『御上先生』監修者が書籍刊行 学園ドラマがいかに教育に影響してきたかを考察

『御上先生』監修者が書籍刊行 学園ドラマがいかに教育に影響してきたかを考察
『御上先生』監修者が書籍刊行 学園ドラマがいかに教育に影響してきたかを考察

西岡壱誠さんの著書『学園ドラマは日本の教育をどう変えたか “熱血先生”から“官僚先生”へ』/画像はAmazonより

文部科学省から私立高校に赴任した異色の教師・御上孝が、“日本教育の破壊”を目指して奮闘する姿を描いたTBS系日曜劇場のドラマ『御上先生』。

放送されたばかりの最終回も話題を呼んだ同作に教育監修として携わった東大生・西岡壱誠さんの著書『学園ドラマは日本の教育をどう変えたか “熱血先生”から“官僚先生”へ』が、4月25日(金)に笠間書院から刊行される。

ドラマ『御上先生』の劇中でも言及された熱血教師の代表格である『3年B組金八先生』から現代に至るまで、ドラマや漫画といったフィクションで描かれる先生や生徒、保護者、学校の変化を通じて、日本の教育を考察する。

ドラマ『御上先生』でも指摘された熱血教師の功罪

『御上先生』は、官僚派遣制度により文科省から私立高校に赴任した主人公・御上孝が、永田町や霞ヶ関の闇の暴露、そして“生徒自らに考えさせる”という教育方針によって、日本教育の改革を描くドラマ。

劇中では、同じくTBSを代表する学園ドラマである『3年B組金八先生』を(直接名前は出さないながらも)批判的に言及する場面がある。

『3年B組金八先生』といえば、1979年から2011年まで複数のシリーズやスペシャル版が制作され、生徒に親身に寄り添い熱く語りかける教師の代名詞だ。

ドラマ『御上先生』第1話ダイジェスト

『御上先生』では、そうしたいわゆる熱血教師が教師の理想像になったことで、現代に至るまで教育現場の価値観が変わっていないことを指摘。

西岡壱誠さんの著書『学園ドラマは日本の教育をどう変えたか』では、フィクションで描かれた各時代の教師、生徒、保護者、学校に対する社会のイメージを理解した上で、日本教育の考察を試みている。

金八先生から御上先生まで、日本の教師像の変化──安西先生や五条悟も

『学園ドラマは日本の教育をどう変えたか』では、教師をはじめとした学校に関わる人々の描かれ方を、年代ごとに紹介。

1970年代の『3年B組金八先生』のような熱血先生から、2023年『夢なし先生の進路指導』、2025年『御上先生』のような現代的なキャラクターまで、ドラマや漫画の中で描かれる教師像などの変遷をまとめた上で、日本の教育について考えていくという。

また、現在公開されている書籍情報によると、本書のコラムでは、「あきらめたらそこで試合終了ですよ」のセリフで知られる『スラムダンク』の安西先生や、『呪術廻戦』の五条悟なども取り上げられる。

『ドラゴン桜』の教育監修も担当した東大生 西岡壱誠

著者である西岡壱誠さんは、1996年生まれ。偏差値35から東大を目指し、3年目に合格を果たした東大生。在学中の2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立して以降、高校生に思考法や勉強法を教えているほか、教師に対して指導法のコンサルティングを行っている。

これまでに『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』をはじめ、複数の著書を東洋経済新報社から刊行しており、シリーズ累計45万部のベストセラーを記録。笠間書院からも『読んだら勉強したくなる東大生の学び方』を刊行している。

また、『御上先生』と同じく日曜劇場のドラマ『ドラゴン桜』にも教育監修として参加。漫画『ドラゴン桜2』では編集を担当。代表とつとめるカルペ・ディエムでは、全国の高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施し、前述したような事業を展開している。

『学園ドラマは日本の教育をどう変えたか』目次

【目次】
はじめに
目次
第一部 ドラマの教育監修とは
第二部 学園ドラマが描く先生と教育
第一章 学園ドラマが産声を上げた1970年代
第二章 1990〜2000年代のファンタジーな学園ドラマ
第三章 2000年代以降のいじめ問題に関するドラマ
第四章 2000年代後半以降の受験ものの誕生と、学校の先生以外の先生がフィーチャーされる学園ドラマ
第五章 2010年代以降の受験の矛盾を語る教育ドラマ
第六章 2010年代以降の教員を普通の人間とするドラマ
第七章 2020年代以降の最新の学園ドラマ
第八章 これからの先生像とは
第三部 学園ドラマに見る“未来の先生像”とは 西岡壱誠×中山芳一 対談
おわりに
Column
○あきらめたらそこで試合終了ですよ 井上雄彦『スラムダンク』
○漱石の描く「先生」 夏目漱石『こころ』
○「先生」になるツールは増えている? 内田樹『先生はえらい』
○五条悟が先生だった理由 芥見下々『呪術廻戦』
○生徒はどんどん褒められたくなくなっている? 金間大介『先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち』

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