Web漫画部門の本命はクワハリ&出内テツオの『ふつうの軽音部』
Web漫画部門の個人的本命は『ふつうの軽音部』です。
原作者のクワハリさんと作画の出内テツオさんによる作品で、「少年ジャンプ+」で連載中。一般的な高校の、特に実績があるわけでもない軽音部を舞台にしたバンド漫画です。
主人公・鳩野ちひろを中心とした青春群像劇になっているのですが、恋愛トラブルに巻き込まれてバンドが解散するなど、バンド活動と同じかそれ以上に人間関係が忙しい。
多感な高校生たちを描く作品では、登場人物たちの悩みや葛藤が見どころの1つになります。本作では恋愛感情がよくわからなかったり、他人に依存してしまったりといったキャラクターの姿が描かれ、等身大かつ共感しやすい。
さらに、個々の悩みとそれに付随する思考をとても丁寧に描き出しているおかげで、すべての登場人物の解像度が高く、生き生きと動いています。ゆえに感情移入しやすくなっているのです。
そんなリアリティのある登場人物たちに反して、主人公の鳩野を本気で神と崇める、ちょっとふつうじゃない飛び道具的なキャラクター・幸山厘(こうやまりん)の存在も大きいでしょう。
本作のコメント欄は厘への言及が多く、彼女の動向が読者の心を掴んでいることがよくわかります(筆者も掴まれてます)。
「少年ジャンプ+」の日曜更新枠ではランキング1位の常連になっており、機は熟しました。多くの読者から支持を集めている『ふつうの軽音部』が、Web漫画部門では1位の栄光に輝くと予想します。
「少年ジャンプ+」の新星『ケントゥリア』はどこまで行ける?
「少年ジャンプ+」からもう一作推したいのが、暗森透さんの『ケントゥリア』です。
奴隷100人を海上で意図的に殺害し、奴隷たちにかけられていた保険金をふんだくろうと企む悪党たち。船員たちによる大虐殺が起こる現場に密航者として居合わせた少年・ユリアンが、今際の際で、海から現れた異形の怪物と邂逅。
ある代償を捧げることで、失われた奴隷100人分の命と身体能力を得ることになります。
ユリアンは、命の恩人・ミラの遺児であるディアナと共に新天地へ。その中で様々な人物たちと出会い──と、このようなあらすじになっています。
4月に連載が始まると、月曜更新枠のランキングで上位に入り続けており、読者の心をがっちり掴みました。既刊は1巻のみ。物語がどのように転がっていくのか、まだまだ未知数なところがあります。
これからが楽しみであり、まさに次にくる漫画である本作の結果に注目してみてください。
外せない名作異世界転生モノ『ニセモノの錬金術師』
商業版として「次にくるマンガ大賞」に帰ってきた『ニセモノの錬金術師』も、有力候補として外せません。
本作は、TVアニメが放送中の『僕の妻は感情がない』を手がける杉浦次郎さんによる作品。本人のpixivで公開されていたほぼネーム段階のラフ版が2022年の「次にくるマンガ大賞」にノミネートされ、12位にランクインした実績があります。
今回はうめ丸さんの作画が入った商業連載版でのノミネートになっており、前回を超える躍進に期待。
本作の主人公は、異世界に転生して2つのチート能力を授かった青年・パラケルスス。彼が奴隷の少女と体中傷だらけのエルフを家に迎え入れるところから物語がはじまります。
不要な戦いを避けて穏便に暮らしていくため、戦闘用のチート能力を選ばなかったパラケルススなのですが、次第に能力者同士の抗争に巻き込まれていくことに。
戦う力に長けているわけではない彼が、機転をきかせて他の能力者と渡り合うところが熱い。
序盤で世界観と能力のルール(制約)がつくり込まれている点を示して以降は、二転三転どころか常に怒涛とも言える展開がはじまり、加速度的に面白くなっていきます。
SNSで話題の『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』なども注目!
上記3作品のほか、待望の連載再開となった『ルリドラゴン』や、1話が公開されるやSNSで大反響を呼んだ『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』は上位にくるのではないでしょうか。
キャラクターのギャップにヤラれる『会社と私生活-オンとオフ-』、縦読み漫画の注目株『神血の救世主~0.00000001%を引き当て最強へ~』も躍進の可能性を感じます。
コミックス部門と同じく、代表作がある漫画家たちの新作も見逃せません。
中でも『NEW GAME!』で知られる得能正太郎さんの『IDOL×IDOL STORY!』、『プロミス・シンデレラ』の橘オレコさんによる『ホタルの嫁入り』、『殺し屋は今日もBBAを殺せない。』を手がけたヨシアキ(芳明慧)さんの『雷雷雷』、『ぽんこつポン子』の矢寺圭太さんによる『ずっと青春ぽいですよ』。
この4作は個人的に推しているので、結果がどうなっているのか楽しみです。
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