現在放送中のTVアニメ『亜人ちゃんは語りたい』のエンディングテーマを担当するクリエイタープロジェクト・三月のパンタシアにも参加しており、3月8日にリリースされる同プロジェクトの1stアルバム『あのときの歌が聴こえる』では、ジャケットイラストを担当している。
その絶妙なピント調整やぼかしなど、独特の被写界深度から生まれる透明感や空気感、そして、年々目に見えて上達していくイラストは、時代に求められるかのように活躍の場を広げている。
今回のインタビューでは、そんなloundrawさんに、絵を描くことへの想いや独自のスキルアップ方法、さらには、大学卒業を控える自身の境遇とも重なり、大きな転機になったという三月のパンタシアについてもお話をうかがった。
イラストのほか漫画やキャラクターデザインなど幅広い活動を通じて、次の時代を彩る才能の思考を読み解いていく。
取材/恩田雄多 編集/かたやまけん、吉田雄弥
どのようにイラストのスキルを磨くのか?
loundrawさんが18歳の時に描いたイラスト
loundraw 子どもの頃は絵を描くよりも、何かモノをつくることが好きだったみたいです。小学2年生くらいから描くようになって、中学生のときにタブレットを手に入れて以来、意識的に描くようになりました。
とはいえ、本当に最近まで仕事になるとは思ってなかったんです。でも、ありがたいことにいろいろな方面からお声がけいただいて、絵を描く以外のプロジェクトにも参加できるようになってきて。
loundraw それこそ、リーガルコンサル※1を担当していただいているストレートエッジ※2さんとの縁で、漫画『あおぞらとくもりぞら』(原作:三秋縋)を描いたり、三月のパンタシアのミュージックビデオ(MV)では自分のキャラクターが動いたり、そういう機会が増えてきたのがここ1年くらい。
もともと表現の場を広げていきたかったので、チャンスがあるなら頑張ってみようと。
──4年という期間からみると、多くの仕事をこなしている印象があります。正直、仕事以外で絵を練習する時間が確保できないような気がしますが、どのようにスキルを磨いていったんでしょうか?
loundraw 正直、“磨いた”とか“練習した”という意識はないんです。
「今」を象徴するイラストレーター150名が集結する図録『ILLUSTRATION 2017』/loundrawさんは2014年から毎年選ばれており、同書をきっかけに増えた仕事もあるという
自分の技量・適正的に選びたい工程があったとしても、あえて自分の適性を意識的に曲げるというか、つくりたいもの、伝えたいものに応じて判断するように意識しています。
『僕の小規模な自殺』(2013)/loundrawさん初期の作品/表紙や挿絵を担当している
loundraw そうですね。僕の場合、描く前の段階で「今の技術だとここまで、ここからは新しい技術が必要、その作業にかかる時間は〜」と、具体的にイメージできるんです。その積み重ねで、結果的に上達したんじゃないかと。
ただし、上達したからといって、すべてがうまくいくわけではありません。当然なんですけど、僕が一番いいと思ってつくったものでも、相手からすると改善点があるというのが、この仕事の難しさかなと。
プライベートワーク
たくさんの選択肢から、局面ごとにひとつしか選べないという意味で、そのときの何を価値観としてブラッシュアップすればいいのか──それを考えていくことは、僕自身、今後の課題かもしれません。
※1 リーガルコンサル:知的財産のライセンス管理及びライツマネジメント業務のアドバイスを行う。
※2 ストレートエッジ:『とある魔術の禁書目録』や『ソードアート・オンライン』などのヒットタイトルを手がけてきた編集者・三木一馬による作家のエージェント会社。