「エリア51を襲撃しよう」──2019年、Facebookに投稿された冗談が、200万人を巻き込むネットミームとなり、米軍基地を騒がせた。
そんな一大騒動の顛末を追うNetflixドキュメンタリー『とんでもカオス!: 突入せよ エリア51』が、7月29日(月)より配信される。
日本ではあまり知られていない、ネットミームが現実に影響を与えた事件を今こそ振り返ろう。
ミームから始まった“エリア51突入計画”
きっかけは2019年6月、Facebookに投稿された「Storm Area 51(エリア51を襲撃しよう)」というイベントだった。
内容は、「ナルト走りで米軍基地を突破して宇宙人を救おう!(※)」というジョーク。
(※)ナルト走り:岸本斉史さんの漫画『NARUTO-ナルト-』に登場するキャラクターたちの独特な走り方。両手は後ろに伸ばし、上体をやや前傾させる。
だがこのジョークは、SNSで拡散されて200万人以上が反応。ネットミーム発のリアルイベントとして動き出した。
エリア51とは、アメリカ・ネバダ州に存在するとされる極秘軍事基地。冷戦期から航空機開発の実験場として知られ、長年その存在が政府により秘匿されてきた経緯がある。
1990年代に入るとUFOやエイリアンに関する陰謀論が一気に拡大。以来、映画やSF小説などのフィクション、インターネットなどでは“宇宙人の収容所”のような象徴的存在となってきた。そんな場所へ、実際に人が押しかけたのだ。
現地はお祭り騒ぎ、基地は発砲すると警告の大混乱
なお、こうしたムーブメントに便乗して、人気YouTuberのMrBeastさんも「24時間エリア51周辺で生き延びる」チャレンジ動画を投稿。
基地に近づきながら仲間とサバイバルする様子が話題を呼んだ(余談だが、MrBeastさんの動画の日本語吹き替えは、『NARUTO-ナルト-』の主人公・うずまきナルトの声優で知られる竹内順子さんが担当している)。
元の投稿から約2ヶ月後の2019年9月、実際に数千人が現地周辺の町に集結。
「Alienstock」という名前の音楽フェスが開かれ、コスプレする参加者もいる一方で、基地は警備を強化し「近づくものには発砲する」との公式声明も出す事態に。
エリア51に近づくと発砲するとの声明/画像はYouTubeより
実際に基地に突入した者はおらず、いくつかの逮捕と軽微なトラブルで済んだものの、ネットミームが現実を巻き込んだこの事件は、世界中の注目を集めた。
現場の混乱を描くNetflixドキュメンタリー「とんでもカオス!」
Netflixドキュメンタリー『とんでもカオス!: 突入せよ エリア51』は、この混乱を、当時の主催者や参加者など多角的な証言から明らかにするドキュメンタリー作品。
ドキュメンタリーシリーズ「とんでもカオス!」の最新作。
2022年に公開された第1作では、暴徒化した観客たちにより、地獄絵図と化してしまった1999年のロック・フェス「ウッドストック」の混乱を紐解いた。
最新作のティザーから確認できるインターネット特有のノリが炸裂した実録映像は、笑いはもちろん、近年の陰謀論やネットミームの過熱について考える一助にもなりそうだ。
『とんでもカオス!: 突入せよ エリア51』はNetflixにて2025年7月29日(月)より独占配信される。

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