを感じさせます。
スタイリッシュなMVはソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」で一発撮り・編集無しで撮影されたもの。
大手レコード会社などに所属せずとも、ここまでの世界観を表現できるのは大きな強みになるでしょう。
ギターサウンドと、それにふさわしい希望に満ち溢れた歌詞が爽快です。
卯月コウさんのバージョンは現在非公開。また聴かせてくれる日を心待ちにしています。
アイドルVTuberとしてデビューした彼女ですが、ポリスピカデリーさんによるラブソングを切なげに歌い上げる様は正統派シンガーとして評価されるべき歌声。
シンガーソングライターだけあって作詞作曲はもちろん、なんと女声/男声どちらも鷹森さんの歌声。映像まで鷹森さんのこだわりが詰まった作品です。
配色やエフェクト、アイデア。どれも気持ちが良い一級品です。
この一年、彼女の声が持つ雰囲気とカンザキイオリさんの手掛ける楽曲、川サキケンジさんによる映像が互いを損なわず、作品として発表され続けてきたというのは、来年以降にも期待してしまう成果だと思います。
8月に開催されたワンマンライブ「不可解」でのパフォーマンスも、それまでのVTuberのライブからは一線を画すものでした。ライブパフォーマンスや演出の点でもamazarashiやSEKAI NO OWARIとの比較の場に挙げられるアーティストだと言えるでしょう。
可愛らしいsomuniaさんの歌声もそうですが「ティンクルくるせいだーす」と始まるyacaさんのバースも口ずさみたくなる魅力にあふれています。
彼女の他作品にはないドープな映像表現にも注目。
ミソシタさんがやってることや歌ってることって「しょうもない」って済ましてしまうものを、ミソシタさんが真面目に熱量込めて作品として完成させているところに「しょうもない」で済ませられない圧があります。
ミソシタさんのポエムコアとworld's end girlfriendによる暴力的で美しいサウンドがぴったり。
昨年リリースされたデビューソング「VR」でもトラックを担当したUjico*ことSnail's Houseさんが再び制作したファン待望の布陣。Kawaii Future Bassの提唱者らしく遊び心溢れる可愛らしくてポップな一曲です。
執筆の際に聴いていた彼女の楽曲の中で特に印象的だったのがこの「Sky High (Prod. Yunomi)」。
騒動の渦中にリリースされたこの楽曲は「オリジナルはやがて眠る」と不穏な部分もある一方で「君と描く未来」と結ぶ全体的には決意表明とも読み取れる歌詞であり、それへのファンの方のリアクションを含めて大いに執筆の参考にしました。
2020年が彼女たちとファンの皆さんが描く未来であるように願ってやみません。
ジャンル深堀りの切っ掛けとしてのVTuber
以上20曲を紹介しました。とはいえこれは独断と偏見によるもの。一口にVTuberの楽曲といっても彼らの活動は多岐に渡り、その楽曲も活動のイメージに即したものであったり、様々なジャンルからトラックメイカーが参加していたりと網羅するのは日々難しくなってきています。
一方で多彩なジャンルから1つを深堀りしていくフックとして気に入ったVTuberを切っ掛けにする、というのは良い手段のように思います。この記事がひとまずの水先案内になれば幸いです。
来年はより多くのVTuberがオリジナルソングで我々を楽しませてくれるでしょう。にじさんじの皆さんへ、戌亥とこさんのオリジナルをぜひお願いします。
この記事どう思う?
0件のコメント