本来は銃弾が飛び出てくる銃口から、良い香りの煙が立ち昇るこちらのリボルバー。なんとお香が装填できます。いわば「リボルバー香炉」。
リボルバーの形をした陶器製の香炉であり、造形制作を趣味にしている井上卓さんがオリジナルで制作したものです。
Xに投稿されている「リボルバー香炉」の動画を見ると、お香を装填するシリンダーが軽快にくるくると回っている様子が確認できます。一体どうやってつくったのか……?
井上卓さんに聞くと、陶器ならではの苦労も多分にあったそうです。
肝心なところは勘で 計算だけではつくれない「リボルバー香炉」
銃弾を打ち出すハンマーや、狙いを付けるために使うフロントサイトも形づくられている「リボルバー香炉」。見た目は完全に回転式拳銃です。
ずんぐりむっくりしたフォルムがなんとも可愛い。実は、最初は陶器でつくる予定はなかったようです。
「以前からカートゥーン調リボルバーのガレージキットを作ろうと計画していたのですが、最近陶芸にはまっており、陶器製なら煙が立ち昇る香炉リボルバーをつくれるのではと思い、試作してみた感じです」
陶器は粘土などで形成して焼くわけですが、焼成(基本的には素焼きと本焼きがあります)の前後では多少形も変わってしまうもの。
「リボルバー香炉」のデザインをどこまで計算されていたのかと聞けば、なんと「完全に勘」とのこと。
「各パーツの強度やサイズは気にしながら制作したものの、焼成時の縮みと釉薬の厚みまでは計算できないので」と、明かしてくれました。やっぱり要所ではつくり手の勘が大事になるんですね。
自立するバランス調整に一苦労 宙からぶら下がっているように立つ
お香を装填するシリンダーがくるくると回っている構造や、お香の装填と排出のギミックも見事な出来栄えの「リボルバー香炉」。
そういった部分にもこだわりが感じられますが、一番は苦労したのは「銃を立てて置く際のバランス調整」なのだとか。
「接地部分の面積はなるべく小さく、でもちゃんと自立するバランスを探るのに1番時間がかかってしまいました」
たしかにサイズに対して地面の接地面がかなり小さいように見えます。でもちゃんと立っている。ここに至るまでにはかなり地道でシビアな調整が必要だったことが、素人目にも伺えます。
井上卓さんも「かなり苦労しました」と話していて、「釉掛け(編注:陶器の表面に釉薬をかけて色や質感を加える工程。強度を上げるなど様々な理由で行う)後の本焼きも窯の中で立てて焼くのですが、高温の窯のなかで陶器は歪むらしく、倒れたら失敗してしまいますので……」と話しています。
なるほど、そもそも自立するデザインでなければ割れてしまう可能性が上がると。そうした陶器ならではの苦労を経て、今のポップな造形がつくられたのだと思うと、作品としての輝きもまた違って見えてきますね。
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