“インディーアニメ”の足跡と、自分がやるべきこと──会社設立を選んだアニメーター「のをか」の胸中

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KAI-YOU編集部_アニメ・漫画部門
“インディーアニメ”の足跡と、自分がやるべきこと──会社設立を選んだアニメーター「のをか」の胸中
“インディーアニメ”の足跡と、自分がやるべきこと──会社設立を選んだアニメーター「のをか」の胸中

bees設立発表時に公開されたスタジオメンバーたちが制作したイラスト

2026年1月、インディーアニメ(※)出身のクリエイターが中心となって立ち上げられたアニメスタジオ「bees inc.」。設立背景の面白さに加えて、スタジオの所在地が神奈川県藤沢市・片瀬江ノ島という珍しさでも注目が集まっている。

KAI-YOUでは、活動をスタートしたばかりのbeesに1年かけて密着。

年間を通じて、クリエイターへのインタビューや本人からの寄稿を掲載しながら、その足取りを今後リアルタイムに近い形でお届けしていく。

スタジオの最寄りは片瀬江ノ島駅

連載第1弾となる今回は、スタジオの発起人の一人であり、副代表をつとめるクリエイター・のをかさんが、自身が身を置くインディーアニメというシーンを振り返りながら、bees設立に至る思いを綴ってくれた。

“インディーアニメ”という言葉とシーンが生まれておよそ6年──当事者が見たそのムーブメントの現在地とは?

※インディーアニメ:2020年頃にアニメーション作家のこむぎこ2000さんが立ち上げ、広がっていったムーブメント。TVアニメをはじめとした商業作品とは異なり、個人や少人数のチームで制作されるケースが多い。詳細は後述。

文:のをか(bees inc.) 編集:恩田雄多(KAI-YOU) 写真:KAI-YOU編集部

アニメ監督/作家「のをか」が振り返る、インディーアニメと自分

のをかです。アニメーション監督/作家です。代表作にずっと真夜中でいいのに。「形」MV、神聖かまってちゃん「死にたいひまわり」MV、『原神』関連の公式二次創作映像『満ちる月影の彼方』などがあります。

ずっと真夜中でいいのに。「形」MV

2026年1月に「bees(ビーズ) inc.」というアニメーション制作会社を設立しました。メンバー14名のうち、いわゆる商業アニメの制作会社出身者は一人もいません。

インディーアニメ出身クリエイターが集まってゼロから立ち上げたということで、KAI-YOUさんも丁寧に記事にして下さり、Xアカウントも開設から3週間でフォロワーが4000人を超えるなど、業界からご注目をいただきました。

ゼロから立ち上げたアニメスタジオがどのような形に変化していくのか。beesは何を目指す会社なのか。インディーアニメというシーンにいながら、会社での制作を選択した自分には業界がどう見えていたのか。

この度、KAI-YOUさんにそういったことを話す場を設けていただいたので、あくまでものをかという個人視点で感じた景色を書き連ねたいと思います。以降、ですます調をやめます。

bees inc.のエントランス

“インディーアニメ”がムーブメントとなる渦中で見えていた風景

まずは、自分たちの出自とも言えるインディーアニメもとい「indie_anime」とは何か──それはKAI-YOUさんによるこむぎこ2000さんへのインタビュー記事をご覧いただくのが早い。

ただ、この記事は“indie_animeの主”とも呼ぶべきこむぎこ2000さんの立場で書かれている。記事公開から約6年と時間が経ったこともあり、今回は界隈の一人である自分が、第三者視点から改めて解釈していきたい。

インディーアニメとは、簡潔に言えば、2020年頃に「不革命前夜」「勘ぐれい」などのMVで一躍注目を集めたこむぎこ2000さんがつくり上げ、発展していったムーブメント/シーン/コミュニティである。

前提として、個人規模のアニメーションシーンを指す広義の“インディーアニメ”は、もっと昔から歴史の流れを引くことができる。ただ、今回自分が話す「インディーアニメ」は、こむぎこ2000さんが発起した狭義の「indie_anime」のこととして捉えてほしい。

ずっと真夜中でいいのに。「勘ぐれい」MV

彼の「粗は目立つけどそこが魅力」「iPad1台で制作の全てを一人で完結させる」というスタイルと、SNS上で制作の過程/環境を積極的に公開する姿勢は、本来高いはずのアニメーション制作の敷居を下げた。

さらに、自主制作アニメーション部(現「indie_anime」)というアカウントを立ち上げ、「#indie_anime」のハッシュタグがついた投稿をSNSで積極的に拡散。結果的に、それまでアニメをつくっていた人も、彼の影響でつくりはじめた人も、多くが「#indie_anime」をつけて作品を投稿。一大ムーブメントが出来上がったという流れだ。

絵が2枚あればアニメになる。アカウント初期の投稿──女の子が2枚の絵でパカパカ笑顔になるGIF──を今でも覚えている。

それまで個々人が自由に投稿していたアニメーションをハッシュタグ「#indie_anime」で括り、新しい界隈をつくった。その姿は、文字通り時代を先導しているかのようだった。

自分の作品も含めて、タイムラインにはどこか、こむぎこ2000さんを感じさせるスタイルのアニメが溢れた。僕は彼が現れる少し前からアニメを制作していたが、当時SNSでアニメーションを発表していたら、こむぎこ2000さんを意識せずにはいられない。それくらいの影響力があった。

加えて、ずとまよやEveさんなど、アニメーションMVを自身のクリエイティブに取り入れているアーティストの隆盛も、シーンの盛り上がりを後押しした。むしろ、インディーアニメのムーブメントは、これらのアーティストに先導してもらったとも言える。

念のため明言しておくと、僕はこむぎこ2000さんのことを作家としても友人としても心からリスペクトしているし、インディーアニメのことも大好きだ。

その上でこのような書き方になるのは、当時彼がフォロワー3000人くらいの頃から一気にムーブメントが生まれ、僕自身がそこに飲み込まれていく流れを渦中で経験しているがゆえの素直な感情──と受け取ってもらえればと思う。

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